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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第2章:国家レベルの誤解
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【第7話】 王国最強騎士団の忠誠と、悪役の影が国家を覆う

 黒城レイが“王国の最重要保護対象”として再び王都へ護送された翌日――。


 王都は、もはや“都市”ではなかった。


「黒城レイが王都に入ったぞ!!」

「魔力障壁を最大出力にしろ!!」

「いや、逆に刺激したら危険だ!!」

「どうすればいいんだ……!」


 街中がパニックだった。


 レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、王都全域に響き渡っているようだな」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そしてレイの後ろには、監視官セリスと聖女アリシアがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは“王国最強騎士団”の本部に呼ばれているわ」


「フッ……悪役として、騎士団に呼ばれるとは光栄だな」


「光栄じゃないのよ!!」


 アリシアは朝から頭を抱えていた。



 王都中央区――王国最強騎士団本部。


 巨大な城壁、魔力障壁、そして空を飛ぶ監視魔導兵。


 だが――

 その全てが、レイを警戒していた。


「黒城レイが来たぞ!!」

「全隊、迎撃態勢を取れ!!」

「いや、迎撃したら殺される!!」

「どうすればいいんだ……!」


 いや、どうすればって……普通に迎えろよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に敵扱いだよ!!」



 騎士団本部の大広間に入ると、

 そこには数百人の騎士が整列していた。


 そして――

 中央には、王国最強騎士団長・レオンハルトが立っていた。


 銀髪に鋭い目つき、巨大な剣を背負った男。

 その存在感は、まさに“英雄”だった。


「黒城レイ……貴様が噂の魔王候補か」


「フッ……悪役だが?」


「悪役って言うな!!」


 アリシアが叫ぶ。


 レオンハルトはレイを睨みつけた。


「黒城レイ。貴様が聖女アリシアを一瞬で沈めたというのは本当か?」


「沈めたというより……跪かせただけだが?」


「それが問題なんだよ!!」


 レオンハルトは剣を抜いた。


「黒城レイ。貴様の力、確かめさせてもらう」


「フッ……良いだろう」


「良くないよ!!」



 レオンハルトが突進する。


 その速度は、聖女アリシアを上回っていた。


「速い……!」

「これが騎士団長……!」

「黒城レイでも避けられないんじゃ……?」


 いや、避ける必要ないんだよな……


 レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。


「――跪け」


 その瞬間、レオンハルトの身体が地面に叩きつけられた。


 地面が砕け、衝撃波が走る。


「な……っ……!?

 わ、私が……押さえつけられて……?」


 レオンハルトは震えながらレイを見上げた。


「貴様……本当に……魔王……?」


「違う。悪役だ」


「悪役でこんな力が出せるわけないでしょ!!」


 アリシアが叫んだ。



 レオンハルトは立ち上がり、深々と頭を下げた。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我ら騎士団が忠誠を誓うべき存在……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


「レイは魔王じゃない!! 悪役ロールだよ!!」


 だが騎士たちは震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、王国の頂点……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 レオンハルトは剣を掲げた。


「黒城レイ!!

 我ら王国最強騎士団は、あなたに忠誠を誓う!!」


「誓うなよ!!」


 俺とアリシアが同時に叫んだ。


 だがレイは満足げに頷いた。


「フッ……悪役として、騎士団に忠誠を誓われるとは悪くない」


「悪くないじゃないのよ!!」



 その時――

 王都全域に警報が鳴り響いた。


 ――ゴォォォォォォン!!


「緊急事態!!」

「魔王軍が王都に接近!!」

「黒城レイを奪還しに来た可能性あり!!」


「いや、奪還ってなんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは魔力探知器を見て震えた。


「……これは……魔王軍の“幹部級”が複数……!

 しかも……魔王本人の魔力反応まで……!」


「は?」


 俺とレイは同時に声を上げた。



 王都の空が黒い霧に包まれた。


 その中心に、巨大な影が現れた。


「黒城レイ……貴様を迎えに来た」


 魔王だった。


 全身が黒い炎に包まれ、赤い瞳がレイを睨みつけている。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我が後継者……!」


「いや、違うだろ!!」


 俺が叫ぶ。


「レイは魔王じゃない!! 悪役ロールだよ!!」


 だが魔王は聞いていない。


「黒城レイ……

 貴様の力、確かめさせてもらう!!」


「フッ……良いだろう」


「良くないよ!!」



 魔王が突進する。


 その速度は、聖女アリシアや騎士団長レオンハルトを遥かに上回っていた。


「速い……!」

「これが魔王……!」

「黒城レイでも避けられないんじゃ……?」


 いや、避ける必要ないんだよな……


 レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。


「――跪け」


 その瞬間、魔王の身体が地面に叩きつけられた。


 地面が砕け、王都全域が震えた。


「な……っ……!?

 わ、私が……押さえつけられて……?」


 魔王は震えながらレイを見上げた。


「貴様……本当に……魔王……?」


「違う。悪役だ」


「悪役で魔王を押さえつけるな!!」


 アリシアが叫んだ。



 魔王は立ち上がり、深々と頭を下げた。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我が後継者……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


「レイは魔王じゃない!! 悪役ロールだよ!!」


 だが魔王軍の幹部たちは震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、魔王の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 こうして――

**黒城レイは“魔王を跪かせた魔王候補”として、

 王国と魔王軍の両方から“頂点”として扱われることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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