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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第1章:悪役の誕生
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【第4話】 王都召喚と、悪役の威圧は国を揺らす

 黒城レイが“聖女アリシアを一瞬で沈めた”という噂は、翌朝には王都全域に広がっていた。


 いや、噂というより――

 もはや“国家レベルの緊急事態”として扱われていた。


「黒城レイ……ついに王都に召喚されるらしいぞ」

「聖女を倒した魔王候補……」

「いや、魔王そのものだろ……」


 学園の廊下は、昨日以上に騒がしかった。


 レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、ついに王都にまで届いたか」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そして、レイの後ろには監視官セリスがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは王都に向かうわ。

 王国議会があなたを直接査問する」


「フッ……悪役として、王都に呼ばれるとは光栄だな」


「光栄じゃないのよ!!」


 セリスは朝から頭を抱えていた。



 王都へ向かう馬車は、学園の正門前に停まっていた。


 黒い装甲に包まれ、魔力障壁が張られた“特別護送馬車”。

 本来は凶悪犯や魔王級の魔物を運ぶためのものだ。


「黒城レイ……まさかこの馬車に乗ることになるとは……」


「いや、なんで誇らしげなんだよ!!」


 俺がツッコむと、レイは首をかしげた。


「ユウ。俺は悪役だぞ? こういう扱いは当然だろう」


「いや、悪役ロールの話だよな!? 本気で言ってないよな!?」


「もちろんだ。俺は悪役ロールを楽しんでいるだけだ」


「それが一番危険なんだよ!!」


 セリスが馬車の扉を開ける。


「黒城レイ。あなたは王都に着くまで、絶対に問題を起こさないでよね」


「問題など起こさん。俺は悪役だが、無闇に暴れたりはしない」


「悪役って言うのをやめなさい!!」


 レイは馬車に乗り込み、俺とセリスも続いた。


 馬車が動き出すと、外の生徒たちがざわめいた。


「黒城レイが連行されていく……」

「いや、あれは護送じゃなくて“護衛”だろ……」

「どっちにしろ国が動くレベルだな……」


 お前ら、言いたい放題だな。



 馬車の中は静かだった。


 レイは窓の外を眺めながら、ぼそりと呟いた。


「……ユウ。俺は本当に、魔王なのか?」


「違うよ!! ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


「だが、周囲はそう思っているようだが?」


「それはお前の悪役ムーブのせいだよ!!」


 セリスが深いため息をついた。


「黒城レイ。あなたの“悪役ロール”のせいで、王国が混乱してるのよ」


「そうなのか?」


「そうよ!! 聖女アリシア様があなたに敗北したことで、

 王都は“魔王出現”と大騒ぎなの!!」


「……大騒ぎ、か。悪役としては悪くないな」


「悪くないじゃないのよ!!」



 王都が見えてきた。


 巨大な城壁、魔力障壁、そして空を飛ぶ監視魔導兵。


 だが――

 その全てが、レイを警戒していた。


「黒城レイが来たぞ!!」

「魔力障壁を最大出力にしろ!!」

「王都防衛隊、全員配置につけ!!」


 いや、なんでこんな大騒ぎなんだよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に敵扱いだよ!!」


 馬車が王都の中央広場に到着すると、

 そこには数百人の兵士が待ち構えていた。


 そして――

 王国議会の代表者たちが並んでいた。


「黒城レイ……ついに来たか……」

「この男が……聖女を倒したという……」

「魔王候補……いや、魔王そのもの……」


 レイは馬車から降り、黒いマントを翻した。


「フッ……王都よ。我が闇の訪れを恐れるがいい」


「言うなって言ってるだろ!!」


 セリスが頭を抱える。



 議会の建物に入ると、

 巨大な円形の部屋に議員たちがずらりと並んでいた。


 中央には、王国議長が座っている。


「黒城レイ。あなたを査問する」


「フッ……好きにしろ」


「いや、挑発するなよ!!」


 議長は震える声で言った。


「黒城レイ……あなたは昨日、聖女アリシアを一瞬で倒したな?」


「倒したというより……跪かせただけだが?」


「それが問題なんだよ!!」


 議員たちがざわめく。


「やはり魔王……」

「いや、魔王以上かもしれん……」

「この男をどうする……?」


 レイは腕を組み、堂々と立っていた。


「……ユウ。俺はどうすればいい?」


「どうすればって……誤解を解くしかないだろ!!」


「誤解……?」


「そうだよ!! お前は魔王じゃないって言え!!」


 レイは少し考えたあと、議会に向かって言った。


「俺は魔王ではない」


 議会が静まり返る。


「……では、何者だ?」


 レイは胸を張って答えた。


「悪役だ」


「言うなって言ってるだろおおおおお!!」


 議会が大混乱に陥った。


「悪役……!?」

「魔王より危険では……?」

「いや、悪役の方がタチが悪い……!」


 セリスが絶望した顔で言った。


「黒城レイ……あなた、国を滅ぼす気……?」


「そんなつもりはない。俺は悪役ロールを楽しんでいるだけだ」


「それが一番危険なんだよ!!」



 議会は混乱し、議長が叫んだ。


「黒城レイ!! あなたは危険すぎる!!

 よって――

 “王国監視下に置く”!!」


「監視下……か。悪役としては悪くないな」


「悪くないじゃないよ!!」


 議長は続けた。


「そして……

 あなたの監視役には、聖女アリシアを任命する!!」


「は?」


 俺とレイとセリスは同時に声を上げた。


 アリシアが前に出る。


「黒城レイ……あなたを監視するのは、私よ」


「フッ……聖女に監視される悪役か。悪くない」


「悪くないじゃないのよ!!」



 こうして――

**黒城レイは“王国監視下の魔王候補”として、聖女アリシアに監視されることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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