【第19話】 存在再構築の兆しと、悪役の影が全てを塗り替える
黒城レイが“創造主の化身を跪かせた”翌日――。
世界は、もはや“世界”という枠組みを保てていなかった。
王国軍、魔王軍、宗教国家、冒険者ギルド、英雄連盟、異界軍勢、宇宙意志、世界核、物語の化身、創造主の化身――
すべてがレイの前に跪き、世界は完全な静寂に包まれていた。
だが、その静寂は――
**存在そのものの層** にまで届いていた。
「黒城レイ……」
「創造主の化身を屈服させた……?」
「いや、屈服させたどころか“創造の根源を書き換えた”らしい……」
「そんな存在……存在そのものを揺るがしている……」
世界の“存在”を司る層が揺れ始めていた。
◆
王都は今日も静かだった。
昨日までの混乱が嘘のように、
街は平和そのものだった。
だが――
その平和は、レイが“創造を止めた”結果にすぎない。
「黒城レイ様……」
「今日もお美しい……」
「いや、怖いだろ……」
王都の住民たちは、レイを見るだけで震えていた。
レイはそれを見ながら、なぜか満足げに頷いていた。
「フッ……我が闇の名は、ついに創造を静寂へと導いたか」
「いや、悪い意味でだよ!!」
俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。
そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシア、異界王代理、宇宙観測庁長官エルミナ、根源研究所所長オルフェウス、運命管理局長ミレイユ、創造管理庁長官アークライトがついてくる。
「黒城レイ。今日、あなたは“存在基盤局”に呼ばれているわ」
「存在基盤局……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 存在など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで存在が揺れてるの!!」
「揺れているのか?」
「揺れてるのよ!!」
◆
存在基盤局――
世界の存在構造、存在の定義、存在の根源を監視する最高機関。
だが――
その前には数千人の存在学者と魔導士が集まっていた。
「黒城レイが来るぞ!!」
「創造主の化身を跪かせた男……」
「いや、存在そのものを揺らした男だ……」
「どっちにしろ存在が反則だろ……!」
いや、反則ってなんだよ!!
レイは満足げに頷いた。
「フッ……歓迎されているようだな」
「歓迎じゃないよ!! 完全に“存在のバグ”扱いだよ!!」
◆
基盤局の大広間に入ると、
そこには世界中の存在学者たちが並んでいた。
存在魔導士、根源論者、虚無研究者、実在構築者――
世界の“存在を知る者たち”が勢揃いしていた。
そして中央には、存在基盤局長・ネメシスが立っていた。
黒い髪、白い瞳、存在が揺らぎ続ける女性。
その存在は、まさに“存在の境界に立つ者”だった。
「黒城レイ……あなたが噂の“存在を揺らす男”ですね」
「フッ……悪役だが?」
「悪役って言うな!!」
アリシアが叫ぶ。
ネメシスはレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
あなたの力は、もはや存在の枠を超えています」
「超えているのか?」
「超えてるのよ!!」
セリスが叫ぶ。
「あなたの“跪け”の一言が、
**存在定義そのものを書き換えたの!!**」
「書き換えたのか?」
「書き換えたのよ!!」
◆
ネメシスは巨大な魔導スクリーンを展開した。
そこには――
世界の存在構造“存在基盤図”が映っていた。
だが、その中心が黒く塗りつぶされていた。
「これは……?」
俺が思わず声を上げた。
ネメシスは震えながら言った。
「“存在欠損”です」
「存在欠損……?」
「存在の定義が消えている……
世界の根源が欠けている……
虚無が侵食している……」
ルシアが青ざめた。
「そんな状態が……レイの影響で……?」
「影響を受けてるのよ!!」
◆
その時――
基盤局全体が揺れた。
――ゴォォォォォォン!!
「緊急事態!!」
「存在層に異常!!」
「虚無層から何かが接近しています!!」
「虚無層……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 虚無など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで虚無が目覚めたの!!」
◆
空間が裂け、巨大な闇が降り注いだ。
その中心に――
“存在の反対”を象徴する存在が現れた。
「黒城レイ……」
その声は、虚無そのものの響きだった。
「貴様を迎えに来た」
「また迎えに来たのか!!」
俺が叫ぶ。
虚無の化身はレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様こそ、我が後継者……!」
「違う!!」
アリシアが叫ぶ。
「黒城レイは虚無の後継者じゃない!!
ただの……ただの……」
アリシアは言葉に詰まった。
「……ただの何?」
俺が代わりに言った。
「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」
虚無の化身は震えながら言った。
「……悪役ロールでこの力……
やはりあなたこそ、虚無の器……!」
「いや、なんでそうなるんだよ!!」
◆
虚無の化身が手を伸ばす。
レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。
「――跪け」
その瞬間、虚無の化身が空間に叩きつけられた。
存在が震え、虚無が揺れ、世界が乱れた。
「な……っ……!?
虚無の化身が……押さえつけられて……?」
ネメシスは震えながら言った。
「黒城レイ……
あなた……存在と虚無すら屈服させたのよ……!」
「屈服させたのか?」
「させたのよ!!」
◆
こうして――
**黒城レイは“存在と虚無すら跪かせた存在”として、
世界・異界・宇宙・世界核・物語・創造主・虚無からも“絶対的頂点”として扱われることになった。**
もちろん本人は、まったく理解していない。
そして俺は――
またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。




