【第18話】 作者層からの干渉と、悪役の影が創造を揺るがす
黒城レイが“物語の化身を跪かせた”翌日――。
世界は、もはや“世界”という言葉では足りなかった。
王国軍、魔王軍、宗教国家、冒険者ギルド、英雄連盟、異界軍勢、宇宙意志、世界核、物語の化身――
すべてがレイの前に跪き、世界は完全な静寂に包まれていた。
だが、その静寂は――
**創造の層** にまで届いていた。
「黒城レイ……」
「物語の化身を屈服させた……?」
「いや、屈服させたどころか“物語の構造を書き換えた”らしい……」
「そんな存在……作者層に干渉している……」
世界の“創造”を司る層が揺れ始めていた。
◆
王都は今日も静かだった。
昨日までの混乱が嘘のように、
街は平和そのものだった。
だが――
その平和は、レイが“物語を止めた”結果にすぎない。
「黒城レイ様……」
「今日もお美しい……」
「いや、怖いだろ……」
王都の住民たちは、レイを見るだけで震えていた。
レイはそれを見ながら、なぜか満足げに頷いていた。
「フッ……我が闇の名は、ついに物語を静寂へと導いたか」
「いや、悪い意味でだよ!!」
俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。
そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシア、異界王代理、宇宙観測庁長官エルミナ、根源研究所所長オルフェウス、運命管理局長ミレイユがついてくる。
「黒城レイ。今日、あなたは“創造管理庁”に呼ばれているわ」
「創造管理庁……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 創造など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで創造層が揺れてるの!!」
「揺れているのか?」
「揺れてるのよ!!」
◆
創造管理庁――
世界の創造、物語の構築、存在の根源を監視する最高機関。
だが――
その前には数千人の創造学者と魔導士が集まっていた。
「黒城レイが来るぞ!!」
「物語の化身を跪かせた男……」
「いや、創造層に干渉した男だ……」
「どっちにしろ存在が反則だろ……!」
いや、反則ってなんだよ!!
レイは満足げに頷いた。
「フッ……歓迎されているようだな」
「歓迎じゃないよ!! 完全に“創造のバグ”扱いだよ!!」
◆
管理庁の大広間に入ると、
そこには世界中の創造学者たちが並んでいた。
創造魔導士、存在論研究者、物語構築者、世界設計者――
世界の“根源を知る者たち”が勢揃いしていた。
そして中央には、創造管理庁長官・アークライトが立っていた。
黒髪に白い瞳、存在そのものが揺らいで見える男。
その存在は、まさに“創造の境界に立つ者”だった。
「黒城レイ……あなたが噂の“創造層を揺らす男”ですね」
「フッ……悪役だが?」
「悪役って言うな!!」
アリシアが叫ぶ。
アークライトはレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
あなたの力は、もはや創造の枠を超えています」
「超えているのか?」
「超えてるのよ!!」
セリスが叫ぶ。
「あなたの“跪け”の一言が、
**創造ログそのものを書き換えたの!!**」
「書き換えたのか?」
「書き換えたのよ!!」
◆
アークライトは巨大な魔導スクリーンを展開した。
そこには――
世界の創造記録“創造ログ”が映っていた。
だが、その一部が黒く塗りつぶされていた。
「これは……?」
俺が思わず声を上げた。
アークライトは震えながら言った。
「“創造欠損”です」
「創造欠損……?」
「世界の記述が消えている……
存在の根源が欠けている……
物語の外側が侵食されている……」
ルシアが青ざめた。
「そんな状態が……レイの影響で……?」
「影響を受けてるのよ!!」
◆
その時――
管理庁全体が揺れた。
――ゴォォォォォォン!!
「緊急事態!!」
「創造層に異常!!」
「作者層から何かが接近しています!!」
「作者層……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 作者など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで作者層が動いてるの!!」
◆
空間が裂け、巨大な光が降り注いだ。
その中心に――
“この世界を創った存在”が現れた。
「黒城レイ……」
その声は、物語の外側から響いていた。
「貴様を迎えに来た」
「また迎えに来たのか!!」
俺が叫ぶ。
作者層の化身はレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様こそ、我が後継者……!」
「違う!!」
アリシアが叫ぶ。
「黒城レイは作者の後継者じゃない!!
ただの……ただの……」
アリシアは言葉に詰まった。
「……ただの何?」
俺が代わりに言った。
「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」
作者層の化身は震えながら言った。
「……悪役ロールでこの力……
やはりあなたこそ、創造主の器……!」
「いや、なんでそうなるんだよ!!」
◆
作者層の化身が手を伸ばす。
レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。
「――跪け」
その瞬間、作者層の化身が空間に叩きつけられた。
創造が震え、物語が揺れ、世界が乱れた。
「な……っ……!?
作者層の化身が……押さえつけられて……?」
アークライトは震えながら言った。
「黒城レイ……
あなた……創造主すら屈服させたのよ……!」
「屈服させたのか?」
「させたのよ!!」
◆
こうして――
**黒城レイは“創造主すら跪かせた存在”として、
世界・異界・宇宙・世界核・物語・そして創造主からも“頂点”として扱われることになった。**
もちろん本人は、まったく理解していない。
そして俺は――
またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。




