【第17話】 物語の外側からの干渉と、悪役の影が運命を書き換える
黒城レイが“世界核を跪かせた”翌日――。
世界は、もはや“世界”という概念を超えていた。
王国軍、魔王軍、宗教国家、冒険者ギルド、英雄連盟、異界軍勢、宇宙意志、世界核――
すべてがレイの前に跪き、世界は完全な静寂に包まれていた。
だが、その静寂は――
**物語の外側** にまで届いていた。
「黒城レイ……」
「世界核を屈服させた……?」
「いや、屈服させたどころか“世界の理を書き換えた”らしい……」
「そんな存在……物語の外側に干渉している……」
世界の“運命”を司る層が揺れ始めていた。
◆
王都は今日も静かだった。
昨日までの混乱が嘘のように、
街は平和そのものだった。
だが――
その平和は、レイが“世界の理を止めた”結果にすぎない。
「黒城レイ様……」
「今日もお美しい……」
「いや、怖いだろ……」
王都の住民たちは、レイを見るだけで震えていた。
レイはそれを見ながら、なぜか満足げに頷いていた。
「フッ……我が闇の名は、ついに世界の理を静寂へと導いたか」
「いや、悪い意味でだよ!!」
俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。
そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシア、異界王代理、宇宙観測庁長官エルミナ、根源研究所所長オルフェウスがついてくる。
「黒城レイ。今日、あなたは“運命管理局”に呼ばれているわ」
「運命管理局……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 運命など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで運命が揺れてるの!!」
「揺れているのか?」
「揺れてるのよ!!」
◆
運命管理局――
世界の運命、未来、物語の流れを監視する最高機関。
だが――
その前には数千人の占術師と魔導士が集まっていた。
「黒城レイが来るぞ!!」
「世界核を跪かせた男……」
「いや、運命そのものを揺らした男だ……」
「どっちにしろ存在が反則だろ……!」
いや、反則ってなんだよ!!
レイは満足げに頷いた。
「フッ……歓迎されているようだな」
「歓迎じゃないよ!! 完全に“運命のバグ”扱いだよ!!」
◆
管理局の大広間に入ると、
そこには世界中の占術師たちが並んでいた。
未来視の賢者、運命魔導士、時空占術師、物語観測者――
世界の“未来を読む者たち”が勢揃いしていた。
そして中央には、運命管理局長・ミレイユが立っていた。
白銀の髪、星のような瞳、未来そのものをまとった女性。
その存在は、まさに“運命を知る者”だった。
「黒城レイ……あなたが噂の“運命を揺らす男”ですね」
「フッ……悪役だが?」
「悪役って言うな!!」
アリシアが叫ぶ。
ミレイユはレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
あなたの力は、もはや運命の枠を超えています」
「超えているのか?」
「超えてるのよ!!」
セリスが叫ぶ。
「あなたの“跪け”の一言が、
**未来予測の全データを破壊したの!!**」
「破壊したのか?」
「破壊したのよ!!」
◆
ミレイユは巨大な魔導スクリーンを展開した。
そこには――
未来予測の“白紙”が映っていた。
「これは……?」
俺が思わず声を上げた。
ミレイユは震えながら言った。
「“未来空白”です」
「未来空白……?」
「未来が読めない……
運命が存在しない……
物語が書かれていない……」
ルシアが青ざめた。
「そんな状態が……レイの影響で……?」
「影響を受けてるのよ!!」
◆
その時――
管理局全体が揺れた。
――ゴォォォォォォン!!
「緊急事態!!」
「運命層に異常!!」
「物語の外側から何かが接近しています!!」
「物語の外側……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 物語など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで物語が乱れてるの!!」
◆
空間が裂け、巨大な光が降り注いだ。
その中心に――
“物語そのものを象徴する存在”が現れた。
「黒城レイ……」
その声は、物語の外側から響いていた。
「貴様を迎えに来た」
「また迎えに来たのか!!」
俺が叫ぶ。
物語の化身はレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様こそ、我が後継者……!」
「違う!!」
アリシアが叫ぶ。
「黒城レイは物語の後継者じゃない!!
ただの……ただの……」
アリシアは言葉に詰まった。
「……ただの何?」
俺が代わりに言った。
「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」
物語の化身は震えながら言った。
「……悪役ロールでこの力……
やはりあなたこそ、創造主の器……!」
「いや、なんでそうなるんだよ!!」
◆
物語の化身が手を伸ばす。
レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。
「――跪け」
その瞬間、物語の化身が空間に叩きつけられた。
運命が震え、未来が揺れ、物語が乱れた。
「な……っ……!?
物語の化身が……押さえつけられて……?」
ミレイユは震えながら言った。
「黒城レイ……
あなた……物語そのものを屈服させたのよ……!」
「屈服させたのか?」
「させたのよ!!」
◆
こうして――
**黒城レイは“物語すら跪かせた存在”として、
世界・異界・宇宙・世界核・そして物語の外側からも“頂点”として扱われることになった。**
もちろん本人は、まったく理解していない。
そして俺は――
またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。




