【第15話】 宇宙意志の覚醒と、悪役の影が星々を震わせる
黒城レイが“異界の王を跪かせた”翌日――。
世界は、もはや“世界”という枠組みを超えていた。
王国軍、魔王軍、宗教国家、冒険者ギルド、英雄連盟、異界軍勢――
すべてがレイの前に跪き、世界は静寂に包まれていた。
だが、その静寂は――
**宇宙の外側** にまで届いていた。
「黒城レイ……」
「異界の王を跪かせた……?」
「いや、跪かせたどころか“空間そのものを屈服させた”らしい……」
「そんな存在……宇宙の均衡を乱す……」
星々の間を漂う“宇宙意志”が、レイの存在を観測し始めていた。
◆
王都は今日も静かだった。
昨日までの戦争が嘘のように、
街は平和そのものだった。
だが――
その平和は、レイが“世界を止めた”結果にすぎない。
「黒城レイ様……」
「今日もお美しい……」
「いや、怖いだろ……」
王都の住民たちは、レイを見るだけで震えていた。
レイはそれを見ながら、なぜか満足げに頷いていた。
「フッ……我が闇の名は、ついに世界を静寂へと導いたか」
「いや、悪い意味でだよ!!」
俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。
そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシア、異界の王代理がついてくる。
「黒城レイ。今日、あなたは“宇宙観測庁”に呼ばれているわ」
「宇宙観測庁……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 宇宙など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで宇宙が揺れてるの!!」
「揺れているのか?」
「揺れてるのよ!!」
◆
宇宙観測庁――
世界中の魔導士、科学者、賢者が集まる巨大な研究施設。
だが――
その前には数千人の研究者と兵士が集まっていた。
「黒城レイが来るぞ!!」
「異界の王を跪かせた男……」
「いや、空間そのものを屈服させた男だ……」
「どっちにしろ宇宙規模の脅威だろ……!」
いや、違うよ!!
レイは満足げに頷いた。
「フッ……歓迎されているようだな」
「歓迎じゃないよ!! 完全に“宇宙災害”扱いだよ!!」
◆
観測庁の大広間に入ると、
そこには世界中の研究者たちが並んでいた。
魔導科学者、空間魔導士、天文賢者、異界研究者――
世界の“知”が勢揃いしていた。
そして中央には、宇宙観測庁長官・エルミナが立っていた。
銀髪に紫の瞳、星のような魔力をまとった女性。
その存在は、まさに“宇宙を知る者”だった。
「黒城レイ……あなたが噂の“宇宙を揺らす男”ですね」
「フッ……悪役だが?」
「悪役って言うな!!」
アリシアが叫ぶ。
エルミナはレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
あなたの力は、もはや世界や異界の枠を超えています」
「超えているのか?」
「超えてるのよ!!」
セリスが叫ぶ。
「あなたの“跪け”の一言が、
**宇宙の観測データに影響を与えているの!!**」
「影響を与えているのか?」
「与えてるのよ!!」
◆
エルミナは巨大な魔導スクリーンを展開した。
そこには――
宇宙空間に浮かぶ巨大な“目”のようなものが映っていた。
「これは……?」
俺が思わず声を上げた。
エルミナは震えながら言った。
「“宇宙意志”です」
「宇宙意志……?」
「宇宙そのものの意思……
星々を生み、世界を管理し、異界を監視する存在……」
アリシアが青ざめた。
「そんな存在が……レイを見てるの……?」
「見てるのよ!!」
◆
その時――
観測庁全体が揺れた。
――ゴォォォォォォン!!
「緊急事態!!」
「宇宙意志が接近!!」
「空間が歪んでいます!!」
「宇宙意志が……接近……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 宇宙など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで宇宙が動いてるの!!」
◆
空間が裂け、巨大な光が降り注いだ。
その中心に――
“星々をまとった巨大な存在”が現れた。
「黒城レイ……」
その声は、宇宙そのものの響きだった。
「貴様を迎えに来た」
「また迎えに来たのか!!」
俺が叫ぶ。
宇宙意志はレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様こそ、我が後継者……!」
「違う!!」
アリシアが叫ぶ。
「黒城レイは宇宙の後継者じゃない!!
ただの……ただの……」
アリシアは言葉に詰まった。
「……ただの何?」
俺が代わりに言った。
「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」
宇宙意志は震えながら言った。
「……悪役ロールでこの力……
やはりあなたこそ、宇宙の器……!」
「いや、なんでそうなるんだよ!!」
◆
宇宙意志が手を伸ばす。
レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。
「――跪け」
その瞬間、宇宙意志の巨大な身体が空間に叩きつけられた。
宇宙が震え、星々が揺れた。
「な……っ……!?
宇宙意志が……押さえつけられて……?」
エルミナは震えながら言った。
「黒城レイ……
あなた……宇宙すら屈服させたのよ……!」
「屈服させたのか?」
「させたのよ!!」
◆
こうして――
**黒城レイは“宇宙すら跪かせた存在”として、
世界・異界・宇宙のすべてから“頂点”として扱われることになった。**
もちろん本人は、まったく理解していない。
そして俺は――
またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。




