【第14話】 世界の外側からの侵略と、悪役の影が宇宙を震わせる
黒城レイが“世界を一言で止めた”翌日――。
世界は、もはや“平和”という概念を忘れていた。
王国軍、魔王軍、宗教国家、冒険者ギルド、英雄連盟――
すべての勢力がレイの前に跪き、戦争は一瞬で終わった。
だが、その余波は世界の外側にまで届いていた。
「黒城レイという存在……」
「魔王を跪かせ、神獣を押さえつけ、英雄総帥を沈め……」
「世界を一言で止めた……?」
世界の外側――
“異界”と呼ばれる次元の住人たちが動き始めていた。
◆
王都は静まり返っていた。
昨日までの戦争が嘘のように、
街は平和そのものだった。
だが――
その平和は、レイが“世界を止めた”結果にすぎない。
「黒城レイ様……」
「今日もお美しい……」
「いや、怖いだろ……」
王都の住民たちは、レイを見るだけで震えていた。
レイはそれを見ながら、なぜか満足げに頷いていた。
「フッ……我が闇の名は、ついに世界を静寂へと導いたか」
「いや、悪い意味でだよ!!」
俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。
そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシアがついてくる。
「黒城レイ。今日、あなたは“世界連合本部”に呼ばれているわ」
「連合本部……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 連合など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで世界が混乱してるの!!」
「そうなのか?」
「そうよ!!」
◆
世界連合本部――
世界中の勢力が集まる巨大な塔。
だが――
その前には数万人の兵士と冒険者が集まっていた。
「黒城レイが来るぞ!!」
「世界を止めた男……」
「いや、宇宙規模の脅威だ……」
「どっちにしろ関わりたくない……!」
いや、関わってるだろ!!
レイは満足げに頷いた。
「フッ……歓迎されているようだな」
「歓迎じゃないよ!! 完全に“災害の中心”扱いだよ!!」
◆
連合本部の大広間に入ると、
そこには世界中の代表者たちが並んでいた。
王国の王、魔王軍の幹部、宗教国家の大神官、冒険者ギルドのマスター、英雄連盟総帥――
世界の“頂点”が勢揃いしていた。
そして中央には、世界連合議長が立っていた。
「黒城レイ……貴様が噂の“世界を止めた男”か」
「フッ……悪役だが?」
「悪役って言うな!!」
アリシアが叫ぶ。
議長はレイを睨みつけた。
「黒城レイ。貴様のせいで世界は戦争を回避した」
「良いことではないのか?」
「良いことだけど!! やり方が問題なのよ!!」
セリスが叫ぶ。
「あなたの“跪け”一言で、世界中の勢力が地面に叩きつけられたの!!」
「叩きつけたのか?」
「叩きつけたのよ!!」
◆
議長は深いため息をついた。
「黒城レイ……
貴様の存在は、世界の均衡を崩しすぎている」
「崩しているのか?」
「崩してるのよ!!」
アリシアが叫ぶ。
「あなたのせいで、世界は“黒城レイ中心”に回り始めてるの!!」
「中心……か。悪役としては悪くないな」
「悪くないじゃないのよ!!」
◆
その時――
世界連合本部全体が揺れた。
――ゴォォォォォォン!!
「緊急事態!!」
「空間の裂け目が発生!!」
「異界から何かが侵入してくる!!」
「異界……?」
俺とレイとアリシアは同時に声を上げた。
空間が裂け、巨大な黒い穴が現れた。
その中心から、異様な気配が溢れ出す。
「これは……魔王軍の魔力じゃない……」
「神域の気配でもない……」
「未知の……異界の力……!」
ルシアが震えながら言った。
「黒城レイ……
あなたの力が“異界”にまで届いたのです……!」
「届いたのか?」
「届いたのよ!!」
◆
裂け目から、巨大な影が現れた。
黒い鎧、無数の目、異様な魔力。
「黒城レイ……
貴様を迎えに来た」
「また迎えに来たのか!!」
俺が叫ぶ。
異界の存在はレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様こそ、我ら異界の王……!」
「違う!!」
アリシアが叫ぶ。
「黒城レイは異界の王じゃない!!
ただの……ただの……」
アリシアは言葉に詰まった。
「……ただの何?」
俺が代わりに言った。
「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」
異界の存在は震えながら言った。
「……悪役ロールでこの力……
やはりあなたこそ、異界の器……!」
「いや、なんでそうなるんだよ!!」
◆
異界の存在が突進する。
レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。
「――跪け」
その瞬間、異界の存在が地面に叩きつけられた。
世界連合本部全体が震え、空間が歪んだ。
「な……っ……!?
異界の王が……押さえつけられて……?」
セリスは震えながら言った。
「黒城レイ……
あなた……異界すら支配できるの……?」
「支配しているのか?」
「支配してるのよ!!」
◆
こうして――
**黒城レイは“異界すら跪かせた存在”として、
世界だけでなく異界からも“頂点”として扱われることになった。**
もちろん本人は、まったく理解していない。
そして俺は――
またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。




