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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第3章:世界規模の誤解
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【第13話】 世界衝突の序章と、悪役の影が戦争を止める

 黒城レイを巡る“世界争奪戦”が始まった翌日――。


 世界は、もはや“平和”という言葉を忘れていた。


「黒城レイを確保せよ!!」

「いや、黒城レイは我が国が保護する!!」

「神殿が優先だ!!」

「ギルドが先だ!!」

「英雄連盟が先だ!!」


 各勢力が同時に動き出し、

 王都の空は魔法と魔力で埋め尽くされていた。


 レイはそれを見ながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、ついに世界を戦場へと変えたか」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシアがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは“王都防衛本部”に呼ばれているわ」


「防衛本部……?」


 レイは首をかしげた。


「俺は悪役だぞ? 防衛など関係ないだろう」


「関係あるのよ!! あなたのせいで王都が戦場なの!!」


「そうなのか?」


「そうよ!!」



 王都防衛本部――

 王国軍、冒険者ギルド、英雄連盟、宗教国家の神官、魔導庁……

 すべての勢力が集まる巨大な作戦室。


 だが――

 その前には数万人の兵士と冒険者が集まっていた。


「黒城レイが来るぞ!!」

「魔王を跪かせた男……」

「いや、英雄総帥を押さえつけた男だ……」

「どっちにしろ世界最強だろ……!」


 いや、違うよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に“戦争の原因”扱いだよ!!」



 防衛本部の大広間に入ると、

 そこには世界中の代表者たちが並んでいた。


 王国の王、魔王軍の幹部、宗教国家の大神官、冒険者ギルドのマスター、英雄連盟総帥――

 世界の“頂点”が勢揃いしていた。


 そして中央には、王国軍総司令官・グランツが立っていた。


 鋼の鎧、巨大な槍、圧倒的な威圧感。

 その存在は、まさに“戦場の王”だった。


「黒城レイ……貴様が噂の“世界最強の危険存在”か」


「フッ……悪役だが?」


「悪役って言うな!!」


 アリシアが叫ぶ。


 グランツはレイを睨みつけた。


「黒城レイ。貴様のせいで世界が戦争寸前だ」


「俺のせいなのか?」


「そうよ!!」


 セリスが叫ぶ。


「あなたを巡って各勢力が衝突してるの!!」


「衝突……?」


 レイは少し考えたあと、満足げに頷いた。


「フッ……悪役としては悪くないな」


「悪くないじゃないのよ!!」



 グランツは巨大な槍を構えた。


「黒城レイ……

 貴様の力、確かめさせてもらう!!」


「フッ……良いだろう」


「良くないよ!!」


 グランツが突進する。


 その速度は、英雄総帥ゼノスすら上回っていた。


「速い……!」

「これが王国軍総司令官……!」

「黒城レイでも避けられないんじゃ……?」


 いや、避ける必要ないんだよな……


 レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。


「――跪け」


 その瞬間、グランツの身体が地面に叩きつけられた。


 防衛本部全体が震え、床が砕けた。


「な……っ……!?

 わ、私が……押さえつけられて……?」


 グランツは震えながらレイを見上げた。


「貴様……本当に……魔王……?」


「違う。悪役だ」


「悪役で軍総司令官を押さえつけるな!!」


 アリシアが叫んだ。



 グランツは立ち上がり、深々と頭を下げた。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我ら王国軍が忠誠を誓うべき存在……!」


「誓うなよ!!」


 俺とアリシアが同時に叫んだ。


 だが王国軍の兵士たちは震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、軍の頂点……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 その時――

 王都全域に警報が鳴り響いた。


 ――ゴォォォォォォン!!


「緊急事態!!」

「魔王軍が王都に侵攻!!」

「黒城レイを奪還しに来た可能性あり!!」


「いや、奪還ってなんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは魔力探知器を見て震えた。


「……これは……魔王軍の“幹部級”が複数……!

 しかも……魔王本人の魔力反応まで……!」


「またかよ!!」



 王都の空が黒い霧に包まれた。


 その中心に、魔王が現れた。


「黒城レイ……貴様を迎えに来た」


「迎えに来るなよ!!」


 俺が叫ぶ。


 魔王はレイを見つめ、震える声で言った。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我が後継者……!」


「違う!!」


 アリシアが叫ぶ。


「黒城レイは魔王じゃない!!

 ただの……ただの……」


 アリシアは言葉に詰まった。


「……ただの何?」


 俺が代わりに言った。


「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


 魔王は震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、魔王の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 さらに――

 王都の反対側から巨大な光が降り注いだ。


「これは……宗教国家の神官軍……!」


 ルシアが震えながら言った。


「黒城レイ!!

 あなたを神殿が保護する!!」


「保護するなよ!!」



 さらにさらに――

 空から巨大な竜が降りてきた。


「これは……英雄連盟の竜騎士団……!」


「黒城レイ!!

 あなたを英雄連盟が保護する!!」


「保護するなよ!!」



 そして――

 地面が揺れ、冒険者ギルドのS級冒険者たちが現れた。


「黒城レイ!!

 あなたをギルドが保護する!!」


「保護するなよ!!」



 こうして――

**王国軍、魔王軍、宗教国家、冒険者ギルド、英雄連盟が

 “黒城レイを巡って王都で衝突する”という前代未聞の事態が発生した。**


 世界は、完全に崩壊寸前だった。



 だが――

 レイは静かに立ち上がった。


「……ユウ。俺はどうすればいい?」


「どうすればって……止めるしかないだろ!!

 お前が原因なんだから!!」


「原因……か」


 レイはゆっくりと歩き出した。


 その瞬間、世界中の勢力が動きを止めた。


「黒城レイが動いた……!」

「攻撃か……!?」

「世界が終わる……!」


 レイは空を見上げ、静かに呟いた。


「――跪け」


 その一言で、

 王国軍、魔王軍、神官軍、冒険者ギルド、英雄連盟――

 すべての勢力が地面に叩きつけられた。


 王都全域が震え、空気が揺れた。


「な……っ……!?

 世界中の勢力が……押さえつけられて……?」


 アリシアは震えながら言った。


「黒城レイ……

 あなた……世界を一言で止めたのよ……!」


「止めたのか?」


「止めたのよ!!」



 こうして――

**黒城レイは“世界を一言で止めた存在”として、

 世界中の勢力から“絶対的頂点”として扱われることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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