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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第3章:世界規模の誤解
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【第12話】 世界争奪戦の幕開けと、悪役の影が覇権を揺るがす

 黒城レイが“英雄連盟総帥と魔王を跪かせた”という衝撃は、

 世界中の勢力を震え上がらせた。


 いや、震え上がらせたどころではない。


 世界は、もはや“黒城レイを巡る争奪戦”に突入していた。


「黒城レイを味方にすれば世界を制せる……」

「いや、敵に回せば世界が滅ぶ……」

「どうする……どうすればいい……!」


 各国の王、魔王軍の幹部、宗教国家の神官、冒険者ギルドの英雄たち――

 全員がレイをどう扱うかで頭を抱えていた。


 レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、ついに世界を動かし始めたか」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシアがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは“世界連合会議”に呼ばれているわ」


「世界連合……?」


 レイは首をかしげた。


「俺は悪役だぞ? 世界連合など関係ないだろう」


「関係あるのよ!! あなたのせいで世界が崩壊しかけてるの!!」


「そうなのか?」


「そうよ!!」



 世界連合会議――

 世界中の国、宗教、ギルド、英雄連盟が集まる巨大な会場。


 だが――

 その前には数万人の兵士と冒険者が集まっていた。


「黒城レイが来るぞ!!」

「魔王を跪かせた男……」

「いや、英雄連盟総帥を押さえつけた男だ……」

「どっちにしろ世界最強だろ……!」


 いや、違うよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に“世界の脅威”扱いだよ!!」



 会議場の大広間に入ると、

 そこには世界中の代表者たちが並んでいた。


 王国の王、魔王軍の幹部、宗教国家の大神官、冒険者ギルドのマスター、英雄連盟総帥――

 世界の“頂点”が勢揃いしていた。


 そして中央には、世界連合議長が立っていた。


「黒城レイ……貴様が噂の“世界最強の危険存在”か」


「フッ……悪役だが?」


「悪役って言うな!!」


 アリシアが叫ぶ。


 議長はレイを睨みつけた。


「黒城レイ。貴様が魔王、神獣、英雄総帥を跪かせたというのは本当か?」


「跪かせたというより……少し押さえつけただけだが?」


「それが問題なんだよ!!」


 世界中の代表者がざわめく。


「魔王を押さえつけるなど……」

「神獣を跪かせるなど……」

「英雄総帥を沈めるなど……」

「やはり魔王候補……いや、魔王そのもの……」


 レイは腕を組み、堂々と立っていた。


「……ユウ。俺はどうすればいい?」


「どうすればって……誤解を解くしかないだろ!!」


「誤解……?」


「そうだよ!! お前は魔王でも神でも英雄でもないって言え!!」


 レイは少し考えたあと、世界連合に向かって言った。


「俺は魔王でも神でも英雄でもない」


 会議が静まり返る。


「……では、何者だ?」


 レイは胸を張って答えた。


「悪役だ」


「言うなって言ってるだろおおおおお!!」


 世界連合が大混乱に陥った。


「悪役……!?」

「魔王より危険では……?」

「いや、悪役の方がタチが悪い……!」


 セリスが絶望した顔で言った。


「黒城レイ……あなた、世界を滅ぼす気……?」


「そんなつもりはない。俺は悪役ロールを楽しんでいるだけだ」


「それが一番危険なんだよ!!」



 議長が震える声で言った。


「黒城レイ……

 貴様を“世界危険度SSS級”と認定する!!」


「認定するなよ!!」


 俺が叫ぶ。


 だが議長は続けた。


「そして……

 貴様を巡る争奪戦を防ぐため、

 “黒城レイ保護条約”を締結する!!」


「は?」


 俺とレイとアリシアは同時に声を上げた。


 王国代表が言った。


「黒城レイは我が国が保護する!!」


 魔王軍幹部が言った。


「いや、黒城レイは魔王軍が迎えに来た!!」


 宗教国家の大神官が言った。


「黒城レイは神の器!! 神殿が保護する!!」


 冒険者ギルドマスターが言った。


「黒城レイは人類最強!! ギルドが保護する!!」


 英雄連盟総帥が言った。


「黒城レイは英雄連盟が保護する!!」


 ――会議場が崩壊した。


「なんで全員がレイを欲しがるんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは頭を抱えた。


「……黒城レイ。あなた、世界の覇権争いの中心よ……」


「覇権争い……?」


 レイは少し考えたあと、満足げに頷いた。


「フッ……悪役としては悪くないな」


「悪くないじゃないのよ!!」



 その時――

 会議場全体が揺れた。


 ――ゴォォォォォォン!!


「緊急事態!!」

「魔王軍が会議場に接近!!」

「黒城レイを奪還しに来た可能性あり!!」


「いや、奪還ってなんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは魔力探知器を見て震えた。


「……これは……魔王軍の“幹部級”が複数……!

 しかも……魔王本人の魔力反応まで……!」


「またかよ!!」



 会議場の外が黒い霧に包まれた。


 その中心に、魔王が現れた。


「黒城レイ……貴様を迎えに来た」


「迎えに来るなよ!!」


 俺が叫ぶ。


 魔王はレイを見つめ、震える声で言った。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我が後継者……!」


「違う!!」


 アリシアが叫ぶ。


「黒城レイは魔王じゃない!!

 ただの……ただの……」


 アリシアは言葉に詰まった。


「……ただの何?」


 俺が代わりに言った。


「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


 魔王は震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、魔王の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 こうして――

**黒城レイは“世界が奪い合う存在”として、

 世界中の勢力から“覇権の鍵”として扱われることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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