【第12話】 世界争奪戦の幕開けと、悪役の影が覇権を揺るがす
黒城レイが“英雄連盟総帥と魔王を跪かせた”という衝撃は、
世界中の勢力を震え上がらせた。
いや、震え上がらせたどころではない。
世界は、もはや“黒城レイを巡る争奪戦”に突入していた。
「黒城レイを味方にすれば世界を制せる……」
「いや、敵に回せば世界が滅ぶ……」
「どうする……どうすればいい……!」
各国の王、魔王軍の幹部、宗教国家の神官、冒険者ギルドの英雄たち――
全員がレイをどう扱うかで頭を抱えていた。
レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。
「フッ……我が闇の名は、ついに世界を動かし始めたか」
「いや、悪い意味でだよ!!」
俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。
そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシアがついてくる。
「黒城レイ。今日、あなたは“世界連合会議”に呼ばれているわ」
「世界連合……?」
レイは首をかしげた。
「俺は悪役だぞ? 世界連合など関係ないだろう」
「関係あるのよ!! あなたのせいで世界が崩壊しかけてるの!!」
「そうなのか?」
「そうよ!!」
◆
世界連合会議――
世界中の国、宗教、ギルド、英雄連盟が集まる巨大な会場。
だが――
その前には数万人の兵士と冒険者が集まっていた。
「黒城レイが来るぞ!!」
「魔王を跪かせた男……」
「いや、英雄連盟総帥を押さえつけた男だ……」
「どっちにしろ世界最強だろ……!」
いや、違うよ!!
レイは満足げに頷いた。
「フッ……歓迎されているようだな」
「歓迎じゃないよ!! 完全に“世界の脅威”扱いだよ!!」
◆
会議場の大広間に入ると、
そこには世界中の代表者たちが並んでいた。
王国の王、魔王軍の幹部、宗教国家の大神官、冒険者ギルドのマスター、英雄連盟総帥――
世界の“頂点”が勢揃いしていた。
そして中央には、世界連合議長が立っていた。
「黒城レイ……貴様が噂の“世界最強の危険存在”か」
「フッ……悪役だが?」
「悪役って言うな!!」
アリシアが叫ぶ。
議長はレイを睨みつけた。
「黒城レイ。貴様が魔王、神獣、英雄総帥を跪かせたというのは本当か?」
「跪かせたというより……少し押さえつけただけだが?」
「それが問題なんだよ!!」
世界中の代表者がざわめく。
「魔王を押さえつけるなど……」
「神獣を跪かせるなど……」
「英雄総帥を沈めるなど……」
「やはり魔王候補……いや、魔王そのもの……」
レイは腕を組み、堂々と立っていた。
「……ユウ。俺はどうすればいい?」
「どうすればって……誤解を解くしかないだろ!!」
「誤解……?」
「そうだよ!! お前は魔王でも神でも英雄でもないって言え!!」
レイは少し考えたあと、世界連合に向かって言った。
「俺は魔王でも神でも英雄でもない」
会議が静まり返る。
「……では、何者だ?」
レイは胸を張って答えた。
「悪役だ」
「言うなって言ってるだろおおおおお!!」
世界連合が大混乱に陥った。
「悪役……!?」
「魔王より危険では……?」
「いや、悪役の方がタチが悪い……!」
セリスが絶望した顔で言った。
「黒城レイ……あなた、世界を滅ぼす気……?」
「そんなつもりはない。俺は悪役ロールを楽しんでいるだけだ」
「それが一番危険なんだよ!!」
◆
議長が震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様を“世界危険度SSS級”と認定する!!」
「認定するなよ!!」
俺が叫ぶ。
だが議長は続けた。
「そして……
貴様を巡る争奪戦を防ぐため、
“黒城レイ保護条約”を締結する!!」
「は?」
俺とレイとアリシアは同時に声を上げた。
王国代表が言った。
「黒城レイは我が国が保護する!!」
魔王軍幹部が言った。
「いや、黒城レイは魔王軍が迎えに来た!!」
宗教国家の大神官が言った。
「黒城レイは神の器!! 神殿が保護する!!」
冒険者ギルドマスターが言った。
「黒城レイは人類最強!! ギルドが保護する!!」
英雄連盟総帥が言った。
「黒城レイは英雄連盟が保護する!!」
――会議場が崩壊した。
「なんで全員がレイを欲しがるんだよ!!」
俺が叫ぶ。
アリシアは頭を抱えた。
「……黒城レイ。あなた、世界の覇権争いの中心よ……」
「覇権争い……?」
レイは少し考えたあと、満足げに頷いた。
「フッ……悪役としては悪くないな」
「悪くないじゃないのよ!!」
◆
その時――
会議場全体が揺れた。
――ゴォォォォォォン!!
「緊急事態!!」
「魔王軍が会議場に接近!!」
「黒城レイを奪還しに来た可能性あり!!」
「いや、奪還ってなんだよ!!」
俺が叫ぶ。
アリシアは魔力探知器を見て震えた。
「……これは……魔王軍の“幹部級”が複数……!
しかも……魔王本人の魔力反応まで……!」
「またかよ!!」
◆
会議場の外が黒い霧に包まれた。
その中心に、魔王が現れた。
「黒城レイ……貴様を迎えに来た」
「迎えに来るなよ!!」
俺が叫ぶ。
魔王はレイを見つめ、震える声で言った。
「黒城レイ……
貴様こそ、我が後継者……!」
「違う!!」
アリシアが叫ぶ。
「黒城レイは魔王じゃない!!
ただの……ただの……」
アリシアは言葉に詰まった。
「……ただの何?」
俺が代わりに言った。
「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」
魔王は震えながら言った。
「……悪役ロールでこの力……
やはりあなたこそ、魔王の器……!」
「いや、なんでそうなるんだよ!!」
◆
こうして――
**黒城レイは“世界が奪い合う存在”として、
世界中の勢力から“覇権の鍵”として扱われることになった。**
もちろん本人は、まったく理解していない。
そして俺は――
またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。




