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十悪業  作者: 悠希妙
5/11


書庫に入ってから数十分。

この中から『旧学院が炎上した時の発火原因を記した記録』

つまり『アレ』を見つける。


その事が、どれだけ大変かを実感させられていた。


書庫を管理している人に居場所を教えて貰えば良い。

と、一見そう思うだろう。

だが目的の物が物だった。

今の時代誰が、どの時間帯に、何を借りた、それ等の事実は鮮明に記録されてしまう。


そうでなくともこの深夜の時間帯に書庫の管理員に場所を聞くという行為は、記録だけでなく記憶に残りやすい。

うかつで愚直な痕跡は一切出してはいけない。


なので、取れる行動としてはひたすら虱潰しに探していく事のみで、それはまさに知識の宝物庫であるこの書庫という場所で、本棚という宝箱の中にある財宝の価値を一つ一つ確かめていくに等しかった。


気が遠くなる作業なのは覚悟していたが、いや、していたつもりになっていただけだっんだろう。

約一時間が経った段階で焦りと不安が募った。


丁寧に探している自分に対してもう一人はぼやき始めた


「なあ……時計は既に日付が変わっている、1日で見つけなくても良いとは言われたが、この量だ……二人だと下手したら今月中には終わらないぞ……」


探す手こそ止めないものの途方に暮れているという言葉を表した顔をしている。丁寧に探している暇など無いんだと思い知らされる。


だが、人数を増やす事だけは出来ない事を伝える。


「……分かってるよ、ただの愚痴さ。そんな人数では情報の統制と漏洩は免れない。そんな事はデキナイ。」


「……だがなあ……それにしたってこの量は……」


愚痴を再開しブツブツと小声で言い続けている。

少しでも怪しまれてはいけないという話なのに周りに漏洩どころか暴露しているも同然の愚痴はすぐにやめさせた。

やめさせたついでに時計を見るともう既に二時間が経っている。体感と比べてあまりにも時間の進み方が早いので少し驚いたが作業を続けようとした。


しかし、残念ながら今日はここまででタイムリミットらしい。

携帯に一本のメッセージが届いたからだ。

自分達二人は直ぐに適当な本を選び机に運び、読者にふけるフリを始めなければならない。


実際に読書なんて始めたら時間を忘れる程度には読書は好きだ。

だが、今回に関しては重圧で本を持って適当にめくる下手な演技をするのが精一杯だった。

文字は目に入れているがそれを考察して、解釈を導き出す余裕なんて全く無い。向かい斜め右前に居る愚痴こぼしの同期も流石に真剣に取り繕っている。


だってそうだろう


今まさにこの書庫に"居る"んだから……。


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