【第6話】AIシュナイダーがついに進化を開始!
前世以上の相棒となったエレーヌとのコンビで充実した日々が始まった。
「ワタル、作物の育ちが良くなったぞ。だから、他の奴の畑にもお前の能力を使ってみてくれ」
「分かりました」
シュナイダーも反応する。
「ワタル、俺の能力疑ってたよね」
「いやー、でもさ、もし栄養与えすぎて枯れたらってちょっとだけ心配するじゃん(笑)」
「そんなヘマをするAIじゃないよ、俺は」
1時間かけて村全体の畑に最適化を施した。
そして、街まで出かけてエレーヌが滞在している宿屋に向かった。エレーヌは、料理の能力で食事の手伝いをする代わりに、宿代を半額にしてもらっていた。
===
さあ、これから、実戦と訓練づけの毎日だ。エレーヌが肩を叩きながら宣言だ。
「よーし、ここから強めの魔物狩りのクエストこなすぞ。後は、毎日剣で勝負だ!」
「いや、そんなに張り切るの?」
「当たり前だろ、2人揃った今こそ急激にレベル上げするチャンスだ。」
「ん---、仕方ない。やりますか。フランスでの訓練を思い出して」
「それより、いきなり寝ぐせが酷いぞ。全くそういう抜けたところは前世と変わらないな」
「すまん!」
しんどいけど、充実した日々が続いた。でも、ワタルが悔しいのは、剣の腕ではエレーヌが上だということ。
「ワタル、剣の腕はまだまだだな。前世でも格闘は私が上だった」
「待て待て、前世はそんなことなかっただろう」
「いやいや体格差があったから私の方が強かった」
「くそー!、早くレベルで追い越したい。でもコンビで戦ってるから難しいなあ。そういやいつも俺が驕ってやったよな!」
「それはワタルが、インチキ株取引でたまたま儲けてたから(笑)」
「俺が学生時代遊ばずに努力した結晶に、なんてことを」
この世界でのエレーヌは、パワーよりも剣の技術で魔物を圧倒していた。美人になって華麗な剣さばきにたまに見惚れるワタル。
「いかん、いかん」とごつかったエレーヌの記憶で上書きする。
2人のコンビはうまくいった。強敵に対しては、’おとり役’と’仕留め役’が自在に入れ替わりながら、最短で攻略する。
エレーヌは、Lv.24にアップし、氷魔法は、アイス・ランス[ 氷槍]ととブリザード [ 吹雪]が使えるように進化した。
剣士としては、10m飛ばせる斬撃を取得した。
そして、ワタルは
「レベルが22に上がりました・・・」
「えっ、それだけ、他に無いの?」
「ワタル、喜べ、俺がものすごく進化したよ」
AIのシュナイダーからの報告
「火、水、氷、風、土の魔法の術式を、俺が一瞬で書けるようになったよ。これでワタルは本格的な魔法使いになったよ!」
「後、周囲の情報集と分析が1キロまで広がったよ!」
「マジかあ!ついにシュナイダーが進化を開始か。それはヤバい能力を手に入れてしまった!」
「えっへへ。まさかねー。俺もビックリ。でもどの魔法もレベル10程度のものしか使えないから、氷魔法はエレーヌの方がずっと強烈だぞ」
「いやいやとりあえず、充分だよ」
早速エレーヌに報告すると、
「ワタルはまたズルをしたのか?でもこのチームの戦力は大幅アップだな。これなら上級の魔物と勝負できるかもな」
「これ2人とも接近戦でも距離を取っても、いい戦いができるな。でもまだまだだ。油断したらいつ前世のようにやられるか分からない」
「そうだな。お互いせっかく2回目の命を貰ったのだから、大事にしないとな。周囲の1キロまで探査できるのもかなりデカい!強い魔物と接近する前に手が打てる」
「しかも美男美女の顔まで貰ってな」
「またそれか!」
前の世界では、AIはソフトウェアだから、誰でも使え、誰でも開発できた。だから誰でも被害者になり、誰でも加害者になった。こっちの世界ではワタルだけの能力なのだから、良いことだけに使える。
===
冒険者のレベルは、レベル、経験年数、退治した魔物の内容によって決まる。
ギルドの受付嬢リリーが声を弾ませる。
「エレーヌはBランクに、ワタル君はCランクにランクアップね」
ワタルの能力は、もう総合的ににはAランクレベルなのだが、シュナイダーの存在を公表するにはデメリットが大きいので、まだ隠しておく。
===
翌日、ワタルとエレーヌは、初めて山の中腹当たりまで登っていた。
ここまで来ると中程度に強い魔物がゴロゴロしているらしい。
案の定、オークキング 、ハイオーク、トロールが複数まとめて登場した。ワタルは早速、魔法による攻撃を開始。魔物が弱った瞬間をエレーヌは、斬撃を放つ。こういった連携攻撃で、苦労しながらもなんとか魔物を撃退していく。
でも危険と思ったら、一旦距離を取ったり、岩の影に隠れたり、リスク管理をしながら戦う。元戦闘員だった経験が活かされる。
戦闘は2時間を超え、倒した魔物は15体。今日の戦果としてはまずまずと2人が考え始めたところに、合成獣のキマイラ、しかもかなり巨大なタイプが2体現れた。
「まさか、キマイラはここからずっと先に生息しているはず」
「ヤツはレベル50だ。戦うと殺られる!」
「でも、空も飛べるし、簡単には逃げられそうにないな」
「とにかく距離を取ろう」
「チッ、前方にキマイラ二体、さらに左右からハイオークとトロールの群れか……完全に挟まれた!」
シュナイダーの警告音が脳内で激しく鳴り響く。
『警告。現戦力での生存確率、20%以下。即時撤退を推奨します』
「分かってる。やばい。でも撤退も厳しい」
「ワタル、どうする。全力で逃げるか?それとも踏ん張るか?」
「なかなかにヤベーな。でもキマイラとできるだけ距離を取りつつなんとか他を倒していこう!」
ワタルとエレーヌは、かなりまずい状況に追い込まれつつあったが、戦場で戦った経験のある2人は、この緊張感をどこか楽しみ、アドレナリンが溢れていた。
「俺ら、困ったもんだな。でもやれるとこまでやるぞ!!!」
いきなり窮地に陥ったワタルとエレーヌ。どうやって切り抜けられるのか!?




