【第4話】過去回想:ワタルは若くしてAIで大成功の後、AIで命を落とす
ワタルが何故『AI×魔法』を得ることになったのか?それは前世でAIを完璧に操っていたから。
異世界で唯一(と思われる)能力であるAI×魔法を取得したワタル。Lv.10になり、頭の中のAIの名前はシュナイダー。
半径100mの情報を魔法で一気に収集し、AIが分析して必要な情報を教えてくれる・・・らしい。これは相当な能力。しかも、進化し続ける。
「シュナイダー、俺は異世界から来た事知ってるよね?」
「それは知ってる。でもそれ以外は知らない。俺はワタルのことを詳しく知りたいから、そろそろ教えて欲しい」
「じゃあ小さい頃の話は一旦飛ばして、俺は15歳からAIを使って色んなことを初めたんだけど、17歳で株の自動売買プログラムを自分で開発して、取引を始めたんだ。って株取引って分かんねーか?」
「株?何それ、分からないね」
「前の世界では、ちょっと会社が大きくなると、商品とは別に株というものを発行して別の会社や個人に売るんだ。面白いのは、小麦のように価格が変動するんだ。そうやって価格が上がるほど、会社の資産が増えるし、買った人の資産も増えるんだ」
「へー面白いね」
「小麦みたいにって言ったけど、株の場合、何日かで倍になることもあるし、半額に落ちる場合もある。それで稀に、1年で10倍、20倍になることがある。つまり、金貨1枚で買ったものが1年後に金貨20枚で売れて、金貨19枚儲けることがあるんだ。実際には国に税金も取られるんだけどね」
「なんだそれ、インチキじゃないのか?」
「インチキっぽい会社もあるけどね。でも全体の仕組みは世界中で認められていることなんだ。後、1年で1/10になることもありうるし、会社がつぶれたら株の価値もゼロになるんだ」
「怖いねー。そんでワタルはどうだったの?」
「俺はうまくいったというか、色んなラッキーも重なり、100倍になったのさ。こっちで言うと金貨200枚が2万枚ってとこかな?」
「ええええええ!領主様の豪邸が10軒は建つじゃないか?本当?本当だったとしたら、ワタルは天才詐欺師か?」
「なんととんでも無い失礼な発言(笑)。俺の得意分野が父親の助言もあって、大成功したってわけさ。でも学生時代の6年間は、ずっと世界中の会社の研究やプログラムの修正に追われて大変だったんだよ」
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ワタルは高校大学と、AIによる株式自動売買システムを開発して、それが大成功し、ワタルの資産は20億、父親も12億と一気に資産家になった。これは奇跡的な成功者である。当時のAI半導体ブームに乗っかって、次々と10バガー(株を買ってから10倍に上がること)を当てた。
しかし、日々世界情勢、企業の業績、株価チャートを追い続け、頻繁にプログラム改修を続ける生活に疲れ果て、就職を気に激しい株式売買の生活から卒業したのだ。
またストレス発散のために続けた、サバゲーとスポーツチャンバラの世界でも、名の知れた存在になるぐらい上達していた。
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「その後、就職してからも、AIと関わり続けたんだけど、戦争で攻撃を受けた時に、AIを使って防ぐ研究をかなりして、その道の第一人者と言われたんだよ。えっへん(笑)」
「ずっとAIに関わったんだね。AIマニアだ」
「そうそう、でもある時、AIを使った大戦争があり、世界で80万人が亡くなる大惨事になったんだ。それでAI規制法案が世界中で適用され、俺は皆に白い目で見られて、仕事もやめちゃったんだ」
「えっなんという激しい展開!絶好調から不幸のどん底か。それにしても80万人も人が死ぬなんて、こっちの世界でも過去に無い酷い戦争だったんだね」
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それは、ワタルが30歳の時。この時日本にいた。
ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、フィラデルフィア、ワシントンの5つの都市が、一斉にバタバタと停電が発生。ビルや家が停電するだけでなく、発電機からの通電も止まる等、一気に街は麻痺した。水道も止まった。飛行機の相次ぐ墜落という大きな悲劇も発生した。
その後、イギリス、フランス、ドイツでも起こっていく。
進化したAIが、インフラの脆弱性を次々と見つけて、自発的にストップさせていった。
アメリカ等の西側諸国は、中国、ロシア、イラン等の東側諸国が連携して動いていることを掴んだが、技術力で上回るアメリカは翌日には、最先端AIや量子コンピューターを駆使して、反撃に出る。
今度は、北京、上海、モスクワ等が大きな被害に見舞われた。
2,3日後には”AIブラックアウト戦争”と名付けられる、ミサイルも銃も槍も矢も使わないものの、最悪の戦争となった。
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「それで、自分が生まれ育った日本という島国を出て、フランスという国の戦士になって、色んな国に送り込まれる生活になった」
「すごい変わり身。戦士になれるような素質あったの?」
「実はAIに関わったきっかけは、小さい頃から対戦ゲームと言ってもわかんねーか。とにかく戦う遊びが好きで、その遊びに役立つ格闘技を習ってたんだよ」
「詐欺師の上に乱暴者か。おそろしやーー」
「違う違う、遊びとスポーツ!友達や知らない人に襲いかかったことは無いから(笑)。後ね、サバゲーという外でやる戦争ごっこみたいな遊びや痛くない剣で戦うスポーツチャンバラというものにもハマってたんだよ」
「分かったそれで、能力が剣士と俺シュナイダーになったんだね」
「だろうね。こっちの神様が気を利かしてくれたんだろう・・・としか思えない」
「で、結局なんでこっちに来たんだっけ?」
「戦場で、AIを使った兵器に殺されたんだよ。世界中で禁止されていたはずの兵器。しかも俺も一時期研究に関わったような兵器に!」
「自分で研究した兵器に殺されるなんて、なんて不幸な。仲間はいたの?」
「リーダーの元アメリカ海軍のジョナサン、同い年のブラジル人オリベイラ、それと一番笑い合ったのは、フランス女兵士のエレーヌ。俺よりごつくて、怪力で、でもサバサバして近所の面倒見のいいおばさんというか。全員あの時死んじゃったはずなんだ。ああ皆にまた会いたいなあ」
「なんか激動の人生だね。あっちの世界では良くあることなの?」
「いやーもの凄く変わった人生だと思うよ」
「稼いだお金はどうしたのさ?」
「それがさ、戦士になる前に、ほとんどを兄弟に譲ったり、寄付したりしてたんだよ。それだけは良かったよ」
「おーワタル見直しだぞ!」
「元々悪い人間じゃねーよ(笑)」
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シュナイダーがワタルの前世の波乱万丈の人生を知ったことで、よりワタルへの親近感が増して、信頼もできた。
翌日朝ワタルは早速バギルさん家に向かう。
「畑の作物の成長は順調ですか?」
「うーん、もうちょっとなんだよな」
「じゃあ僕の農夫の能力が上がったみたいなんで、ちょっと見て見ましょうか?」
「おっそれはどんな能力だ?」
「畑の水や栄養素が足りてるかどうかを分析して、足りてない場合、回りから引っ張ってくる能力です」
「ほんとうか!そんな能力のヤツこの村にはいねえぞ。やってみてくれ。今年は雨が少ねーから心配してたんだよ」
バギルさんと畑の真ん中に立った。
「どう、シュナイダー、水と栄養足りてそうか?」
「水も栄養素も少し足りてないかな。じゃあ周辺から取り込むね」
水が動いている音が聞こえる。
「終わったよ。充分ではないけど、改善できた」
「バギルさん終わった・・・はずです」
「いっ、もう終わったのか?暫く様子見だな。枯れたらワタルが植え替えるんだぞ」
「ワタル、バギルさんに、そんなバカじゃないって言って」
「良く分からない能力だけど、多分大丈夫です」
「おーし、この畑がうまく行ったら村の畑全部に頼むぞ」




