【第14話】ワイバーンとの戦いは意外にあっけなく
旅をスタートして1日目に、早速魔物との戦いが始まった。ワイバーンは上空から強力な毒を吐いてくる。2,3発でワタルとエレーヌのシールドを破壊するからやっかいだ。動きながら避けていく。
その後、毒を吐く前の動作でタイミングが分かってきた。ワタルはいきなり空中に飛んで、空気魔法でワイバーンを挑発。
その後、村と畑の反対方向に飛んでいく。
家の中の隙間から見ていた村の人は「あの少年飛べるのか!いったい何者なんだ」とさらに驚く。
エレーヌも走ってついていく。
「ワタル、飛ぶ速度では負ける。ここらで降りよう」
「分かった。シュナイダー、ここからエレーヌを援護してやってくれ」
ここから2対2で正面衝突だ。村と畑から離れたから、やっと安心して戦える。
「エレーヌ、シュナイダーがエレーヌと俺を援護する。だからなるべく離れないように!怪我しないよう、思う存分やろう」
「ワタル、いやシュナイダー助かる」
ワイバーンは、空からの毒に加えて、鋭い牙、強靭なかぎ爪、威力のある尻尾の攻撃を空から仕掛けてくる。ワイバーンの攻撃も強度が増してきた。2人はかわしながら防御中心の序盤戦が続く。
シュナイダーによる魔法攻撃で、少しずつ対抗する。そして10分程度が経過した。
「だいたい慣れてきたぞ。よし、ここから反撃だ。シュナイダーこっちの攻撃の強度を上げてくれ」
「了解。待ってたよ。いくぞーーー」
ファイアーボールとアイスランスの波状攻撃を2体のワイバーンに対して、連続して放つ。ワイバーンからすると想定の何倍もの規模だったのだろう。翼を傷めて、たまらず地上に降りてきた。
「てめえ、覚悟しろよ!」
エレーヌは、その後瞬間移動で、近づいて剣で貫く。
ワタルもシャドウで姿を隠して近づいてから剣で一気に貫いた。
ほぼ同時に、戦い終了。大逆転勝利だ。
相手の攻撃を防御しながら見極め、シュナイダーの援護を受けて形勢逆転した上で一気にカタを付けた勝利は、また2人が強くなった証。リスクを抑えた賢明な戦術でもある。
「ワタル、うまくいったな。シュナイダーのおかげで私の力も50%増しになる。これは凄い」
「そうだね。今の戦い方なら、リスクを抑えつつ効率よく戦える」
そして来た!レベルアップだ。
ワタルに「レベルが50に到達しました」
エレーヌにも「レベルが40に到達しました」
ついに、ワタルはLv.50に到達。
「能力『千里眼』を取得しました。5キロ先まで見ることができます」
「能力『身体硬化』を取得しました」
エレーヌはどう?
「フフ、凄いぞ、光の剣を会得した。ちょっとやってみる」
エレーヌが剣を構えて「光の剣」と唱えると、3mほどの光の剣が現われた。岩を切りつけると一刀両断。中間距離での威力のある攻撃だ。
「おお、エレーヌは料理以外は戦闘に特化してるな」
「シュナイダーは進化したのか?またずるいヤツ(笑)」
「おお、そうだ。シュナイダーどうなんだ?」
「ライトニング・ランスという雷魔法が使えるようになったよ。今まではインスペクションが一番強かったけど、インスペクションは上から真下への攻撃だけなのに対し、ライトニング・ランスはどの角度でも飛ばせるから便利だし、強力だよ」
「なるほど、それはいいねえ」
「試しに一発いくよ。──『ライトニング・ランス』!」
シュナイダーの合図とともに、遥か上空から斜めの軌道で、雷が近くの岩に落ち、粉々に砕け散る。エレーヌが叫んだ。
「おいおい、これは凄いな!疲れはどうだ」
「ちょっとだけ疲れる程度だ。体力もだいぶアップしたみたいだ」
「周囲の探索と分析は10キロ。ワタルの千里眼とセットで強化されたね。それとねーー、今からビックリさせるよ」
「エレーヌ」
「誰!」エレーヌが驚く。
「はじめましてなんかな、シュナイダーだよ」
「シュナイダー!私と会話できるようになったのか?」
「そうそう、会話できるもう1人を決めることができるようになったんだ。だから当然エレーヌを指定したよ。でも近くにいないと届かないみたい」
「じゃあ私にも周囲の危険を、すぐに直接伝えてくれるのだな?」
「そうそう。相手の弱点もね」
「よーし、ワタルの狡さを私にも活かせるんだな(笑)」
「また人聞きの悪いことを(笑)。これで3人で会話もできるのか?なんか頭の中がウルさくなるなあ(笑)」
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「ところで、ワイバーンは死んでも死体が消えないんだね」
「そうそう。こういうモロ野獣系は残るのさ。ワイバーンの肉はすげえ美味いって聞くけどどうする?」
「なんとそうなんだ。村まで運べるよう俺が飛んで村の人達と戻ってくるよ」
20分後、あっという間にワイバーンを始末した話に驚いた村の人達を連れて丘に戻ってきた。
「エレーヌお待たせ!あれ、なんか解体してる?」
「ああ、レベルアップで料理の能力が上がって解体がすぐにできちまった」
「すごい、これで肉だけ運べばいいんだね」
村の人達も驚きの連続だ(笑)。
村に戻るとまず、その日食べる肉と、保管用の肉を分ける。焼くのは村の女性達とエレーヌ。ワタルは土魔法で穴を掘り、そこに氷魔法で出した固い氷を敷き詰め、急ごしらえの冷凍庫を作った。
「これで1週間は持つと思いますので、また食べてくださいね」
「ひええ、あんたらどこまで凄いんだ」
そして、何故か2日間連続して、異なる村での宴会となった。
酒があまり無いので、エレーヌがちょっとだけ不満そうだ(笑)。で、そのエレーヌが立ち上がって発表する。
「みんな、アイバーンから取れた2つの魔石。1個プレゼントするよ。村の復興と当面の食糧の買い出しに使ってくれ」
驚きと感激の顔が並んでいる。
「さすがにそこまでは甘えることはできないよ」村の人達は、皆で遠慮する。
「いや、いいのさ。この村に偶然立ち寄って、偶然アイバーンと戦った。おかげてレルアップできて、肉が食えて、酒も一杯だけだけど飲めたんだからさ」
「エレーヌ、良いこと言っても一杯だけというのは余計だぞ」
エレーヌの優しさに感動して泣きながらも、ワタルのツッコミに笑う村の人達。
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2人は空いている家を借りて、ぐっすり眠った。
翌朝、村の人達皆とハグして、出発だ。
「後、ちょっとした結界張りました。何年かはこれでアイバーンクラスなら侵入できないはずです」
レベルアップして、結界も強力になっていたのだ。
「あんた達、若いのにとんでもなく強くいし、気が利くし、しかもとんでもなく優しい。まるで1000年生きてる天使と勇者が混ざったようだ」
「ホントホント。2人のことは一生忘れない。ずっと語り継ぐよ。皆で稼いで銅像立てるぞ!」
「いやー、銅像は恥ずかしいよ。偶然が重なって当たり前のことしただけなんだし」
「じゃあ、エレーヌ像だけでいいよ。絶世の美女で頼むよ」
「酒浸りの酔っ払いと紹介文付けてくださいね(笑)」
「それはいらねーんだよ!」
最後は爆笑の渦。さあ、旅の続きだ。




