【第12話】村への破格の恩返し
お世話になったバジルさんをとことん喜ばせたいワタル
ギルドに着くと、久しぶりのリリーさん。
「久しぶりですね。クエストこなさずに何をしていたのですか?」
「リリー、ワタルと一緒に山奥で魔物狩りさ」
「そうそう、また魔石引き取って欲しいのだけど」
「いいですけど、ええ!この量は!しかもこの大きな3つは何?」
「ああ、それはキマイラ3体のですよ」
「きっ・・キマイラを!3体全部」
「私ら2人でな。なかなか骨を折ったぞ」
「でも確かLv.50クラスだったかと。そもそもこの街の冒険者で討伐は無理だから、一度他の街からS級に来てもらうか検討中だったんです。それをクエスト無しで討伐とは?」
「あーっ!クエストならその分代金が出てたのか・・・・うっかりというかしゃあないというか」
「エレーヌ、いいじゃん。これで街の脅威が少なくなったんだから」
「でも今日の魔石だけでけっこうな金額ですよ。金貨1,000枚は超えるかと」
「金貨1,000枚っていったら家が余裕で建つじゃないか!」
結局金貨1,080枚を手にして、やっと宿屋に戻った。ワタルもエレーヌの常宿に時々泊まっているのだ。
「ワタル明日はどうすんだ」
「村に戻って、シュナイダーと一緒に貢献できないかなあと」
「じゃあ私も一緒に行くぞ」
「おお、ちょっと恥ずかしいけど、いいよ」
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翌日ワタルとエレーヌは、ワタルが最初に飛ばされた村に向かった。まずは、バギルさんと妻のセレンさんを訪ねた。
「ワタル、こんなべっぴんさんを連れて、彼女か?フィアンセか?」
「そんなんじゃないです。一緒にパーティー組んでる仲間です」
「しかし、お前がここに現れて2年ほどしかたってないのに、ぐんぐんたくましくなって、美人の彼女までできて・・・成長早すぎだぞ」
「だから違うって(笑)それもこれもバギルさんとセレンさんのおかげです」
「ところでレベルはいくつになったんだ」
「えーと45です」
「なにーーーー。お前最初Lv.1だったよな!そりゃS冒険者のレベルじゃないか!」
「いやまあ色々とラッキーも重なって。後このエレーヌとのコンビがうまくはまったので」
「いやー信じがたい。で、今日は何か用事があるのか?」
「ええ。暫く遠い街に行くことにしまして、出発前に村の役に立てることをしておきたいと」
「そいつはありがたい。そうだ!どうせなら村の連中を集めるからちょっと待ってくれ」
本格的になってきた。
「シュナイダー、大袈裟になったけど、大丈夫かな?」
「土魔法、水魔法も進化してるし、大丈夫だよ」
30分ほどかけて広場に村の人達が集まった。バジルさんが声をかける。
「みんな、ワタルが遠い街に行っちまうことになった。その前に土魔法とかで、なんか役に立ちたいと言ってくれてる。なんか意見上げてくれ。ちなみにこの美人さんはエレーヌさんと言って、ワタルの彼女ではないらしい」
「時々水に困るから、川から水路引くか、今より大きい井戸が欲しい」
「俺の畑が斜めになってるからフラットにして欲しい」
「俺の畑を倍の広さにしたい」
「街までの道がもう少し整備できると・・・」
「おい、いくらなんでもそこまでは無理だろ。なあワタル」
バジルさん冷や汗。
「ワタル、なんとかやってみるよ」
「シュナイダーありがとう」
「皆さん、今の中で畑のフラット化から1つずつ頑張ってみるので、3,4時間ください」
ここでエレーヌが口を挟む。
「待ってる間、女性達は私と打合せしないか?私は料理の能力があるので、なんか役に立てるかもしれない」
セレンさんが喜ぶ
「すばらしい提案。みんな話聞きましょう」
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その語約4時間後、ワタルはシュナイダーの能力を使って、希望を全て叶えた。特に小さいとはいえ、川からの水路は、村の生活を劇的に変えそうなぐらい大きいこと。
一気に水路ができたところを見たバジルさんは涙ぐむ。
「ワタル、お前強くなったし、良いヤツだし・・・最初に優しくして本当に良かったよ」
「ハハハ・・・そうです。最初に追い返されてたら、俺も野垂れ死になったかもしれないです」
エレーヌのミニ料理教室の方も、女性陣に好評のようだった。
「ワタル、最後に魔物の侵入を防ぐ結界を張ろうか」
「そうだね、やろう」
「バジルさん、魔物の侵入を防ぐ結界を張ろうかと思います。ただし、Lv.が20~30ぐらいまでで、それ以上の魔物が時間かけて攻撃すると、破られると思います」
「まじか!お前結界まで張れるのか!ただあれだな、山奥にいるキマイラに襲われるとダメなんだな」
「あのーキマイラなら討伐しました」
「なにーーーー。嘘だろ!あれ確かLv.50はあったんじゃないか?」
「つい、先日エレーヌと3体倒しました。多分全部じゃないかあと」
「3体も!!俺さっきから驚いてばかりだ。おかしくなりそうだよ。
ということは、当分この村は安心だな。ホントに助かるよ」
「御礼に大宴会したいところだが、今日は肉も無いし、お金の余裕もあんまりないしなあ。残念だ」
「じゃあ、俺が街で肉とか調達してきますよ」
「それはありがたいが、いまからじゃ夜になるだろ?」
「いえ、実は飛行魔法も使えるので、色々買い物しても1時間ちょっとで帰ってこられるかと」
「なにーーーー。空も飛べるのか!!いやもう驚かん」
ワタルは買い物の手伝いとして、村の若者を背負って、街まで飛んでいった。
あっけに取られる村の人達。
セレンさんが残ったエレーヌに話しかける。
「しっかし、ワタル君。最初の弱々しい姿から見違えたよ。男前のひ弱な男の子からカッコいい強い男性に変わるとはね。あんたから見てどうなんだい」
「私と出会ってパーティ組んでからもどんどん進化して、つられて私も強くなりました」
「そうじゃなくて男としてどうなんだい?」
「そりゃ将来の旦那候補としてどうかあとは思うけど、アイツにそんな気さらさらないので」
「やっぱそうかい!私達が説得してやろうか?」
「いえ、これからの旅がぎくしゃくしそうなんで(笑)」
「分かった。今は秘めた恋として頑張んな」
「恋って感じじゃないですよーー」
ワタルのいないところで、エレーヌの違った面が出ていた。
次回いよいよ旅に出ます




