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12/20

第12話 初売上。なぜか赤字です。

午前六時十五分。


ピピピピピピピピ。


「…………」


ピピピピピピピピ。


「……あと五分」


枕元のスマホをつかみ、アラームを止めた。


昨日と同じ朝。


ただ、一つだけ違うことがある。


昨夜、人生で初めて商品が売れた。


『くさネコ』全巻セット。


メリカリに出品して、わずか数分。


あっという間に購入されたのだ。


「……本当に売れたんだよな」


布団の中で取引画面を開く。


《発送をお願いします》


「……はいはい」


売れたら発送する。


そんなことは分かっている。


問題は、その発送だ。


「……箱、ねえんだよな」


部屋の隅には、通販で届いたダンボールがいくつかある。


だが、どれも大きさが微妙だ。


大きすぎる。


小さすぎる。


細長すぎる。


「……何でちょうどいいのがねえんだよ」


まあ、仕事が終わってから考えればいい。


そう思い、再び目を閉じた。


ピピピピピピピピ。


「……クソが!」


午前六時二十分。


スヌーズ機能というやつは、今日も実に優秀だった。



     ◇



まずはトイレ。


換気扇を回し、タバコに火をつける。


「……ふう」


朝の一服。


ようやく頭が起きてくる。


昨夜は商品が売れたことが嬉しくて、発送のことまで考えていなかった。


「……初心者丸出しだな」


まあ、実際に初心者なのだから仕方ない。


タバコを消して洗面所へ向かう。


顔を洗う。


髭を剃る。


歯を磨く。


作業着に着替える。


財布。


鍵。


スマホ。


タバコ。


ライター。


「……よし」


玄関を出て、通勤用の軽自動車に乗り込んだ。


エンジンをかけ、音楽を流す。


窓を少し開けてタバコに火をつける。


「……さて、行くか」


田舎道を走りながら、今日の予定を考える。


仕事。


帰りに梱包資材を買う。


帰宅したら梱包。


翌朝、コンビニで発送。


「……完璧じゃね?」


まだ何一つ終わっていないのに、計画だけは完璧だった。


こういう時の俺は、だいたい何かを見落としている。


だが、この時は気づかなかった。


俺はまだ、ダンボールの恐ろしさを知らなかったのだ。



     ◇



七時四十五分。


仕事開始。


「おはようございまーす」


「おはよう」


いつもの職場。


いつもの顔ぶれ。


いつもの仕事。


「何か機嫌いいな」


同僚が声をかけてきた。


「そうっすか?」


「何かあった?」


「昨日、初めて物が売れたんすよ」


「何が?」


「漫画です」


「へえ。いくらで?」


「まあ、そこそこっす」


「何だよ、そこそこって」


「まだ発送してないんで、儲かった気がしないんですよね」


「そりゃそうだろ」


ごもっとも。


画面に売上が表示されていても、まだ取引は終わっていない。


「……まあ、頑張ります」


「何を?」


「梱包を」


「そんなに大変なのか?」


「多分、余裕っす」


この時の俺を、誰か止めてほしかった。


せめて「余裕」という言葉だけでも取り消させてほしかった。



     ◇



午前中は選別作業と設備の確認。


途中、リーダーから声をかけられた。


「午後、あちらの片付けもお願いできますか?」


「了解です」


「搬入が多かったら、そちらを優先してください」


「分かりました」


「よろしくお願いします」


「はい」


相変わらず仕事の話が早い。


俺より年下だが、仕事には誰よりも真面目だ。


この人の頭の中には、今日の作業予定がきっちり並んでいるのだろう。


一方、俺の頭の中には漫画を入れる箱が並んでいる。


……いや、並んでいない。


だから困っている。


「……箱か」


「何か言いました?」


「いえ、何でもないです」


危ない。


口に出ていたらしい。


仕事は仕事。


梱包は帰ってからだ。


目の前の作業に集中することにした。



     ◇



十時。


休憩。


指定の喫煙所でタバコに火をつけ、ブラックコーヒーを飲む。


「……うまい」


この組み合わせは落ち着く。


スマホを取り出し、メリカリを開いた。


《発送をお願いします》


「……分かってるって」


サイズ。


重さ。


送料。


発送方法を確認する。


漫画の全巻セットともなると、それなりの大きさになる。


薄い封筒に入れて送るわけにはいかない。


「……プチプチもいるよな」


雨に濡れないよう、袋も必要だろう。


ダンボール。


袋。


プチプチ。


テープ。


「……結構いるな」


商品を売るだけなら、スマホ一台で済む。


だが、発送となると話は別だ。


画面の向こうにいる購入者へ、実物を届けなければならない。


「……帰りに買うか」


タバコを消し、休憩を終えた。



     ◇



十二時。


昼休憩。


飯を食べ、コーヒーを片手に喫煙所へ向かう。


タバコに火をつけ、スマホで梱包方法を調べた。


《漫画 全巻セット 梱包 方法》


検索。


「……へえ」


いろいろ出てくる。


一冊ずつ袋に入れる人。


まとめて防水する人。


プチプチで包む人。


ダンボールの中に隙間を作らないよう工夫する人。


「……みんな、すげえな」


中には、店から届いた商品かと思うほど綺麗な梱包もある。


「……ここまでやるのかよ」


正直、少し面倒だ。


だが、自分が買う側だったらどうだろう。


届いた漫画の角が折れていたら。


箱の中で本が暴れ回っていたら。


「……嫌だな」


そりゃそうだ。


せっかく買ってくれた人に、嫌な思いはさせたくない。


「……ちゃんとやるか」


そう決めた。


決めたのだが。


丁寧に梱包しようと思うことと。


綺麗に梱包できることは。


まったく別の話だった。



     ◇



十五時。


最後の休憩。


今日は少し疲れていたので、デミタスを買った。


喫煙所でタバコを吸いながら、甘いコーヒーを飲む。


「……ああ、生き返る」


同僚が横から覗き込んできた。


「さっきから何見てんの?」


「ダンボールです」


「……ダンボール?」


「はい」


「何で?」


「漫画送る箱を探してるんすよ」


「ああ、昨日売れたやつ?」


「そうっす」


「その辺の箱でいいんじゃねえの?」


「サイズが合わないんですよね」


「切ればいいだろ」


「……ああ」


俺は顔を上げた。


切る。


そうか。


大きければ切ればいい。


小さければ……。


いや、小さいのはどうにもならないが。


大きい箱なら、何とかなる。


「……天才っすね」


「普通だろ」


「いや、盲点でした」


「お前、大丈夫か?」


大丈夫だ。


多分。


頭の中では、すでにダンボールを切り、折り、見事な箱を完成させている自分の姿が浮かんでいた。


……実際には、そう簡単にいかなかったのだが。



     ◇



十七時十五分。


仕事終了。


「お疲れさまでしたー」


「お疲れー」


軽自動車に乗り込み、帰り道を走る。


今日は寄り道がある。


梱包資材の買い出しだ。


「……さて、何買うんだっけ」


ダンボール。


袋。


プチプチ。


テープ。


店に入り、梱包用品の売り場へ向かった。


棚には、さまざまなサイズの箱が並んでいる。


「……おお」


便利な時代だ。


箱まで売っている。


だが。


「……微妙に合わねえな」


漫画を入れるには少し大きい。


別の箱は小さい。


ちょうどいいものが見当たらない。


「……まあ、加工すりゃいいか」


俺は大きめのダンボールを選んだ。


さらに袋とプチプチを購入。


テープも追加した。


どうせ今後も使うだろう。


そう思い、少し多めに買っておく。


レジで会計を済ませた。


「……あれ?」


思っていたより金がかかった。


一つ一つは大した金額ではない。


だが、まとめて買えばそれなりになる。


「……まあ、今後も使うしな」


自分に言い聞かせる。


そう。


これは初期投資だ。


決して無駄遣いではない。


「……多分」


俺は買い物袋を抱え、店を出た。


帰宅。


時刻は十八時半を少し過ぎたところだった。


「……腹減った」


だが、今日はやることがある。


俺は買ってきた梱包資材を床に並べた。


ダンボール。


袋。


プチプチ。


テープ。


カッター。


定規。


そして。


『くさネコ』全巻セット。


「……よし、やるか」


まずは漫画をまとめる。


表紙を確認。


巻数を確認。


抜けがないことも確認。


「……全部あるな」


次は防水対策だ。


袋に入れる。


「……おっ」


思ったより、すんなり入った。


「……余裕じゃん」


この時点では、まだ余裕だった。


続いてプチプチ。


漫画を包む。


一周。


二周。


「……ん?」


端が少し足りない。


「……まあ、継ぎ足せばいいか」


追加のプチプチを切る。


テープで留める。


反対側も包む。


角を確認する。


「……よし」


見た目は少々不格好だが、ちゃんと保護できている。


問題はここからだ。


ダンボール。


「……さて」


箱を組み立てる。


漫画を入れる。


「…………」


隙間。


ものすごい隙間。


「……広っ」


箱の中で漫画が寂しそうにしている。


まるで体育館の真ん中に一人だけ座らされているようだ。


「……これじゃダメだな」


箱が大きすぎる。


緩衝材を大量に詰めれば何とかなるかもしれない。


だが、無駄に箱が大きいと送料にも影響する。


できれば小さくしたい。


「……切るか」


俺はカッターを手に取った。


まず高さを測る。


漫画の厚みを確認する。


少し余裕を持たせて、線を引く。


「……ここだな」


カッターで切り込みを入れる。


一辺。


二辺。


三辺。


四辺。


「……よし」


折り曲げる。


「……ん?」


折れない。


いや、折れるには折れる。


だが、思った位置で綺麗に折れない。


「……何でだよ」


ダンボールには、もともとの折り目がある。


そこ以外を曲げようとすると、なかなか素直に言うことを聞いてくれない。


「……お前、頑固だな」


ダンボールに話しかけても返事はない。


当たり前だ。


俺は定規を当て、折り目をつけ直した。


ぐっと押す。


もう一度。


「……おっ」


今度は曲がった。


「……いいじゃん」


反対側も同じように折る。


さらに側面を調整する。


「……よし、完成!」


漫画を入れる。


「…………」


蓋が閉まらない。


「……は?」


さっき測ったはずだ。


余裕も持たせたはずだ。


なのに。


「……何で閉まんねえんだよ!」


よく見ると、プチプチの厚みを甘く見ていた。


漫画本体だけなら入る。


だが、包んだ状態だと少し高い。


「……クソが」


俺は蓋を開いた。


漫画を取り出す。


もう一度、箱を広げる。


折り目を調整する。


「……これならどうだ」


漫画を入れる。


蓋を閉める。


「……おっ」


今度は閉まった。


ただし。


横が少し膨らんでいる。


「……いやいやいや」


これでは、綺麗な箱とは言い難い。


購入者が受け取った瞬間、何を思うだろう。


『何か無理やり詰め込まれてるな』


そんな感想は避けたい。


「……やり直し」


俺は再び箱を開いた。



     ◇



十九時半。


「…………」


床にはダンボールの切れ端が散乱していた。


「……何だこれ」


まるで小さな工作室だ。


いや、工作室というより、工作に失敗した現場かもしれない。


俺はカッターを置いた。


「……ちょっと待て」


最初に箱を組み立ててから、もう一時間近く経っている。


一時間。


たかが漫画を送る箱に。


「……嘘だろ」


スマホで完成済みの梱包画像を見てみる。


綺麗だ。


実に綺麗だ。


角がそろっている。


テープも真っすぐ。


隙間もない。


「……職人かよ」


世の中には、こういう作業が得意な人がいる。


尊敬する。


心から尊敬する。


俺は、どうやら違うらしい。


「……いや、まだだ」


諦めるには早い。


箱はまだ使える。


折り目もつけ直せる。


切り込みの位置を変えれば、何とかなるはずだ。


俺は再び定規を手に取った。


測る。


線を引く。


切り込みを入れる。


折る。


テープで仮止めする。


漫画を入れる。


蓋を閉める。


「……おお!」


今度は、かなりいい。


「……やればできるじゃん」


自分を褒める。


誰も褒めてくれないので、自分で褒める。


これも一人暮らしの特権だ。


だが、まだ終わりではない。


箱の中で漫画が動かないか確認する。


軽く傾ける。


「……ん?」


中で、かすかに動く感触。


「……まだ隙間あるな」


余った緩衝材を詰める。


もう一度確認。


「……よし」


今度は大丈夫そうだ。


蓋を閉じる。


テープを貼る。


一辺。


二辺。


底面も確認する。


「……できた」


ついに完成。


俺は箱を持ち上げた。


「……おお」


ちゃんとした荷物に見える。


さっきまでのダンボールの残骸が嘘のようだ。


「……俺、天才かもしれん」


ただし。


その天才は、漫画一組の梱包に約二時間かかっていた。



     ◇



二十時半過ぎ。


「……腹減った」


そりゃそうだ。


帰宅してから、まともに何も食べていない。


俺は完成した荷物を机の上に置き、ようやく夕飯の準備を始めた。


適当に飯を作る。


テレビをつける。


アニメを流す。


酒を開ける。


「……お疲れ、俺」


プシュッ。


一口飲む。


「……ああ、うまい」


今日ほど、この一杯がありがたい日はない。


いや。


仕事より梱包の方が疲れた気がする。


「……何でだよ」


一日中働いて帰ってきたのに。


家でも二時間働いている。


しかも、誰にも頼まれていない。


自分で始めたことだ。


「……俺、何やってんだろ」


そう呟いて、笑ってしまった。


だが。


机の上には、完成した荷物がある。


あれを明日発送すれば、初めての取引が一歩進む。


そう考えると、少し嬉しかった。


「……まあ、悪くねえな」


食事を終え、風呂に入り、部屋へ戻る。


机の上に置いていたアイカスを手に取った。


少し値は張るが、気に入っているリキッドタイプの電子タバコだ。


吸い込んで、ゆっくり吐き出す。


ブハァァァッ。


白い水蒸気が、目の前に広がった。


「……すげえ量だな」


もう一度吸う。


ブハァァァッ。


部屋の中が、一瞬だけ霧でも出たようになる。


「……魔法使いか、俺は」


誰も見ていないのに、少し面白くなった。


まあ、こんなことをしている場合ではない。


俺はアイカスを置き、今日の収支を確認することにした。


メリカリの取引画面を開く。


販売価格。


販売手数料。


送料。


「……なるほど」


そこまでは、だいたい計算していた。


売れた金額から手数料と送料を引く。


手元に残る見込みは、およそ二千円。


「……おっ、悪くないじゃん」


読み終わった漫画が、二千円になる。


そう考えれば十分だ。


……だが。


俺は床に置かれた買い物袋を見た。


ダンボール。


袋。


プチプチ。


テープ。


「…………」


今日、買ったものだ。


しかも、必要だと思って少し多めに買った。


「……あれ?」


レシートを取り出す。


金額を確認する。


もう一度、取引画面を見る。


「…………」


電卓を開く。


二千円から、今日の買い物代を引く。


「…………」


マイナス。


「……は?」


もう一度計算する。


マイナス。


「……いやいやいや」


数字を打ち間違えたのかもしれない。


三度目。


マイナス。


「……クソが!」


俺はスマホを机へ置いた。


初めて商品が売れた。


売上も立った。


利益が二千円くらい出ると思っていた。


なのに。


今日、梱包資材を買ったせいで、財布から出ていった金の方が多い。


「……赤字じゃねえか!」


もちろん、買った資材はまだ残っている。


次の商品にも使える。


だから、全部を今回の商品の経費にするのは違う。


分かっている。


分かっているのだが。


「……初回から金減ってんだけど」


現実は、なかなか厳しい。


俺はさらに時計を見た。


梱包に約二時間。


買い物の時間。


写真撮影。


出品作業。


相場調査。


明日の発送。


「……待てよ」


仮に、今回の利益が二千円だったとして。


梱包だけで二時間。


時給千円。


「……うん」


まあ、悪くはない。


だが、買い物の時間を入れたら?


写真を撮った時間は?


説明文を考えた時間は?


送料を調べた時間は?


「…………」


俺は電卓を閉じた。


「……計算するのやめよう」


世の中には、知らない方が幸せな数字もある。


きっと、これがそうだ。



     ◇



翌朝。


午前六時十五分。


ピピピピピピピピ。


「……うるせえ」


いつものアラーム。


いつもの朝。


ただし今日は、玄関に荷物が置いてある。


『くさネコ』全巻セット。


人生初の発送予定商品だ。


「……忘れんなよ、俺」


自分に言い聞かせる。


トイレへ向かい、換気扇を回す。


タバコに火をつけた。


「……ふう」


朝の一服を終え、顔を洗う。


髭を剃る。


歯を磨く。


作業着に着替える。


財布。


鍵。


スマホ。


タバコ。


ライター。


そして。


「……くさネコ」


荷物を持ち上げる。


「……よし」


玄関を出た。


軽自動車に乗り込み、助手席に箱を置く。


シートベルトを締める。


エンジンをかける。


「……さて、行くか」


朝の田舎道を走る。


いつもと同じ景色。


いつもと同じ音楽。


ただ、助手席には見慣れない荷物がある。


「……何か、変な感じだな」


昨日まで自分の部屋にあった漫画だ。


それが今日、知らない誰かのもとへ向かう。


考えてみれば、不思議なものだ。


俺はいつものコンビニに寄った。


駐車場に車を停め、荷物を持って店内へ入る。


「……えーっと」


発送用の画面を開く。


案内を確認する。


「……これか」


店員に声をかけ、手続きを進める。


初めてなので、少し手間取った。


画面を見て。


荷物を見て。


また画面を見る。


「……なるほど」


必要な手続きを終え、荷物を預ける。


「お願いします」


「お預かりします」


「ありがとうございます」


それだけだった。


あれだけ苦労した荷物が、あっさり俺の手を離れた。


「…………」


店を出る。


駐車場へ戻る。


助手席を見る。


何もない。


「……おお」


本当に発送した。


俺はスマホを取り出し、取引画面を確認した。


発送の手続きが反映されている。


「……やったな」


思わず笑った。


初めての出品。


初めての売却。


初めての梱包。


そして。


初めての発送。


全部、自分でやった。


二時間かかったダンボール工作も。


資材を買いすぎたことも。


計算したら財布の金が減っていたことも。


今となっては、少し面白い。


「……次はもっと早くできるだろ」


多分。


いや、絶対に。


そうでなければ困る。


俺は運転席に乗り込み、エンジンをかけた。


時刻を確認する。


「……おっと」


仕事に遅れるわけにはいかない。


車を走らせる。


助手席は空っぽだ。


だが、不思議と気分は軽かった。


「……さて」


信号待ちで、俺は小さく呟いた。


「次は何を売るかな」


家には、まだまだ使っていないものがある。


ゲーム。


本。


服。


小物。


探せば、いくらでも出てきそうだ。


今までなら、ただの不用品だった。


だが、今は違う。


誰かにとっては、金を払ってでも欲しいものかもしれない。


「……面白えな」


俺は前を向いた。


初めての取引は、まだ終わっていない。


購入者に届き、受取評価がついて、ようやく完了だ。


だから、売上金もまだ確定していない。


それでも。


何となく、次もやってみたくなった。


「……まあ、ぼちぼちやるか」


こうして俺は、また一つ学んだ。


商品を売るのは簡単そうに見えて、意外と大変だ。


写真を撮るのも。


説明を書くのも。


梱包するのも。


発送するのも。


全部、やってみなければ分からない。


そして何より。


利益を計算する時は、梱包資材の買い物代も忘れてはいけない。


……いや。


最初から分かっていれば、こんなに買わなかったかもしれない。


「……次は箱、再利用だな」


俺は一人で笑った。


朝の道を、軽自動車が走っていく。


今日も仕事だ。


そして、帰ったらまた出品だ。


初売上。


初発送。


初めての赤字。


俺のせどらー生活は、どうやら順調に始まったらしい。


……本当に順調なのかどうかは、知らん。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


初めての商品が売れたと思ったら、まさかの赤字。

しかも梱包に約2時間……。


異世界の魔物より、ダンボールの方が手ごわいかもしれません(笑)。


さて、今後の更新についてのお知らせです!


基本的に毎週水曜日・土曜日・日曜日の週3回更新を予定しています!


さらに、祝日や大型連休には追加更新がある……かもしれません。


作者の執筆速度と気合い次第では、連続投稿なんてことも!?


もちろん、無理のない範囲で続けていきますので、気長にお付き合いいただければ嬉しいです。


面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります!


それでは、次回もお楽しみに!

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