第1章:3.2 荒廃した村落の覗き見と足音
荒削りな丸太で作られた粗末な門をくぐり抜けた瞬間――
それまで村に満ちていた雑多な喧騒が、まるで見えない手に喉元を掴まれたかのようにピタリと途絶えた。
路地の脇で、石臼を使って萎びた麦粒を挽いていた数人の農婦が手を止めた。
薄汚れた袖口で額の汗を拭い、呆然とした眼差しで村へ入ってきた五人を凝視する。
土壁の根元に座り込み、鼻を突く煙草を吹かしていた老人たちは、濁った眼球を四人の少女たちへと吸い付くように向け、口にくわえた粗悪なパイプを泥の上に落としそうになっていた。
その視線は、剥き出しで、あからさまで、未知の外の世界に対する底辺階層の警戒心と、極上の美貌に対する男たちの最も原始的な貪欲と衝撃に満ち満ちていた。
閉ざされ、立ち遅れ、一生のうちに周囲数十里の外へすら出たことのない者が大半を占めるこの泥の寒村で、村人たちがこのような光景をかつて目にしたことなどあるはずもなかった。
先頭を歩く青年は、引き締まった長身とブレのない確かな足取りを保ち、眉宇の間には村の男たちとは明らかに一線を画す凛々しい気風を宿していた。
そして彼の背後にぴったりと寄り添う四人の若い女たちは、最底層の粗末な麻布を身にまとっているだけで、化粧気一つなく、髪を無造作に垂らしているだけにもかかわらず――骨の髄から滲み出る優雅な気品、雪のように透き通る柔肌、そして神が心血を注いで彫り上げたかのような精緻な顔立ちが、陽光を浴びてまるで自ら発光しているかのように眩い輝きを放っていた。
悦清禾は凛として俗世離れしており、その眉間には高嶺の花のような侵しがたい気品を漂わせている。
伊凝雪は愛らしくもしなやかで、他人の背中に身を隠していようとも、その清らかな大きな瞳は見る者の視線を釘付けにして離さない。
千慕羽の肢体はどこまでも艶やかで、風に揺れるローブが描き出す驚異的な曲線美に、周囲の屈強な若い農夫たちは生唾をゴクリと飲み込んでいた。
玥映嵐はどこまでも端整で落ち着き払っており、ぬかるんだ粗い小石混じりの道を歩いていようとも、名家の子女特有の揺るぎない気品を保ち続けていた。
これほど多くの熱を帯びた、そして下心に満ちた視線に晒され、伊凝雪は怯えて肩をすくめ、無意識のうちに闕恆遠の背中へとさらに身を寄せた。
千慕羽も普段の余裕を完全に失い、細い指先を伸ばして、闕恆遠の腰元にある分厚い麻布の襞をそっと掴んでいた。
背後の少女たちの恐怖と依存を肌で感じ取り、闕恆遠の瞳がすっと暗く沈んだ。
彼は退くどころか、わずかに顎を上げ、その眼差しを極めて威圧的かつ鋭利なものへと変貌させた。
少女たちを舐め回すように見つめる村人たちを、まるで鷹の如き冷徹な視線で真っ向から睨み据える。
バスケットボールで鍛え上げられた逞しい骨格が、この土壇場で十全に真価を発揮していた。
広く頑丈な背中は背後の四人を大きく覆い隠し、自らのテリトリーと獲物を侵させまいとする雄としての強烈な威圧感を放ち始める。
気弱な数人の若い農夫は、闕恆遠の射抜くような冷たい眼光に射すくめられ、気まずそうに顔を伏せて二度と直視できなくなっていた。
「探すぞ……」
「まずは宿屋だ」
闕恆遠は声を潜めて自分に言い聞かせるように呟き、足早に進んだ。
中央の最も広い泥道を二百メートルほど進むと、周囲の平屋と比べてひときわ頑丈で大きな、二階建て半ほどの石と木で造られた建物が目の前に現れた。
建物の鴨居の上には、錆びた鉄の鎖で煤けた丸い木の看板が吊り下げられており、そこには拙い線描で一振りの錨と数本の麦穂が刻まれていた。
この村唯一の宿屋――『麦穂と鉄錨亭』だ。
闕恆遠は手を伸ばし、重々しい粗末な木製の扉を押し開けた。
――ギギギィッ!
耳障りな軋み音が、薄暗いフロアの静けさを引き裂いた。
扉が開いた途端、年月を経て酸味の出た発酵麦酒、焦げた黒パン、動物性の脂、そして濃厚な汗の饐えた臭いが混ざり合った濃密な空気が、一気に鼻腔へと押し寄せてくる。
店内の採光は劣悪を極め、数箇所の細長い小窓からわずかな光が差し込んでいるに過ぎない。
油染みで斑になった数卓の長い木製テーブルの周りには、顔中に凶相を浮かべ、腰に皮剥ぎ用の短刀をぶら下げた筋骨隆々の男たちが四、五人ほど座り込んでいた。
扉が開いた物音に、店内の全員が一斉に首を巡らせる。
その瞬間、濁った麦酒を豪快に喉へ流し込んでいた男たちの動きが、一斉に空中で凍りついた。
カウンターの奥では、小太りで脂ぎった無精髭を蓄え、もはや元の色が判別できないほど汚れたエプロンを巻いた中年男が、木製のジョッキを拭く手を止めていた。
男の細い目は、薄暗い油灯の光の下で、入り口から入ってきた五人組を貪るように見つめている。
その視線はまず、引き締まった輪郭を持ち、過酷な風波に晒された形跡のない闕恆遠の精悍な顔立ちを一巡し――その後、まるで磁石に引き寄せられるかのように、彼の背後に控える四人の少女たちへと猛烈な勢いで吸い寄せられた。
亭主の喉仏が激しく上下し、ゴクリと唾を飲み込む生々しい音がフロアに響き渡った。




