第1章:2.3 緑葉が編む羞恥の境界
だが、五人が再び立ち上がったとき、空気に満ちていた羞恥は薄れるどころか、いっそう濃厚で決定的なものへと変貌していた。
植物をただ継ぎ接ぎしただけのその衣類は、あまりにも粗末で、あまりにも心もとなすぎた。
朝の風が吹き抜けるたび、その巨大で肉厚な葉がふわりと揺れる。
悦清禾のまっすぐに伸びた長い両脚が、葉の揺らめきの合間から見え隠れする。
伊凝雪がわずかに二歩進むだけでも、短い草の腰巻きの裾からは、息を呑むほどに白い臀部の輪郭が覗いてしまう。
そして千慕羽の胸元を覆う二枚の幅広な葉は、彼女が深く息を吸い込むたびに、底知れぬ谷間の深さを恐ろしいほどに際立たせていた。
「私たち……」
「本当にこんな格好であの街道へ向かうの……?」
悦清禾は今にもほどけて落ちそうな自らの緑葉を見下ろし、腰の蔓を両手で必死に押さえつけながら、瞳の奥に滲んだ涙を零しそうになっていた。
「これじゃ……」
「これじゃあ何も隠せていないのと一緒よ……」
「少し大股で歩くだけで、」
「葉っぱがめくれ上がってしまうわ……」
「それに、もしこの世界の先住民に出くわしたら……」
玥映嵐は自らの剥き出しの素足と、粗い葉柄に擦られて赤く鬱血した太ももの内側を見つめ、深くため息を吐き出した。
「清禾の言う通りよ」
「最低限の文明が存在する社会なら、」
「こんな姿で街道を歩くなんて、」
「悪意を持つすべての者に対して、獲物だと合図を送っているようなものだわ」
「もし少しでも粗暴な傭兵や村人に遭遇したら……」
「私たちには、自分たちの身を守る力すら残されていないのよ」
その言葉はまるで骨身に染みる氷水の如く、わずかな覆いを得て安堵しかけていた五人の淡い希望を一瞬でかき消した。
絶望の暗雲が、再び全員の心の上へと重く立ち込めていた。
「そうだわ……っ!」
伊凝雪がふと何かに思い当たったように、その大きな瞳を勢いよく闕恆遠へと向けた。
「闕恆遠!」
「あんた、さっき言ってたじゃない……っ」
「スマホが『異界交易所』とかいうのになっちゃったって!」
「そこには……」
「そこに服は売ってないのっ?!」
その一言はまるで一筋の稲妻のように、行き詰まっていた五人の頭上を貫いた。
――スッ、と。
四人の少女の視線が、最後の微かな希望と飢えにも似た渇望を宿し、一斉に闕恆遠の手の中にある灰金色の光を帯びたスマートフォンへと集まった。
闕恆遠の脳裏に電撃が走り、慌ててスマホを手のひらに平たく構えた。
画面が感知して自動で灯り、古い羊皮紙のような質感の灰金色のインターフェースが、相変わらず静かに目の前に広がっていた。
『異界交易所:現在の権限Lv.1(難民級)』
『口座残高:0銅貨』
残高の真下には、物資スキャンカメラを模した仮想の四角い枠が、一定のリズムで呼吸するように淡い光を放っている。
「見てみる……」
闕恆遠は画面をスワイプし、唯一解放されている階層『初級物資庫』をタップした。
だが、彼が無意識に検索欄へと「Tシャツ」「ジーンズ」「ジャージ」と入力した瞬間、画面の上に冷酷かつ無情に、突き刺さるような血文字の警告が弾け出た。
『高階工業文明産物を検出』
『現在の商会権限が不足しています(Lv.5以上が必要)』
『検索を拒絶しました』
「くそっ……!」
闕恆遠は思わず低く毒づいた。
彼は深く息を吸い込み、任意の単語検索を諦め、最も基礎的な初期設定の一覧へと直接スクロールした。
今度は、数行の簡潔な文字がついに画面の上に映し出された。
『粗製のリネンローブ(裏地なし、フリーサイズ):0.2銅貨/着』
『粗悪な草鞋(乾燥藁編み):0.02銅貨/足』
『黒パン(硬質乾パン):0.05銅貨/個』
『錆びた鉄の短剣:2銅貨/本』
『粗製のリネンローブ』という文字列を目にした瞬間、五人の息が同時に止まった。
「服……っ!」
千慕羽は興奮のあまり叫び声を上げそうになり、胸元の大きな葉を両手で固く握りしめながら、瞳を潤ませた。
「本当に服がある……!」
「ただのローブだけど……」
「でも、ちゃんとした布地なのよね?!」
「けれど……」
悦清禾の冷静な声が、その場の熱を遮るように響いた。
理知的な眼差しが、口座残高の欄へと落とされる。
「私たちの残高は、0銅貨よ」
「ローブを五着買うには、銅貨が1枚」
「草鞋を五足買うには、銅貨が0.1枚」
「合計で1.1銅貨が必要になるわ」
「今の私たちは、この世界の銅貨なんて欠片すら持っていない」
「どうやって買うつもり?」
あたりは再び、息の詰まるような沈黙へと沈んでいった。
闕恆遠は画面の下で点滅する四角い仮想枠を食い入るように見つめ、その視線をインターフェースの最上部に浮かぶ一行の小さな文字へと落とした。
『通貨、または買い取り対象物を投入して起動してください』
「買い取り対象物……」
闕恆遠は低く呟いた。
彼は勢いよく顔を下げ、まるで鷹のような鋭い眼差しで周囲の草地を素早く見渡した。
その時、彼の視線が先ほど大きな葉を毟り取った灌木の根元にぴたりと止まった。
日陰になった湿った土の上に、高さ半尺(約十五センチ)ほどの、透き通るような三枚の緑葉をつけた奇妙な植物が生えていた。
その葉からは、まるで幻であるかのように極めて淡い氷青色の光が揺らめいている。
先ほどは薄暗くて気づかなかったが、朝陽の光が差し込む今、その青い輝きは格別の神秘性を帯びていた。
「イチかバチかだ……」
闕恆遠は腰を落とし、青い光を放つその植物を、根の土ごと慎重に引き抜いた。
手のひらに植物を載せ、スマートフォンの背面にあるカメラへとゆっくりと近づけていく。
植物とカメラの距離が三センチを切ったその瞬間――
画面の中央にあった仮想枠から、眩い灰金色の光輪が一気に弾け出た!
――ヴォンッ!
スマホのレンズから極小のスキャン光線が照射され、上から下へと、極めて精密に植物の全体を包み込んだ。
そして、息を呑む五人の視線の前で。
闕恆遠の手のひらにあった、湿った土を纏ったその植物が――わずか一秒の間に、無数の細やかな幽青色の光の粒子へと分解されていった。
その光の粒は、まるでブラックホールに引き寄せられるかのように青い光の奔流となり、スマホのカメラレンズの中へと次々に吸い込まれていく。
手のひらがふっと軽くなった。
土だけが残り、あの植物は跡形もなく消え失せていた。




