第1章:1.2 神落ちの日の赤裸な震撼
「みんな……」
「みんな、落ち着くんだ……」
闕恆遠は土の匂いが混じる冷たい空気を深く吸い込み、その突き刺すような冷気で、下腹部の奥深くで狂ったように暴れ回る原始的な衝動を必死にねじ伏せようとした。
その声は酷くかすれ、喉仏が激しく上下に揺れ動いていた。
その場にいる唯一の男性として、普段の学園では高嶺の花である四人の美少女たちが、今や一糸まとわぬ姿で自分を取り囲んでいるのだ。いかなる正常な生理機能であっても、狂ったように警報を鳴らし立てていた。
だが、もしこの瞬間に少しでも卑猥な視線や自制を失った態度を見せれば、幼い頃から築き上げてきた絆と信頼が一瞬にして粉々に砕け散ることを、誰よりも彼自身がよく理解していた。
闕恆遠は奥歯を強く噛み締め、無理やり視線を頭上の虚無な青空へと固定させた。極度の緊張から、目元の筋肉が微かに引き攣る。
「みんな……動かないでくれ……」
「まずは周りを……探そう……」
「体を隠せるものが……何かないか探すんだ……」
闕恆遠は努めて穏やかで落ち着いた口調を保とうとしたが、荒く乱れた息遣いが、内心で吹き荒れる激しい動揺を露わにしていた。
少女たちから返事はなかった。
というより、今の羞恥とパニックは、すでに彼女たちからまともに言葉を発する能力を奪い去っていた。
周囲には風に揺れる草葉のざわめきと、必死に押し殺しながらも漏れ出る少女たちの細く乱れたすすり泣き、そして震える息遣いだけが残されていた。
だが、闕恆遠が視界の端で草地の上をおずおずと探った時、さらに底冷えのするような戦慄が全身を貫いた。
この広大で緑豊かな丘陵の草地には、かすかに冷たい芳香を放つ奇妙な植物と、自分たち五人の剥き出しの肉体以外、人間社会に属する布切れひとつとして一緒に転移してきてはいなかった。
まるで、この見知らぬ世界に産み落とされたばかりの赤ん坊のようだった。
すべての文明の殻を、この世界によって最も乱暴なやり方で綺麗さっぱりと剥ぎ取られてしまったかのように。
唯一残された現代の痕跡といえば、すぐ近くの草むらに静かに横たわっている五台のスマートフォンだけだった。
その金属とガラスのボディが、朝日の光を浴びて冷たく鋭い反射光を放っている。
闕恆遠は、まるで溺れる者が最後の一本の藁にすがるかのように、その光を見つめた。
動くことでさらに体を晒してしまう気まずさも構っていられず、闕恆遠は手足を地につけて二歩ほど前へ這い進み、自分のスマートフォンをひったくるように掴み取った。
手にした端末はひんやりと冷たく、その馴染みある金属の重みが、闕恆遠の混濁した頭にわずかな温もりを取り戻させた。
側面の電源ボタンを押し込む。
画面が灯り、バッテリー残量のアイコンは転移する直前と同じく、満タンの百パーセントを示していた。
闕恆遠は助けを呼ぼうと、癖で通話アプリを開こうとした。
だが、視線が画面の右上に走った瞬間、全身が完全に硬直した。
本来なら台湾の通信キャリアの電波状況が表示されているはずの場所には、何一つ表示されていない。
その代わりに、淡い金色の光を放つ奇妙な記号が浮かび上がっていた。
まるで、ゆっくりと回転する金色の歯車のようだ。
メッセージアプリを開いてみるが、画面には無情にも「ネットワーク接続がありません」という冷たい通知がポップアップするだけ。
試しに番号を入力して発信してみても、受話口からは完全な沈黙を示すツーツーという話中音しか返ってこなかった。
「私のスマホも……」
「ちゃんと……電源入る……」
悦清禾の、はっきりと泣き声の混じった震える声が横から聞こえてきた。
彼女は今、傷ついた小さな獣のように体を固く丸め、スマートフォンを見下ろす動作にかこつけて、自分の顔と胸元を必死に影の中へと隠そうとしていた。
けれど、身を屈めすぎたせいで、息を呑むほどに深い胸元の窪みが、朝の光によってあまりにもくっきりと浮かび上がってしまっていた。
闕恆遠は強く目を閉じ、視線を逸らし、自らのスマートフォンの画面へと再び意識を無理やり釘付けにした。
その時だった。
彼の指先が、ホーム画面に並んでいた普段使いのショッピングアプリのアイコンを無意識になぞった。
見慣れていたはずのオレンジ色の背景が、指先が触れた刹那、まるで水面のように激しい波紋を広げた。
色彩が画面上で褪せ、再構成され、やがて古い羊皮紙のような質感を持つ灰金色へと姿を変えていく。
淡く光を放つ流麗なフォントが、画面の中央にあまりにも鮮明に浮かび上がった。
『異界交易所:現在の権限Lv.1(難民級)』
『口座残高:0銅貨』
『起動するには通貨、または回収物を投入してください』
闕恆遠はその文字列を見つめたまま、呼吸をぴたりと止めた。
「これ……」
「これ、何なんだ……?」
伊凝雪は両膝の間に顔を強く埋め、黒くしなやかな長い髪を垂らして顔全体を覆い隠していた。
そのくぐもった声からは、込み上げる悔しさと恐怖が痛いほどに伝わってくる。
「恆遠……」
「私たち、一体どこにいるの……?」
「どうしてこんなことになっちゃったの……?」
「あんた……」
「絶対に見ちゃダメだからね……っ」
「早く向こう向いてよ……っ」
「見てない、」
「凝雪、」
「本当に見てないから、」
「俺、ずっと空を見てるからさ」
闕恆遠は慌てて片手を高く掲げ、もう片方の手でスマートフォンの画面を裏返し、少女たちの方へと向けた。
「みんな、これを見てくれ」
「スマホの電波は完全に切れてるけど、」
「このアプリ……」
「この世界に書き換えられたみたいなんだ」
「画面に、交易所って書いてある……」
その言葉を聞き、絶望と羞恥に沈んでいた千慕羽と悦清禾の体が、微かに動いた。
生き残ろうとする本能が、一時的に羞恥心をわずかに上回る。
千慕羽は下唇を噛み締めながら、草地の上で極めて慎重に膝を進め、少しずつ闕恆遠の側へと身を寄せていった。
身じろぎするたびに、朝露が彼女の素肌を濡らし、草の先が太ももの内側をかすめては、細かな震えを引き起こす。
千慕羽は伏し目がちに視線を落とし、闕恆遠の引き締まった肉体を見ないようにしながら、その小さな画面だけに意識を集中させた。
四人の少女たちは、ようやく身を寄せるようにして闕恆遠の周りへと集まった。
画面の文字を確かめるため、彼女たちは必然的にごく小さな輪を作らざるを得ない。
朝風が吹き抜けるたび、草の香りに紛れて、四者四様の少女の香りが静かに混ざり合っていった。
悦清禾の凛とした冷ややかな香り。
伊凝雪の甘やかな果実の香り。
千慕羽の巻き髪に残る高級シャンプーの余香。
そして、玥映嵐の気品あふれる落ち着いた移り香。
湿り気を帯びた空気の中で絡み合うそれらの香りは、見えない糸となって闕恆遠の神経を容赦なく締め上げていく。
千慕羽が近づきすぎたせいで、微かにうねる毛先が闕恆遠の剥き出しの二の腕を不意にかすめ、全身を痺れさせるような電流を走らせた。
中心に座る闕恆遠は、全身の筋肉をまるで岩のように硬直させ、呼吸すら止めて画面を凝視していた。
唐突に訪れたこの荒唐無稽な神落ちが、すでに自分たち五人を文明の淵へと追い詰めてしまったことを、彼は痛感していた。
そして、この何もかもが剥き出しの見知らぬ世界において、灰金色の光を放つこのスマートフォンこそが、彼らに残された唯一の頼みの綱だった。




