第53話「表裏一体『の勘違い』」第二部
森の中での落とし物探し騒動が終わった後、少年たちは担当の警備隊員と合流し、テントエリアへと戻っていた。
もうすぐ正午。当然、昼食休憩に入るものだと期待していた。しかし現実は、彼らにさらなる労働を要求していた。掃除すべき汚れと、回収すべきゴミの山である。
疲労困憊の体と、午前中ずっと同じ動作を繰り返して悲鳴を上げている筋肉。竜斗に残されていたのは、ただただ後悔することだけだった。
(……森の中でスマホを探し続けていた方がマシだったな……)
観光客の声が大きく響き、子どもたちの叫び声がそれに混じる。網で焼かれる肉の濃厚な匂いが空気に染み付いていた。大きなキャビンは人で溢れかえり、野外の調理場もほぼすべて埋まっている。ミーン、ミーンというけたたましいセミの鳴き声でさえ、この喧騒には太刀打ちできなかった。
客の行儀が良く、公共の場をきれいに使ってくれるとはいえ、ゴミ回収の仕事が不要になるわけではない。何しろ、このキャンプ場は広大だった。
無気力な少年のストレスは、痛みや疲労、シンクを磨き床を掃く肉体労働をはるかに超えた、ある非常に明確な要因から来ていた。その真の元凶は、音だった。ある特定の騒音。一つの声。
「彼女の写真が一枚もスマホに入ってないって、どういうことだよ!?」月島が執拗に問い詰めてくる。
彼の関心は完全に竜斗の恋愛事情を調査することにロックオンされており、掃除を手伝う気など微塵もなかった。
「ないって言ってるだろ……」
「なんでないんだよ!?」彼は布で磨くはずの吊り下げ式シンクに寄りかかりながら叫んだ。
「持ってないからだ……」竜斗は言い返した。彼はしゃがみ込んだまま、設備の下にあるゴミ箱を引き出し、中身を空にしようとしていた。
「それじゃあ、お前の言葉を信じるのは難しいぜ……」ツンツン頭の少年はそう呟き、小馬鹿にしたような唇を尖らせた。その表情に、竜斗のこめかみにピキッと青筋が浮かんだ。
竜斗は今度は沈黙を選んだ。ただ黒いゴミ袋を取り出し、同じ色の新しい袋をセットする。しかし、皮膚の下では苛立ちが激しく脈打っていた。
「俺だったらさ……」月島は、同僚の耳に確実に届く絶妙な音量で独り言のように呟いた。「彼女の写真なんて何十枚も持ってるね。いろんなアングルのやつ!絶対!絶対にな!」彼は顎に手を当て、深い確信とともに何度も頷いてみせた。
ガバッ!
竜斗が突然立ち上がった。その極度に強張った姿勢に、同僚はビクッと怯えて後ずさりした。
「彼女の写真を一枚見せたら、黙るか?」竜斗は放った。その声は氷のように冷たく、単調だった。視線は前方に固定され、もう一人の少年を完全に無視している。
「意地悪だな!!俺のことウザいって言ってるのか!?」
竜斗は顔を向けた。その遠い眼差しと無気力な表情には、静かな殺意が満ち溢れており、それが何よりの明確な答えとなっていた。
「……はい、黙ります……」
無気力な少年は安堵の息をついた。右手の軍手を乱暴に外し、シンクに投げ捨てる。そして、ユニフォームのポケットからスマホを取り出した。
「じゃあ、送ってくれるように頼む……」
竜斗がメッセージアプリを開いていると、月島が画面を盗み見ようと近づいてきた。しかし、鋭い敵意を帯びた視線を向けられ、彼は瞬時に顔を背けて後ずさりした。
竜斗は再びため息をついた。
(真琴さんのプロフィール画像……自分の顔以外の何かが設定されてるな……)
彼の指が連絡先の上で止まった。アイコンの画像は、小さなテディベアのぬいぐるみだった。
(それに、彼女のSNSなんて知らないし……というか、僕自身そういうのを使わない。彼女がアカウントを持ってるかどうかも、ネットに写真を上げてるかどうかも分からない……)
彼はトーク画面を開いた。
(直接頼むしかないな。)
『写真、今すぐ。』11:21―竜斗
「ええええええええええええええええええっ!?」
海を前にして、夏川由美が真琴のスマホを握りしめていた。その目は細められ、明らかに挑発的な猛毒を滴らせている。
「三浦くん、真琴ちゃんが今海にいること、知ってるんだよね?」すぐ隣に陣取った千秋が、興奮を隠しきれない様子で尋ねた。
「あたしのスマホ、返してえええええっ!!!!」真琴は絶望的な涙声で叫びながらバタバタと暴れていたが、華にがっちりと羽交い締めにされていた。
「ほーら、落ち着きなさいって、真琴!」
「あなたたち、ちょっと一線を越えてるんじゃない?」恵の声が響いた。彼女はすでに日光浴に戻っており、灼熱の砂浜に敷いたタオルの上で快適に寝そべっていた。
「ちょっと!ねえ!真琴ちゃん!これってどういう意味か、正確に分かってるよね?」千秋が尋ねた。体の前で手を組み、その瞳は抑えきれない星のようにキラキラと輝いている。
「論理的な説明は一つしかないわね……」由美は呟き、画面に視線を釘付けにした。ゆっくりと顔を上げ、身動きの取れない親友に、鋭く、そして完璧に邪悪な視線を向けた。
「がっ!」その悪魔的な仄めかしに気づき、真琴は息を呑んだ。
すぐ後ろで、華が小悪魔的な笑みを浮かべる。千秋の表情は相変わらず有頂天だったが、真昼の太陽が落とす影が、彼女の顔に恐ろしいマスクを作り出していた。そして由美は、目の前で繰り広げられるドラマの完璧な設計者として、本物の悪役のオーラを纏っていた。
「彼、あんたの水着姿が見たいのよ!!!」三人は声を揃えて宣告した。
◇ ◇ ◇
再び、詰所の裏手。鋼鉄の構造物の前で、この午前中だけで何度目か分からないゴミ袋を捨てていた。竜斗が金属製の重い蓋を両手で支え、その隙に月島が必死の形相でコンテナの奥へとゴミを放り込んでいる。
まさにその瞬間。ポケットの中で、ブブッという振動が響いた。
(早いな。)
同僚が掃除用具のカートに向かって離れていったのを見計らい、無気力な少年は蓋を下ろした。その短い隙に、竜斗はスマホを釣り上げた。画面には通知が光っている。
『秋山真琴:画像』
通知をタップすると、ロックが解除され、システムは直接チャット画面へと移行した。届いたばかりの画像が拡大され、少年の暗い瞳を明るく照らす。
「ガッ!!」
彼は自分の唾で激しくむせた。
写真には、水着姿の真琴が写っていた。生地が彼女の体のシルエットを完璧に浮き彫りにしている。
彼女は友人たちに追い詰められたのだろう。写真のポーズは、砂浜に座り、足を上品に横へ崩したものだった。腕は少し後ろに引かれ、肩が前に突き出ている。明るい色のビキニの下の曲線を強調する、紛れもなく挑発的なポーズだった。
お団子から解放された赤みがかったピンクの髪が、絹の滝のように流れ落ちている。しかし、その挑発的なイメージとの決定的なコントラストは、彼女の表情にあった。
少女の顔は、純粋な屈辱による深い赤に染まっていた。エメラルドの瞳はカメラのレンズを涙ぐんで見つめ、その露出に対する無言の絶望と、圧倒的な羞恥心を伝えていた。
「どうした?写真送られてきたのか、竜斗?」
「来るなあああああっ!!!!!」
竜斗は肺のあらん限りの力で叫んだ。月島はその攻撃的な驚愕に心臓が止まりそうになり、パニックに陥って後ずさりした。一方の竜斗は、茹で上がったロブスターの殻よりもさらに強烈な赤色に顔を燃やし、内なる崩壊を経験していた。
「死にたい!!!!!!!!」
再び海岸。真琴は砂に埋もれていた。膝をつき、上下の水着しか身に着けていない状態で、巨大な羞恥心を隠すために両手で顔を覆っている。
「完璧な写真だったわ!!」千秋は、その出来栄えを誇らしげにコメントした。
「ほら見て、もう既読ついたわよ!」華が画面を指差す。
「あんたの曲線美は、彼の高い期待に応えられたかしらね、真琴ちゃん?」由美が悪魔のような顔を向け、最後の挑発の毒を滴らせた。
「こっち見ないでえええっ!!!」
「……あれ?」
三人は純粋な混乱に包まれた。からかいのオーラは消え去り、画面に浮かび上がった冷たい返信を前に、明白な失望へと道を譲った。
『日常の写真のつもりだったんだけど…………』11:28―竜斗
「なにこのつまんない男……」千秋が不満げに唇を尖らせてぼやいた。
「どんだけ意気地なしなのよ!真琴、あんたこの男のどこがいいわけ?」華が腕を組みながら問い詰める。
「ただの普通の写真が欲しかっただけ?それだけ?」由美はため息をつき、ターゲットの捕食本能のなさに深く失望していた。
◇
再び、詰所の裏手。竜斗は両手でスマホを胸に押し当てていた。指が痙攣するように震えている。頭のてっぺんから湯気が吹き出しているのが幻視できるほど、顔は高熱で燃え盛っていた。彼はゴミ箱の前で羞恥のあまり悶え苦しんでいた。
月島は、同僚からの明確で脅迫的な命令により、きっちり五歩の距離を保っていた。彼は無言で竜斗を凝視し、抑えきれない笑みを浮かべていた。
(竜斗のやつ、彼女が海にいるって言ってたよな?そうか……彼女、ビーチにいるのか……いいなぁ……)
「お?」
最初の衝撃から立ち直りかけた竜斗は、端末が二回振動するのを感じた。チャット画面に意識を戻すと、新しいファイルが届いていた。
中身を予期して脈が速まる。しかし、画面に焦点を合わせると、内なる嵐はついに沈黙した。呼吸は本来のリズムを取り戻し、愛情のこもった赤みは顔を温め続けていたものの、肩から緊張が溶け落ちていった。
画像は、二人のツーショットだった。彼が知らない間に撮られた記録で、彼女が初めて彼の家を訪れた日に遡るものだった。
竜斗はソファに座り、学校の課題の調べ物をしていて深刻な表情を浮かべている。その隣で、真琴が自撮りの構図に収まっていた。赤みがかった髪が自由に流れ、緑色の虹彩が完璧に輝いている。彼女の笑顔は眩しく、尽きることのないエネルギーの源であり、それは少年の無気力さと完璧なコントラストを描いていた。
(彼女は……すごく綺麗だ……)
彼は魅了され、生唾を飲み込んだ。
「マジか、お前の彼女すげー可愛いじゃん!」驚きに満ちた声が、すぐ耳元で響いた。
「なっ!?」竜斗はビクッと飛び上がった。
規定の距離を保つことに飽きた月島が、こっそりと忍び寄り、ついに謎の彼女の顔を目撃したのだ。
「お前ら二人の差、ハンパねえな!この写真がそれを物語ってるぜ!ハハハ!」
「分かってる……」竜斗は呟き、その声色はノスタルジックな響きへと落ちた。同僚は笑うのをやめ、耳を傾ける。「……だからこそ、僕は……」
「彼女の声を忘れたくないってことだろ?」月島は共感のこもった笑顔で言葉を継いだ。
竜斗は彼を横目で見やり、肌の温度はすっかり落ち着いていた。電子機器をポケットの奥底へと滑り込ませる。
「ああ……」
彼はカートの方へと最初の一歩を踏み出した。森林公園の清掃を再開する決意を固めて。しかし、その歩みは、同僚の手が彼の肩に重く着地したことで遮られた。
「最初の一枚は、彼女のビキニ写真だったんだろ?」
「殺すぞ」
「じょ、冗談だってばあああ!!!」




