表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と会うまで、世界は無音だった  作者: わる
第3巻 - 防げなかった無音
49/50

第49話「青の憂鬱」第二部

 容赦のない太陽の光がむき出しの土の広場に降り注ぎ、木造のコテージやキャビンの間を照らし出していた。開けた空間には、テントやテーブルが点在し、食事の準備エリアや子供向けの遊具スペースが設けられている。


 ミーン、ミーン、ミーン……


 絶え間ない蝉の大合唱が、彼の耳に届くもう一つの不協和音と混ざり合う。その蒸し暑い朝、絶え間ない人々のざわめきが空気を満たしていた。


 ザワザワ……ガヤガヤ……


 森林警備隊から支給されたユニフォームに身を包み、三浦竜斗と月島は共同キッチンの裏手にあるプラスチック製のゴミ箱からゴミを回収していた。二人は重い足取りで、巨大な黒いゴミ袋を肩に担いで歩いている。


 ズリッ……ズリッ……


「すげえ人だな……」月島が周囲の公園を見渡しながらぼやいた。


 すぐ隣を歩く竜斗は、横目で彼を見た。


 その土曜日の朝、多くの観光客が山での晴れた一日を楽しもうと足を運んでいた。屋外でのランチ、ピクニック、森のトレッキング、あるいは川遊び。目的が何であれ、そこにとてつもない数の観光客がいるという事実は否定できなかった。


「……少なくとも、手伝ってくれる人は増えただろ」竜斗は低い声で答えた。


 月島は力なく笑った。「問題は、そいつらが突っ立ってるだけってことだよ……」と彼は文句を言う。


「僕たちは新人だからな……どうしようもないだろ」


 実際、この混雑に対応するため、他の公園からも森林警備隊員や補助員が応援に駆けつけていた。しかし、応援部隊の主な任務は巡回や観光客の誘導だけだ。


 清掃という「汚れ仕事」は、依然としてこの二人(新米)の肩に完全にのしかかっていた。


「違いない……」月島は肩を落とした。「西宮先輩まで突っ立ってるだけじゃん!なんで俺らばっかりなんだよ、三浦ぁ!?」


 彼は信じられないという声色で同僚を振り向いた。


「西宮先輩は去年もここで働いてたから——」


「わかってるよ!!」彼は叫び、敗北感に打ちひしがれて肩を落とした。


 (……マジでめんどくせえ)



 ギィィィィ……ッ


 ゴミ箱の蓋が軋む音が、容赦なく耳に突き刺さる。その金属的な反響音は不快感をもたらすが、同時に、彼がなぜか執着してしまうような奇妙な感覚もはらんでいた。


 握りしめた左手が、重い蓋を支えている。細い縁が指の柔らかい皮膚に食い込み、その重さによる不快感はすぐに刃物で切られるような痛みに変わり、手首から肘へと放散していった。


 バタンッ!


 竜斗は蓋を下ろし、ゴミ箱を閉めた。たった今、また一つのゴミ袋を中に放り込んだところだ。今朝だけで実に五つ目である。


 ハァ……


 無気力な少年はため息をついた。遠くを見るような彼の茶色い瞳は、すでに樹皮の色を失いかけた丸太で建てられた素朴なキャビンの木肌をじっと見つめている。


 空虚で疲れ切った視線が左へと逸れ、公園のむき出しの土と周囲の建物との間に見える小さな隙間に焦点が合った。


 左手はようやく金属の構造物から離れ、重力に従って体の横へと力なく落ちた。右手は汚れて汗ばんだままだ。慣れない肉体労働のせいで、前腕の筋肉が脈打つように痛む。


 だが、その程度の痛みは、簡単に無視できる障害に過ぎなかった。


 指が右太ももを滑り、ズボンの生地越しに硬くて長方形のスマートフォンの感触を確かめる。


 (秋山さんは……どうしてるだろうか?)


 彼は心の中で問いかけた。その瞳はますます遠くを見つめていたが、そこには微かな、しかし確かな温もりが輝いていた。


 (真琴さんと話したい……今すぐ、彼女と話したい……)


「……会いたいな」


 本能的な動きで手が握りしめられ、支給されたユニフォームのズボンのポケットに飛び込もうとした、その時。


「三浦くん?」


 突然、背後から女性の声が響いた。


 そのトーンにはいくらかの困惑が含まれていたが、それでも彼の耳がすっかり慣れ親しんだ音色だった。


 自分の想いにふけっていた少年は、ビクッと肩を揺らした。


 竜斗がゆっくりと振り返ると、そこには彼を不思議そうに見つめる西宮の姿があった。


 クリアな青い瞳は、レンズとキャビンの薄暗がりの奥に半分隠れている。つば付きのキャップの下で、長いまつ毛と前髪が彼女の小柄な顔の輪郭を縁取っていた。警備隊のユニフォームのズボンには土の汚れが付き、彼女の茶色い髪は相変わらず長く太い三つ編みにまとめられている。


「……先輩」彼は呟いた。


「どうしたの?さっきからずっと呼んでたんだけど……」と彼女は尋ねる。西宮は左手で自分の右腕をギュッと握り、視線を逸らした。「……呼ばれてるわよ、私たち」


「あ……はい。行きます」彼は自身の思考から目覚め、現実へと引き戻されながら答えた。



「なんで俺らが草むらを歩き回らなきゃなんねーんだよ!?」ツンツン頭の少年の声が、苛立ちと抗議の混じった不満となって森に木霊こだました。


「スマホを落とした客がいる。俺たちの仕事はそれを探すことだ、月島」答えたのは、年配の男の声だった。


 担当の正規の警備隊員に連れられ、森林警備隊の臨時スタッフのグループは、草木に覆われた森の中で観光客の落とし物を探していた。


 彼らは、マップに記載されたトレイルとキャビンの中間地点あたりを、森の奥深くへと進んでいく。空は鬱蒼うっそうとした木の葉の天蓋に完全に覆われ、ほんのわずかな一筋の太陽の光だけが、頑固に枝葉の隙間をすり抜けようとしていた。


 森は深く、閉ざされていた。背の高い草や這うような低木が若者たちの膝丈近くまで達し、太い木の根を隠している。


 足元の地形は非常に厄介だった。踏み出す重みで転がる緩んだ石や、地面の亀裂に頻繁に足を取られる。その絶え間ない危険のせいで、少し前に月島は派手に転んでいた。


「どうして客はこんな奥まで来るんだろうな……」警備隊員はぼやいた。彼は、いくつか岩に囲まれた奇妙な幹を持つ一本の木の前で、ピタリと足を止めた。すぐ後ろを歩いていた少年たちも歩みを止める。


 少なくとも、竜斗と西宮はそうした。月島は、深い草に隠れた別の石をうっかり踏みつけ、まだ必死にバランスを立て直そうとしている。


 二人は好奇心からその男を見た。だが、口を開いたのは少女の方だった。


「入野のおじさん、どうしてここまで来たの?」と彼女は尋ねた。


「お前たちが担当しているエリアは、この時期いつもかなり混雑するんだ。山の中とはいえ、地形に急斜面が少ないからな。だから、こういう開けた場所がいくつかある」彼は目の前の木の幹から目を離さずに答えた。


「休憩して時間を潰すには、良さそうな場所ですね……」竜斗がコメントする。


「その通りだ、三浦」警備隊員は同意した。「こういう隠れ家みたいな場所がいくつかあるからこそ、客は正規のルートから外れて公園の奥へと入ってきがちなんだ」彼は再び木の方へと歩き出した。


「落とし主は、正確な場所を把握してなかった。東のトレイルを歩いたとだけ言っていたから、ここを通った可能性が非常に高い」田寺は地面を見つめ、露出した根や石の円の周りをうろついていた。「ほら、お前たちも探すんだ」


 若者たちは警備隊員に加わり、捜索を始めた。


 何分も経過し、グループはその周辺を念入りに調べた。しかし、その努力は無駄に終わる。電子機器の欠片すら見当たらなかったのだ。


「あーあ、マジかよ……」月島がため息をつき、肩を落とした。


「……たぶん、他の開けた場所にあるんじゃないか」竜斗が低く無気力な声で呟いた。


 田寺は腕を組み、深くため息をついた。「入野のおじさん、手分けして探すのはどう?」と西宮が提案する。


「お前たちだけでこの辺りを歩き回らせるのは気が進まないな。お前たちにはまだ、深い森の中を進むための適切な訓練が足りてないからな」


「観光客は、普段こういうところには来ないんですか、田寺さん?」竜斗が尋ねた。


「まあ……そうだな」


「なら、余裕じゃん!」月島は自信満々な笑みを浮かべて結論づけた。


「ああ。だがその結果、客は道に迷い、後で俺たち警備隊が探し回る羽目になるんだよ」

 田寺は冷たく、棘のある声で答えた。


「大丈夫っすよ、田寺さん!」月島は、その自信に満ちた笑顔を崩さずに主張した。


「まあ……少なくとも……」竜斗も同意する。


「私たちは大丈夫よ。私、去年訓練を受けたから、どっちか一人と一緒に行けるし」西宮は落ち着いた口調で検討した。だが、彼女の視線は二人の新人と叔父の間を忙しなく行き来していた。


「絶対にダメだ」彼は断言した。田寺は深くため息をつく。腕を組むのをやめ、目の前の二人の少年を指差した。「この先にも、同じような場所がある。そこには見間違えようのない影を落とす高い岩があって、見落とすことはまずない。簡単に見つかる場所だ。お前たちはそこを探せ」


「了解っす!」月島はぎこちない「気をつけ」の姿勢をとり、歪んだ敬礼をした。


「了解……」一方の竜斗は、やる気のなさが滲み出るような引きずる声で答えた。


「いいか、もし万が一迷ったら、通信機で呼べ。絶対にお前たちがいるその場所から動くなよ。俺がそこへ行くからな」


 すでに歩き出していた二人の新人は、半分だけ振り返った。無気力な少年はただコクリと頷き、ツンツン頭の少年は親指を立てて腕を掲げた。


「迷わなきゃいいがな……」田寺は独り言のように呟いた。


「彼らは大丈夫よ。少なくとも、三浦くんは迷ったりしないと思うし」西宮がコメントする。警備隊員は、木々の間に消えていく少年たちの方へ顔を向けたまま、横目で姪を見た。


「……三浦、ねぇ?」


 少女は驚いて目を丸くした。その頬がわずかに赤みを帯びたかと思うと、彼女は突然くるりと背を向けた。


「うるさいっ!」


 そして、彼女は別の捜索エリアへと足早に歩き出した。後に残された叔父は、ただもう一度、深くため息をつくのだった。


 ハァ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ