↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/38

好きな人が告白されてるところに出くわしたら、焦りとかすっげーやばそう

 僕は走って、神埼さんの居た渡り廊下まで行く。


 それにしても、神埼さんは部活してないって言ってたのになんで部活棟なんかに。


 いや、そんなことは今気にしても仕方がない。


 三階にある、僕の教室から、部活棟に行くには、二階に降りて、そこから渡り廊下を渡るのが一番近い。三階には渡り廊下がないから。なんて不便な作りなんだ。


 僕は心のなかで文句をたれながら、階段を駆け下りる。そして、渡り廊下を渡り、部活棟へと入っていく。


 問題はここからだ。部活棟は四階ある。そして今は二階。神埼さんが上に行ったのか、下に行ったのかわからない。


 とりあえず、二階の廊下を回ってみる。が、神埼さんの姿はなかった。二階のどこかの部室に入っている可能性も考えたけど、一部屋一部屋探すのはさすがにきつい。それに居なかった時なんて言えば……。間違えました。と言って扉を閉めるぐらいしか考えつかない。なので、僕は一階へ降りることにした。


 一階の廊下を見渡す。そこにも姿はない。


 一階じゃなかったようだ。


 こういう時の僕の運は最強に悪いから。ハズレを引いたんだろう。


 くそう、こっから三階へと階段を駆け上がっていく。


 部室があるのは三階まで。四階は物置みたいな状態になっている。だから三階だろう。そう思ったけれど、三階の廊下にも居なかった。


 普段運動しないから、息が切れて苦しいのにもかかわらず、もう一階階段を上らないといけない。走る力は僕にはもう残ってなかった。


 半ばあきらめて、階段を登る。


「お待たせしました」


 途中で神埼さんの声が聞こえてきた。四階からだ。僕はゆっくりと階段を上がる。


 誰かと待ち合わせしてたんだろうか。こんなところで。


「話ってなんでしょうか?」


 僕は階段を最後まで上がらず、身を潜める。立ち聞きするのはよくないかもしれないけど、今行くのはなんだか野暮な気がした。


「神埼さん!」


 男の声がした。会っているのは男か。なんだか嫌な予感がする。


「はい」


 落ち着きが無い男の声とは真逆に、神埼さんの声はすごく落ち着いているような気がした。


「あの、俺、神埼さんのことが好きで、よかったらパートナーになってもらえないか?」


 告白だ。


 しまった、先をこされてしまった。どんな奴なのか見たくて、覗きたいが。それをやると色々まずい気がする。もしバレたら。なんでここにいるのか、から質問攻めされそうだ。まさか神埼さんをつけてきたなんて言えないし。


 いや、そんなことより、神埼さんの返答だ。ここでオーケーされたらたまったもんじゃない。


 僕はゴクリと生唾を飲んで、神埼さんの言葉を待った。


 が、神埼さんは思ったよりも早く、返答した、


「私、好きな人が居るので。ごめんなさい」


 はっきりとした物言い。おとなしいようで、そういうところはきっちりとしている。相手は固まっているようだ。何も声が聞こえない。


「じゃあ私、帰りますので失礼しますね」


 やばい、こっちにくる。


 僕は急いで、階段を駆け下りた。足が疲れきっているけれど、バレるのはまずい。とりあえず昇降口までは逃げよう。


 鉢合わせしたとしても、昇降口なら問題はない。はずだ。


 僕は一目散に一階まで駆け下りて、昇降口の、自分の下駄箱のところで、息を整える。


 いきなり運動したからか、汗も出ている。これは、収まるまで少し時間がかかるかも、


「あ、井上くん。今帰りですか?」


 僕が息を整えている間に、神埼さんがやってきた。


「あぁ、うん。そうだよ」


「なんか疲れてるみたいですが、大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫だよ」


 僕はにっこりと微笑む。内心いろんな感情がまざって居るのだけれど、今さっき見たことをバレてしまっては説明がめんどくさい。


 ごまかすための笑み。


 それを神埼さんはどう捉えたのかわからないが、


「そうですか、なら一緒に帰りませんか?」


 と誘ってきた。もちろん、断る理由なんてない。


「もちろん、良いよ」


 僕は快く受けた。


 二人で靴を履き替えて、校門を出る。


 そういえば、校門で待ち合わせのメールしてたんだけど、まだ見てないみたいだし、どうしよう。ここで切り出すべきなのかな。


 そんなことを考えていたら。さっきの出来事を思い出す。


『私好きな人が居るのでごめんなさい』


 この言葉は想像以上に重たい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。