三章①
ここ、大和国には騎士団がある。
第一部隊から第五部隊まであり、そのほか精鋭隊などが存在する。圭は第二部隊の隊長の座にいた。
「おはよ、圭」
「おはようございます。小鳥遊隊長」
小鳥遊和馬。
第一部隊の隊長で、圭の知り合いだ。
「ブラッドドールにしたんだって?」
「……どこで聞いたんですか」
「俺に知らないことなどないのだよ、圭」
(聞く相手を間違えたな)
かっこつける和馬を無視して圭は歩く。
「ちょっと、一言ぐらい言ってくれない? 悲しいんだけど」
「とぼけるのはやめたほうがいいですよ」
「冷たいなぁ」
二人はいつもこんな感じだ。和馬の方が年上で、圭もお世話になっているのだが、飄々としている様を見ると、年上への敬意を忘れてしまう。
「結局、何が言いたかったんですか?」
「ん? その子が盗まれないよう、気をつけろってこと。それと、圭のことだから大丈夫だと思うけど、ブラッドドールを買ったこと、知られないようにな」
「どうしてです?」
「圭は昨日、一昨日と休んでたもんね。……すぐにわかるよ」
意味深な言葉を残す和馬。その言葉の意味を圭はすぐに理解することになる。
「高級ブラッドドールの殺害?」
「ああ。前から何件か起きていたんだが、最近は頻繁に起こっている。しかも、高級なブラッドドールばかりを狙われることが多くてな」
騎士団会議にて、圭はそのことを知った。
高級ブラッドドールとは明梨のような『綺皇家の血』のような美味の血を持つブラッドドールのことだ。
「小鳥遊隊長。質問いいですか?」
「いいぞ、神楽」
「ありがとうございます」
神楽と呼ばれた男は第四部隊の隊長を務める宮部神楽だ。圭と同じヴァンパイアで、最年少で隊長に就任した期待の星である。
「犯人は複数犯と見ていいのでしょうか」
「確定ではないが、単独犯と見られている。……どのブラッドドールの自体にも、同じ吸血痕があった。犯人はヴァンパイアの可能性が高いが、最近はヴァンパイアの仕業に見せかけて人間が行っていることもある。なんとも言えないな」
「そうですか」
ヴァンパイアなら単独犯、人間なら複数犯の可能性が高いだろうと和馬が言う。どちらにせよ殺されているので目的が血であることは確かだ。
(小鳥遊隊長が言っていたのはこのことか)
明梨の血は『綺皇家の血』だ。狙われる確率は高い。白百合も強いが、紅秋にも護衛をしてもらうかを圭は考える。
「御影」
そう声をかけたのは巨漢の第三部隊の隊長、安代玄だ。隊長の中で最も背が高く、年も上の玄は、厳か雰囲気がある。
「ブラッドドールの管理会社の警護に当たってほしい」
「! 私はヴァンパイアです。犯人がヴァンパイアの可能性が高いのに、私が警護に入っていいのですか?」
「御影が犯人なら、その時は殺すのみ。ただそれだけだ」
素直じゃないが、要は御影を信用しているということである。
「一つ提案が」
「なんだ?」
「その警護には諏訪隊長も同行してほしいのです」
「えっ、ぼく?」
反応した青年ーー諏訪智也は目を開く。第五部隊隊長の智也は後援を得意とする隊長だ。近接戦になったら終わりである。
「ぼく、多分役に立たないと思いますよ?」
「大人数で仕掛ける場合……すなわち、犯人が人間だった場合、諏訪隊長なら対処しやすいです。私も後方支援があるとありがたいですし、どうでしょうか」
「ぼくはいいけど……」
そう言うと智也が和馬に目をやる。
騎士団のトップである小鳥遊の決定は絶対だ。
「いいんじゃない? そっちの方がいいと思う」
「ではよろしく頼みます、諏訪隊長」
「うん。よろしくね、御影さん」
こうして騎士団会議は終了した。
一気に新キャラ出したのでまとめます。
第一部隊の隊長 小鳥遊和馬 (人間)
・一番チャラくて一番強い
・圭をいじるのが好き
第二部隊の隊長 御影圭 (ヴァンパイア)
・体調になる前は和馬にお世話になってた
・お仕事は神速でこなす
第三部隊の隊長 安代玄 (人間)
・厳しい目つきと巨漢で恐れられている
・真面目だから圭と相性がいい
第四部隊の隊長 宮部神楽 (ヴァンパイア)
・新米隊員にして最年少隊長
・隊長全員を尊敬している
第五部隊の隊長 諏訪智也 (人間)
・小柄で低身長だが和馬より年上(よく勘違いされる)
・圭と同じ式神持ちで後援担当




