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神速の騎士王  作者: 天月 能
第6章 アルナイル帝国奪還編
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No.70:最終決戦-4

 紅丸が敵を引きつけ、アーサーはモブ兵士を突破して城内へ行った。

 城内には誰もいない。とても静かで足音がよく響く。外の戦いの音もよく聞こえる。


「あの雷は紅丸の魔法かな。あいつもかなり変わったなぁ。にしても最後なのによくこんな落ち着いてられるよ、ほんと」


窓から煙や魔法がよく見える。

 皇帝の部屋の前に着いた。開ける前に深呼吸し覚悟を決めて扉を開いた。開くと当然ながらエルネストがいる。あいも変わらず棚整理の真っ最中だ。


「やぁ、ガレス君。ついに我々の下に付く気になったかい?」


「まさか。寧ろ引導を渡しにきたよ」


「そうか、それは残念だ。私は君をかなり高く買っていたんだが。本当にもったいない」


「評価してくれてありがとう。でもそれとは別だ。俺たちの親を、国民を殺したんだ。その報いくらいは受けもらう」


「ならば我々のやることは1つしかないな」


「それは……」


「私オリジナルの魔術書。スペルブックだ」


エルネストは机の上にある本を手に取りページを開いた。何かを唱えるとアーサーは吹っ飛ばされ、気がつくと城内から弾き飛ばされた。アーサーはすぐに態勢を整え、風の魔法で着地を安定させ、抜刀しようとするとエルネストはすでに目の前にいた。柄の先を抑えられ力を入れて抜刀しようとしても抜くことができない。


--速いけど、速さなら負けない!


神速を使い背後に回り突きを繰り出す。しかし魔力で練られた盾を出現させる魔法で塞がれた。エルネストは振り向き、至近距離で風の魔法を放った。アーサーは神速で避ける。エルネストはまた何か唱えると、地面から骸が現れた。


「こいつら確か、大和国と過去の時代で出てきた奴ら。薄々思ってたけどやっぱりお前らが手を引いてたのか」


「そうだとも。骸襲撃も伊助という名の剣士も全て我々手でやった」


「お前が伊助さんを……。わかったよ、もう出し惜しみは無しだ。全力でお前を潰す! 行くぞザガン!」


ザガンの力を使い、魔眼を発動させ骸たちを斬っていった。数が少ないためすぐに終わった。


「なんだ、少ないなら手応えないな」


「何を言ってる。これからじゃないか」


骸たちの骨がカタカタと動き出し元の状態になりまた骸となった。斬っても斬っても元に戻る。


「くそっ! めんどいなぁ。風よ、炎よ、我が剣に纏え」


アーサーは剣を1本生成し、片方の刀には風を、もう片方の刀には火の魔法を纏わせ、アーサーを中心に回転し火を円状に広げ、風の力で威力を倍増。そうしてそれらが合わさり火柱が発生し骸たちを焼いた。

 エルネストはスペルブックを閉じ、懐から短剣を取り出した。アーサーとエルネストは激しい剣戟を繰り広げた。


「さすがはアーサー。いい腕だ。ますます欲しい」


「却下する」


「そういうと分かっている。だから力ずくで」


スペルブックが禍々しい魔力を放ってる。その禍々しい魔力はどこかで見に覚えがある。


「良いことを教えてやろう。もう気づいていると思うが大和国での巨大な生命体はゴエティアだ。そしてそのゴエティアはこのスペルブックに移し替えた。その意味が分かるな」


「ザガンや他の魔神同様力を行使できるんだろ。でも俺のやることは変わらない。そいつの皮をぶち抜いて終わらせてやる」


「ははっ! 良い威勢だ」


魔神ゴエティア。全ての魔神の拠り所であり、全ての魔神の力を吸った存在。

 エルネストはアーサーと同様に紋様が体に刻まれる。エルネストはザガンと同じ力、剣の生成を行った。アーサーも同様に剣を作り出し一斉に掃射した。剣と剣は互いに火花を散らしながらぶつかり弾けた。

 一度瞬きをすると目の前にエルネストがいない。アーサーが居場所掴む頃には遅かった。エルネストは背後に現れ、アーサーは一瞬反応が遅れ斬ろうとするとエルネストの手には槍が携え刺そうとしている。アーサーは咄嗟に神速を使い避けようとするも槍に当たってしまい、離れても血が居場所を教えている。


「アガレス、地を持ち上げろ」


地面が隆起しアーサーに襲いかかる。風の魔法をうまく利用して隆起した地に着地するも前方からエリゴスの槍が飛んで来た。剣を何本も生成し盾代わりにし、その間に神速で一気に間を詰め攻撃を仕掛けた。エルネストはフォカロルの水の力でアーサーごと飲み込んだ。風の魔法で水から脱出した。フォカロルの水は間髪入れず、また襲って来た。今度は左右から水が襲う。


「炎よ、灰燼と化せ、地獄を見せろ、数多の敵を焼き払い骨一つ残らぬ獄炎をもたらせ、フィアンマ・インフェルノ!」


獄炎は水を焼き蒸発させていった。


「はぁはぁはぁ……」


「素晴らしい。ゴエティアにここまで立ち向かうとは計算外だ」


「そりゃ……どうも……。なぁザガン、聞こえるか?」


「おうよ。やるんだな、あれを」


「勝てる方法があれしか思いつかない。ゴエティアは強敵だ。ならこっちも本気でやるしかない」


「わかった。だが終わった後どうなるかは保証せんぞ」


「あぁ、覚悟はできてる。やろうか、100%の力!」


アーサーの体に刻まれていた紋様が全身を覆うと腕、足、胴、首、顔全てに至るまでザガンを模した姿になっていった。厳つい顔に角が生え、鋭い牙と爪を持ち、黄緑の鱗を持ってる。魔神の力の最終形態。これは覚悟がなければできない。アーサーが全てをかけエルネストを倒すと決めたからこそできる業だ。そしてここに最後の戦いが幕が開ける。



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