No.67:最終決戦-1
反乱軍対帝国軍の戦いが始まった。帝国軍兵士達との戦い、騎士団との戦いは困難を極めた。魔神を惜しみなく使い反乱軍を押して行く。だが反乱軍にはシャルロットという魔術師がいる。民の安全を確保し、すべてを確認し終えると戦場に颯爽と現れ帝国軍を押し返していく。
アーサーはシャルロットが放った魔術で起こった爆風に紛れて城へと進んだ。すると、
「待ちな、神速の騎士王」
爆風が抜けた所で帝国軍の騎士の1人が立ちはだかった。アーサーは止まることなく敵に向かって刀を振るう。刀と剣が激しくぶつかり合い火花が散る
激しい攻撃は続き金属音が鳴り響く。お互いが引くことはない。
ーー埒があかない。神速を使っても追いつかれそうな気がする。
それほどの圧を感じ、決してこれ以上先には行かせないという覚悟が話さなくてもわかるほどの覚悟を感じる。だがここを通らなければ城には行けない。魔力を使うわけにもいかない。たった1人の壁が困難を極めた。
「何やってるのよ、アーサー」
後ろから現れたのは椛だ。
「たった1人に手間取ってる暇ないかしら」
「魔力を使うわけにもいかないから手間取ってるんだよ」
「なら、もみじの向こうでの役目は終わったから手助けしてやるのよ。足止めしておくから先行くかしら」
「いやでも……」
「これでも忍者、龍と契約し、陰陽之神を使う者。現状アーサーより戦えるかしら。心配いらない。もみじの陰陽之神は守りが売りの神様。防御は最大の攻撃かしら」
「攻撃は最大の防御な。でもありがとう。先行かせてもらう」
アーサーは神速を使い一気に駆け抜けた。
「行かせん!」
アーサーの神速にも追いつくほどの覚悟そして速さで行く手を阻もうしたが椛がそれを止めた。
「お前の相手はこのもみじがするのよ。生半端な覚悟じゃ喰われるかしら」
「貴様ぁ」
椛は印を結び口寄せを発動した。原初の龍、龍皇は召喚され敵に向かい勢いよく喰おう口を大きく開けた。
「セーレ! 最大防御力を持つ盾を!」
敵も魔神の力を使い龍皇の突進を受け止めその間に離れた。盾は次第にヒビが入り龍皇が噛み砕いた。
「貴様、何者だ!」
「ただの忍者かしら。といってもそんじゃそこらの忍者と一緒にしないことよ。魔神セーレ、確か許容範囲ならどんな願いも叶えてくれる魔神。貧弱な魔神なこと」
「なんだと……」
「龍皇に対抗するならもっと強いのを持ってくるかしら。貧弱すぎて相手にもならんのよ」
椛はからかうように敵を罵った。だが椛自身も分かっている。実際はそんな簡単には倒せない。先ほどの防御盾もほんの少しとはいえ龍皇を止めた。なら最大攻撃の矛はどれほどの物か未知数。許容範囲が世界基準か魔神基準かなど分からないことが多すぎる。だが勝てないわけではない。椛には盾であり矛の陰陽之神がある駆使すれば勝てる可能性は高い。
「セーレ! 幻術を!」
世界が歪んで見えた。地面が空に、空が地面のように世界が歪み立っている感覚すらない。
「龍皇! ありったけの炎で幻術をやくのよ!」
龍皇は腹が膨らむほど息を吸いその勢いで火炎を口から吐き出した。幻術は焼かれ地面に足が着いていることを確認した。
「陰陽之神顕現、十二天将玄武、我が身に宿れ」
椛は玄武の力を使い強化した。玄武を身に宿っている状態の椛を斬ることは難しい。
「くそっ、セーレ! 全てを断ち切る絶剣を!」
敵は剣を手にし椛に斬りかかった。玄武の防御を難なく斬り腕ごと持っていかれた。椛の腕は玄武の再生能力ですぐに再生した。3つのセーレの力でわかったことがあった。
「そのセーレの力は世界基準のようかしら。防御の盾も幻術も絶剣も再現しよう思えばできてしまう物ばかり。盾なら玄武の力を最大まで使えばできるし幻術はシャルロットならお茶の子さいさいかしら。剣ならアーサーがそれに近いものを持ってる。安心したのよ。魔神基準では本来作れないものまで作ってしまうから」
「それがどうした。それでも貴様は押されている。今の状態で勝機はない」
「それもわからないもの。今から一瞬だけ待ってやるのよ。逃げるなら今のうちよ」
「逃げない。それが役目。役目を放り出すのは三流のやること」
「なら覚悟なさい。龍皇、我が身に宿れ」
龍皇は椛に吸い込まれるよう入っていった。すると椛から翼、尻尾、鱗、かつて幼い頃の椛のように身体から現れた。
「最大の防御壁を作るといいかしら。この一撃で決める」
「いいだろう、力比べだ。セーレ! かつてないほどの防御壁を何重にも展開し相手の攻撃を防げ」
防御壁が何枚も展開され準備は整った。
椛は玄武と龍の二重顕現。玄武の力は魔力を固め盾にしている。なら固める魔力を攻撃に使い、龍の力に上乗せする。椛は思いっきり息を吸い、体内で2つ魔力を練った。その魔力は外に漏れだす。地面は耐えきれない魔力で地割れし引力にすら逆らい砕けた石が浮いてる。ついに限界まで練った魔力を椛は吐き出した。
そのブレス攻撃は地面をえぐり、近くにある家々を破壊し敵を襲いかかった。最大防御壁も意味を成さず敵は直撃を浴びた。吐き終わった椛は反動で倒れてしまい動けなくなった。玄武と龍は体内からいなくなり元の場所に戻っていった。敵の魔神も元に戻っていった。
「ふぅ、これで1人倒したのよ。あとは頼んだかしら、みんな」
椛は空に向かって呟いた。こうして椛の足止めは成功しアーサーは城に向かうため駆け抜けた。




