No.63:ザガンvsアガレス
2階へ上がるとまた敵が立っていた。白銀の鎧を身に纏い、アーサーの前に立ちはだかった。
「初めまして、神速の騎士王アーサー、私はシャルル・ベルジュラック。ザガンを返してもらいましょうか」
「ご丁寧にどうも。こっちもこっちでやることがあるからそこを退けてくれるとありがたい」
「そうはいかない。あなたはここで死んでください。行きますよ、アガレス」
シャルルは魔神アガレスの力を使い、アーサーに襲いかかる。
アガレスの力は大地を操れる。地面が土、岩、石の成分が含まれているなら自由自在に操る。ブラッドレイ邸の床は大理石。アガレスの力を行使しやすい。
大理石の床を四角柱に隆起させた。アーサーは軽々と躱し神速で突きを繰り出したが、さっと横に避け蹴りを入れられた。すぐに立ち上がりまた同じように突きを出したが躱された。アーサーは躱した隙を狙い下から上へと刀を振り上げたがこれもまた躱され四角柱の石柱に直撃を食らった。
「シャルル、お前何か特殊体質持ってるな? 多分相手の動きを読み取るみたいな」
「惜しい、90点です。教えても差し支えないのでお教えしましょう。私の特殊体質は『聴音』。本来はただ音を読み取るだけのものですが極めに極めたこれは相手の頭の中まで聴こえるようになりました」
「なるほど、読み取ってるのか。道理で当たらないわけだ」
「はい、たとえ神速を使っても聴こえるので存分にどうぞ」
「読み取られると分かったてんのに、おいそれとやられてたまるか」
アーサーはザガンの力を使い、剣を数本生成しシャルルに打ち込んだ。シャルルは大理石の壁を作り防いだ。その瞬間にアーサーは神速を使い、シャルルの背後に回り刀を上から下へと斬りつけた。シャルルはその行動を読んでいた。シャルルは自分の背後に薄い壁を作りアーサーの一撃を防ぎ、さらに壁をトンと指で軽く叩くとアーサー側に石柱が現れアーサーをまた直撃させた。
アーサーは読み取られるだけでここまで差が出るのかと思った。しかもアガレスの力との相性もかなりいいときた。立ち上がろうとも直撃を受けた部分が鈍い痛みを伴っている。
シャルルは攻撃をしてこない。余裕の表れか、それともアーサーのことなど敵とも認められてないのか。
ーー小僧、立て
ザガンの声だ。
ーーちょっとばかし体を借りる。なに、終われば元に戻る。
ザガンはそれ以上話さなかった。
シャルルはゆっくりアーサーの所に来た。鞘から剣を抜き、切っ先をアーサーの心臓に固定した。その時、アーサーの目は何か起きたかのように突然開き剣を5本生成し内1本だけシャルルの腕を突き刺した。アーサーはヌッと起き上がり首をポキポキと鳴らした。
「あなたはアーサー……ではありませんね」
「よくわかってるようだ。貴様の相手はわしだ。このザガンが相手しよう」
「憑依ですか。あまりお勧めできませんね。それは強力ですが契約者の身を滅ぼすかもしれない。簡単にやってのけるとはよほど契約者が嫌いですか?」
「はっ、逆だ逆。わしがそんなヘマするわけなかろうに。本当は王様にやるなと言われてるがもう死んでるから関係ない。貴様らこそ我らの王のものに手を出してただで済むと思うな。こんなこと言いたくないが魔神共全員解放してもらう」
「いいでしょう。できるものなら」
アーサーの体を借りたザガンはシャルルを指差すと360度囲むように大量の剣が一瞬で生成された。それはシャルルにめがけて襲いかかってきた。シャルルは咄嗟に自身を囲むように壁を作り剣を防いだ。シャルルはその壁から石柱を作りだしザガンへ攻撃を図った。ザガンは一本の槍を生成し槍先を石柱に向けアーサーの神速の力を付与させ石柱を貫き破壊した。穿つ手前でシャルルに抑えられたが勢いは止まらない。勢いとともに後ろに吹っ飛ばされた。勢いが消えた時には動きを読み取る余裕はなくなりザガンが目の前まで来てることに気がつかなかった。ザガンはシャルルに刀を突き刺した。
「うぁあああ!」
刺された場所は鎧で覆われていない右腕の関節部分。一刺ししてすぐに抜いた。
ザガンは憑依を終え人格がアーサーに戻った。未だ叫ぶシャルル。アーサーは近寄りシャルルの鎧を刀で切り裂きアガレスの紋章の部分を斬った。紋章は消え去り、アガレスは元いた場所に戻っていった。シャルルも同時に意識を失った。これで2人目の討伐に成功した。




