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神速の騎士王  作者: 天月 能
3章 大剣魔学院祭『ウラノメトリア』
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No.32:ラビュリントス・リアリティその1

 トイレに駆け込みチャリオット酔いしたアーサーは思いっきり吐いた。その後持ってきた飲料水でうがいをしているとギルバートがトイレに入ってきた。


「これはこれは神速の騎士王ではないか。1位なのに無様な姿だな」


「騎士王って呼ぶのやめろ。嫌いなんだ。それにチャリオットに乗ったことないもんで酔っただけだ」


「騎士団員がチャリオットに乗ったことがないとは、いやはや騎士団も落ちたなぁ。ああそうか、3等以下の集まりだから仕方ないか」


その言葉に怒りを覚えた。アーサーはその怒りのあまりギルバートを殴ろうとしたが顔ギリギリのところで止めた。


「俺のことは何言っても怒りはしない。けど皆んなのこと、団長のことを侮辱するなら容赦はしないぞ」


「ほんの冗談だ。やけになるな神速の騎士王」


「……」


「まぁいい。明日の個人戦。もし貴様が出るならば最後まで勝ち抜き私と戦え」


「俺は騎士団員だ。場合によれば出来ない可能性もある。それに俺と戦ってもお前は負ける」


「なんだとぉ」


「ろくに剣を握らず親の権威に乗っかってるやつに負ける気はしない。よく剣術科主席になれると思うよ。お前より努力しているやつはたくさんいる。そういう奴が今回騎士団によって推薦がもらえる」


「はっ、馬鹿げたことだな。主席の私が選ばれないと思うのか。実力はどの剣術科の生徒よりも上。それに爵位も最高位だ。選ばれないはずがなかろう」


「推薦に至っては騎士団に入る条件が実力だけとは限らない。それに例え1等でもそれはなんのステータスでもないよ。お家が全ての時代はとうの昔に終わっている。わかったのなら努力することを勧めるよ。まぁでももう遅いだろうけど」


アーサーはそのままトイレから出て行った。ギルバートは怒りトイレの壁を殴った。

 アーサーはクラスメイトといっても今はチャリオットで出た2人しかいないが戻って観戦した。今やっている競技はラビュリントス。シャルロットによって作成された人口悪魔『アステリオス』の力を解放することで出現する大迷宮。先にゴール地点に着いたクラスから順位が決まる。これを5人で攻略しなければならない。道中は魔物や下級悪魔、もちろん生徒同士戦うことになる。そしてルールとして単独行動は禁止とされており誰か1人でも倒れたとしても放置してはならない。4人倒れても同じことだ。ゴールできなかった場合ゴールに近い順に順位が決定される。


「アーサー君、これってどうなんですか?」


「そうだね、極力戦闘は避けるのが一番いいけどそうもいかない。それにここには下級悪魔が出る。その意味さえわかればこの競技はもらったも同然だよ」


フィオナとエルゼはその意味を考えた。フィオナがあることに気がついた。


「悪魔なら契約してしまえばいいということではないでしょうか」


「正解。今の学院生なら下級悪魔程度なら簡単に契約できる。といっても仮契約だけど。周りは大体同じくらいの戦闘力。だけどその1人が悪魔と契約して力を行使すれば話は変わってくる。それに悪魔の数は限られてる。早い者勝ちだから急いだそうがいい」


これこそこの競技の醍醐味。悪魔との契約を経験させるとともにその力の使い方を学ぶことも考えられている。騎士団に入れば最高位の悪魔でもある魔神と契約することになる。これはその前準備だ。

 ラビュリントスに出ているのはオフィーリアと残り4人。どうも道に迷っている。それに魔物とも何回か戦っている。事前に確認した陣形は保っているが魔物との初戦闘に少々戸惑ったりもして危うい戦いをしている。


「皆さん大丈夫ですか?」


「なんとか。魔物ってこんなに強いとは思わなかった」


「そうですね。下級悪魔がどれほどかはわかりませんが出来るだけ避けた方がいいと思います」


それでもオフィーリアは意外と余裕を見せている。それもそのはず、普段からアーサーとともに鍛錬を積んでいる。この程度なら造作もない。オフィーリアたちはゴールを目指してまた歩き出した。

 それから数分後、ゴールのある北側を目指しているがなかなかたどり着かない。来た道に戻る道中最悪なことが起こった。それは下級悪魔と出くわしたことだ。下級とはいえ強い。5人はすぐに武器を構えた。逃げようにも後ろは行き止まりの道に続いている。


「オフィーリアさん。なんとかして逃げましょう。このままだとやられてしまいます」


「ですが……」


オフィーリアはこれまでアーサーとともに積んできた鍛錬を思い出した。どうすればこの困難を乗り切れるのか。そしてあることを思い出した。


「悪魔なら契約してしまいましょう」


「正気ですか!?」


「それが最適解だと思います」


「わかりました。その作戦に乗ります。しかし危ないと感じたら、その時は逃げましょう」


「はい、そうしましょう」


オフィーリアたちは覚悟を決めた。契約するといっても簡単ではない。場合によれば致命傷を負うことになる。そしてついにこの戦いをもって本当の第2競技ラビュリントスが開始された。



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