No.31:チャリオット・クライシス
1日目の学院祭は生徒64名1クラス8人計8クラスによる団体戦。この学院は少人数制度を採用しているためこの人数だ。学院祭の間の服装は自由のため皆んなこの日のために用意した服を着込んでいる。アーサーはそんなに服を持っていないので騎士団の普段着を着用。ブーツを履き、手袋をつけロングコートのような上着を身につけて会場入りした。
『さぁさぁ始まりました、大剣魔学院祭“ウラノメトリア”。司会進行を務めますはアルナイル帝国騎士団No.21ルキアノス・メルクーリです。では早速選手入場! 1等爵位軍団良い結果を残すことはできるのか、ギルバート選手率いるクラスデネボラ!』
そしてルキアノスは6クラス分の紹介、選手入場を終えついにアーサーのクラスの選手入場となった。
『最後のクラスは我が帝国騎士団員神速の騎士王所属クラス、負けたらアーサーを一週間強制パシリの刑に処す! クラスプレイオネ!』
「本当にふざけてるよ。誰がなってやるか」
「面白い人ですね」
「どこがだよ」
選手入場を終え学院長の長い話が始まった。それも終わり選手宣誓に移る。代表はギルバートだ。
『宣誓! 我々はルールに則り正々堂々と戦うことを誓います。第1045期生代表ギルバート・ブラッドレイ』
『これで開会式を終了いたします。第1競技チャリオットの参加生徒はすぐに指定された場所に移動してください』
知っての通りアーサーはチャリオットに参加する。残り2人はフィオナ・ベルージとエルゼ・フェーベルの女生徒だ。
「じゃあフィオナさん、エルゼさん行こうか」
「「はい、アーサー様、じゃなくてアーサー君」」
様と聞こえた気がするがあえて無視した。後ろからの視線が痛いがここもあえて無視する。なんだかんだで指定された場所に着いた。スタッフとチャリオットもある。
「とりあえず、ルールを確認しておこう。1人が操縦して2人が安定させる魔法で車体を安定されるわけだけど2人はチャリオット経験は?」
「私たちの親共にチャリオッターなので経験なら何回もしてます!」
「うん、なら安心だよ」
自分よりも上手い乗り手が2人もいるのか、これは自分が迷惑かける気しかしないと思ってしまった。ちなみにチャリオッターとはチャリオットを専門的に扱う競技者のこと。これは人々の娯楽の1つで公的に認められている賭け事だ。
そしてアーサーたちは乗り込んだ。一番目の操縦者はアーサーになった。アーサーは手綱を持ち深呼吸をした。
『それでは各クラスの準備が終わったところで第1競技チャリオットを開始します!」
スタート位置にあるランプが点滅し始めた。赤、赤と光り最後青になった瞬間各クラス一斉にスタートを切った。アーサーも負けじと必死に手綱を握った。安定させる魔法を使っても地面がゴツゴツしているため少し車体が跳ねる。
そして進んでいくと手綱を引く人の交代の場所に来た。アーサーはギリギリまで粘りさっと交代した。
「エルゼさん!」
「任せてください! アーサー様からいただいたこの手綱死んでも話しません!」
アーサーはやりきりホッとしたいけれどそんな状態ではなかった。経験者エルゼは見た目に反しかなり荒い操縦だ。アーサーが魔法を使ってもそれを凌駕する操縦に圧倒された。
また交代の場所へとやってきた。最後はフィオナの番だ。アーサーはエルゼの操縦にもうついていけない状態でフラフラだ。フィオナに変わるとエルゼよりひどい荒々しい操縦に切り替わった。何をすればこんな操縦できるんだと頭の中で思った。カーブなんかも振り落とされそうで危なかった。
最後、ゴール手前のカーブを曲がりゴールが見えた。アーサーはもう魔法を使っていない。いや使えない状態だった。
『クラスプレイオネ、ゴーーール! 他クラスを圧倒し堂々1位だーーー!」
「1位ですって。やりましたねエルゼ」
「アーサー様、じゃなくてアーサー君の頑張りもあったからですよ。あれ? アーサー君?」
「い、いやなんでもない。2人ともありがとう」
アーサーの体力はこの競技でほとんど持っていかれた。それになんか吐きそうな気分だ。アーサーは会場に戻りすぐにトイレに駆け込んだ。




