No.14:敵襲その1
次の日の朝アーサーは早くに起きた。文化の違いその1、寝具が違うため寝付けないのだ。アルナイル帝国は基本ベッドで寝るがここ大和国は布団で寝る。ほぼ床で寝るので腰や背中が痛かった。もう一度寝ようとしても寝られなかったのでアーサーは立ち上がった。そして歯を磨き顔を洗い髪の毛を整え外出用の服へと着替え城下町へと散歩しに行った。
城下町に行くと店を開ける準備をしている人が多かった。アーサーはそんな人たちを見ながら道を歩いていると声がかかった。
「異国の方かい?」
「はいそうです。アルナイル帝国から来ました」
「あるないる? ああ、鶴の国のことね。まぁさぞ遠かったでしょう」
「はいとても遠かったです。お聞きしたいのですが鶴の国とは?」
「私たちが勝手にそう読んでいるだけよ。こっちではあまり聞きなれない言葉も多いからねぇ。」
「そうなんですね」
声をかけてくれたのは30代〜40代くらいの女性だった。話終えるとまた歩き始めた。その後10分ほど歩いていると見覚えがある人を見つけた。
「彩葉さんおはようございます」
「ん? ああ、アーサーか。おはようさん。こんな朝早くになんだ」
「散歩してるだけです。ここは彩葉さんの店なんですか?」
「まぁな。と言っても手伝ってるだけだよ。一応実家だし」
「実家ですか。大変そうですね。ぜひお手伝いします」
「ありがたいけど大丈夫。それにお客様に手伝わせるのもどうかなと思う」
彩葉の家は店を出している。かなり人気の店の1つでいつも賑わってる。そのためいつも忙しく彩葉が手伝っている。アーサーが彩葉と別れようと歩き出そうとした時だった。突然アーサーの後方からものすごい轟音と爆風が吹きあふれた。アーサーは後ろを振り返ると城が煙を上げて燃えていた。
「彩葉さんあれは⁉︎」
「あれって言われてもわからんよ。とりあえずアーサー急いで城に向かえ。私は後で追いつく」
「わかりました」
アーサーは神速を使い燃え盛っている城に向かった。
城に着くと消火活動がされていた。その中にはシャルロットや他の騎士団員や雷皇もおり水の魔法で消火をしている。
「シャルロットこれは」
「アーサー無事なのね。なんかいきなり空から魔法が発動したの。アーサーは確か水は使えないわね」
「使えない」
「ならどこからのものなのか特定してちょうだい。あなたの足ならこの国一周なんて簡単でしょ」
「わかった」
アーサーは方向転換したら目の前には椛いる。
「もみじも連れていくのよ、アーサー」
「今それどころじゃないんだけど」
「それくらい知ってるわよ」
「でももし敵がいたらもみじはとても役に立つかしら」
それもそうだった。若いと言っても雷皇だ。実力はこの国の中でもトップレベル。一緒なら鬼に金棒というものだ。
「わかったよ。なら急ぐから俺に捕まって」
椛は軽く跳躍しアーサーの肩に乗った。
「なんで肩?」
「気にすることないかしら。早く出発よ」
アーサーは神速を使い一気に走った。その道の途中でまた出会った。
「リアこんなところに何してるんだ。早く避難を」
「こんな状況下で避難できません。私も力になります」
「力になるって言っても……」
アーサーはあることを思いついた。オフィーリアは学院屈指の魔術師。なら城の消火活動を当たらせれば早くに終わるのではと考えた。
「なぁリア水属性は使えるか?」
「はい使えます」
「なら城の消火に当たってほしい。あそこにはたくさんの人達がいるけどまだ足りないんだ。お願いできるかな?」
「はい、お任せを。役に立つならなんでも」
「ありがとう。じゃあ急いで向かって」
オフィーリアは走って城に向かった。アーサーは再び走り出しあっという間に国の外へ出た。辺りには何もなくいつも通りだった。
「ここじゃないのかな」
敵の気配がない。あれだけの火災だ。かなり上級の魔術を使用したに違いないと思ったがその割に気配が全くしない。アーサーはまた急いで東側に向かったが変わりない。
「気配が全くしないのよ。気持ち悪いかしら」
「そうだね。おかしいくらいにいつも通り。撤退でもしたのかな」
「それも1つかしら。攻撃だけして逃げる。腹が立つかしら」
その場で少し立ち止まっていると西側からものすごい数の気配が震えるほど感じた。これは人の気配ではなかった。全てが骸の気配そのものだった。つまり死して魔術により無理やり動かされている状態だ。アーサー達は西側に向かった。
西側に着くと蟻のように大量の骸がこちら側にぞろぞろと足取りが重いような感じに向かってきた。
「アーサーやることは1つなのよ」
「わかってる。こいつらを一掃するぞ」
アーサーは腰にあるはず刀に手をやると空振りした。
「どうしたかしらアーサー。早く構えるかしら」
「そうしたいのはやまやまだけど刀、城に忘れた」
「馬鹿かしら。なんでよりにもよって忘れるかしら」
「散歩に刀はいらないかなって思って置いてきたんだよ」
「とりあえず忘れたことは置いておいて、他に武器はないかしら」
「あるにはある」
アーサーはダイダラを召喚しかつて使っていたアルナイルで普及している剣を出した。アーサーと椛は構えて骸の集団に突撃していった。あまり手応えがなく魔法を使うまでもない。蟻のようにいた骸も数えるだけの数に減っていった。
「弱すぎかしら」
「でもこいつらを操っているのが城に火を放った奴なんだろうね」
「みんなのところに帰るかしら。とりあえず敵は近くにいることはわかったからみんなに知らせるのが一番なのよ」
「うん。そうだな」
椛またアーサーの肩に乗る
「ねぇなんでまた肩」
「気にすることないのよ。もみじがそうしたいだけよ」
2人は城の方に向かった。




