No.15:不朽の名刀
アーサーと椛は城の焼け跡地へと向かっていた。今いるとこからでもわかる焼け焦げた城。しかし焼けている所や崩れているところもあるがなんとなく原型はあった。原因はわからなかったがまた仕掛けてくるに違いないとアーサーの内心はそう語る。
城の焼け跡地の目の前まで来た。何しろ城が大きいためまだ完全には火が消えきってなかった。何人かが内部まで行き消火しているようだった。それに死者がいないのが幸いだ。みんな咄嗟に外へ飛び降りたり普通に出入り口まで走り脱出したらしい。そのため荷物がそのままになっている。アーサーの愛刀も城の中だ。アーサーは落胆しため息をついた。
「アーサー刀、城の中だってな」
「そうだよ。結構気に入ってたから余計に悲しいよ。また新しいの買わないといけ・・」
「アーサー、少し待っててくれ」
兼続は何か思いついたような顔をしアーサーの話を途中で切り走って行った。向かった先は将軍のところに行っていた。将軍の前に着くと膝をついた。
「将軍様、1つ申したいことがあります」
「許す、なんだ」
「はい、あの金属を使う許可を」
「理由なく使うことは許さん。なぜか述べよ」
「はい、今回の騒動でアーサーの刀が城の中にあり焼け焦げている可能性があります。アーサーは遠い異国の地でございます。手入れするのも大変と聞きます。なんせ向こうには刀に対応した鍛治師がいないと聞きます。なら刀を愛用しているアーサーにはあの金属を使っても何ら問題はないと思います」
将軍は腕を組み考えた。将軍は目をゆっくり開け膝をついている兼続を見た。
「使用許可を出そう。ただし1つだけだ。あれもなかなかの貴重品だからな。それならいいだろう」
「ご決断ありがとうございます」
兼続は立ち上がり一礼してまたアーサーの所へ来た。
「アーサー、行くぞ」
「どこに行くんだ」
「鍛治師のとこだ。新しい刀を作ってもらうぞ」
「えっ、いいの。本当にいいの」
「問題ないさ」
アーサーは兼続の後ろへ着いて行った。まず向かった先は倉庫だった。兼続はそこで待ってろと言い待っていると高価そうな桐の箱を持ってきた。何か尋ねるとどうやらこの箱に刀の元となる金属が入っているらしい。この地域でしか採掘されず貴重なため国の重要鉱石に数えられる。そんなすごいものを使用してもらえるなんて畏れ多いが将軍からの許可に甘えたいと思った。
向かうはずの場所は鍛治師の所だが国の外へと出た。ここに来るまでもかなり時間がかかったがまだ目的地には着かない。
「兼続。その鍛治師さんはどこにいるんだ?」
「もう数分も歩けばその人の家が見えるよ。まぁつべこべ言わず着いて来い」
言われるがまま着いて行った。すると遠くの方に家がぽつんと1つ立っていた。やっと着いたと思わず声が出た。家の目の前からと熱気が少し伝わった。兼続は扉を数回軽く叩いた。
「誰だ」
出てきたのは年老いたおじいさんだ。
「お久しぶりです。樋口弥右衛門さん」
「おお、兼続か。久しいな。その連れは初めて見る気がするぞ。お主誰だ」
「はい、アルナイル帝国皇帝陛下直属騎士団所属のアーサー・アルカディアと申します」
「アルナイル。鶴の国か。そんな人がどうしてこんなところに?」
「それについては俺が説明します」
兼続はここに来るまでの出来事を刀の依頼も含めてわかりやすく説明した。樋口弥右衛門と言う老人も理解したらしい。
「状況はわかった。早速取り掛かる。それを渡せ」
兼続は桐の箱を渡した。弥右衛門はその箱を開け人差し指で軽く撫でた。
「ふむ。なかなか良い質の金属だ。これなら最高の刀を作ることも易かろう。30分だ。しばし待たれよ」
そう言うと弥右衛門は振り返り扉を閉めた。するといきなりカンカンと金属を打つ音が鳴り響いた。
「いやそもそも30分てそんな早く刀ができるの?」
「それが弥右衛門の特殊体質だ。弥右衛門さんがやることは叩くだけ。それ以外の工程は全て能力によって行われる。だから早いんだ」
「すごいな。刀鍛治にぴったりの体質だよ。そういや今回使った金属はどんなものなんだ」
「ああ、今回のやつはこの地域でしか採掘されないものでな。『月光石』と言って不朽の金属とも言われてる。これの対をなす『太陽石』もあってこれは腐朽の金属と言われてる」
「不朽と腐朽。朽ちないものと朽ちるものと言ったところかな。腐朽てどんな感じなんだ?」
「この金属は採掘するだけなら問題ないけど加工した時が一番危なくて、その金属で作った刀で斬れば一生治らず肉体を腐らせるとんでも能力が付与される。この国では絶対に使わせないよう法律で定められている」
「月光石の方は大丈夫なの?」
「月光石で作った刀は斬れば一生残る傷ができるがその程度だから大丈夫だ。それにこの金属の売りは絶対に刃こぼれせず折れないところがすごいとこさ」
「刃こぼれせず折れないのか。それは便利だ」
「そういうこと。とりあえず暇になるだろうから打ち合おうぜ」
「そうだね。30分何にもすることないし」
2人は剣を構えて打ち合った。それも容赦なく。
30分くらい経った。弥右衛門は扉を開けた。そして2人はそれに気づかず打ち合い続けていた。弥右衛門は大きな声で「止め!」と言いここで初めて2人は打ち合いをやめた。
「アーサーだったか。できたぞ」
「ありがとうございます」
アーサーは弥右衛門から新しい刀を渡された。アーサーは鞘から抜きその煌めく刀の刀身を見て驚いた。
「すごいや。今まで持ってたのと比較にならないよ。何をしたらこうなるかわからないよ」
「普通に金属を打っただけだぞ。今回は金属の質も良かったのでな。なかなか良いのができたわい。あらかたその刀の特性は聞いているな」
「はい、兼続から聞きました」
「折れもしない刃こぼれもしないが斬れば一生残る傷ができる。使う時の相手は考えろよ」
「分かっています」
「うむ、ならいい。そんならはよ帰れ。みんな待っておるのだろう」
「はいこの度はありがとうございます」
アーサーは一礼して兼続とともにその場を後にした。




