第21話:緋色の人生史上最大の危機
「教えて。」
「…………。無理です。」
流石に危機察知の事は人に言えることじゃないからな。
「またする?」
月城さんが指を突き出してくる。
「はは……やめてくれると嬉しいかな。」
「…………。わかった。」
ふぅ。
これでやっと聞きたいことが聞ける。
「えっと、月城さん。」
「………? なに?」
聞きたいこと。
それは――。
「ここって、どこなんでしょうか?」
「私の家。」
…………。
いや、まさかな。
聞き間違いだよな。
「えっと、もう一度お願いしても?」
「私の家。」
あー。
えっと。
うん。
やばいな。
月城さんの家か。
1番来てはいけない場所に来てしまった。
…………。
これがバレたら、絶対誰かに殺されるな。
いや、正確にはファンクラブの生徒たちに殺される。
そう。
ファンクラブだ。
月城さんにはファンクラブが存在する。
まぁ、ファンクラブがあるのは月城さんだけじゃない。
東條さんにもあるし、天堂さんにもある。
あともう1人ファンクラブがある奴がいるが、今は置いておこう。
つまり、うちの学校には4つのファンクラブがあるということだ。
そして、月城さんの家に来たことの何が問題なのかと言えば、そのファンクラブの存在である。
東條さんの場合はファンクラブより冬馬の方が怖い。
だが月城さんの場合は違う。
ファンクラブ全員が冬馬より怖い。
なぜかと聞かれれば、月城さんのファンクラブは学校で1番過激だからだ。
例えば、入学して1ヶ月ほど経った頃。
月城さんにちょっかいを出した馬鹿な男子生徒がいた。
その男子生徒は翌日には転校していた。
この日本で1番不良が多いと言われる学校。
城山高校に。
そして3日後には不登校になったらしい。
こ、怖すぎる。
もう1つ有名な話がある。
月城さんに嫉妬し、悪口を言った女子生徒がいた。
その女子生徒は3日ほど学校を休んだあと、突然登校してきた。
そして月城さんを崇める狂信者になっていた。
1日に150回、月城さんのいる方向へ祈りを捧げる。
食事は月城さんと同じものしか食べない。
トイレに行くタイミングまで同じ。
そんな信仰心の塊みたいな人間になってしまったのだ。
こ、怖すぎる。
これで、月城さんのファンクラブがどれほど恐ろしいかは伝わっただろう。
そして1番まずいのは、俺がそのファンクラブが禁忌としていることをやってしまった点にある。
その禁忌とは――月城さんの家に行くこと。
そう。
つまり、今の状況そのものである。
俺はこれがバレたらどうなってしまうんだろう。
これは、人生最大の危機である。
危機察知能力はかつてないほど警鐘を鳴らしている。
それこそ車に轢かれそうになった時よりも。
銃を撃たれた時よりも。
おわた。
しかも1番まずいのは、月城さんがあまり隠し事をするタイプではなさそうなことだ。
自分が暗殺者であることも誤魔化さなかったし、依頼者が死んだことも隠さなかった。
…………。
どうしよう。
まじでどうしよう。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
…………!
って、なんだ。
簡単な方法があるじゃないか。
そうだよ。
すげー簡単なことだ。
月城さんと、秘密を守ってもらえるくらい仲良くなればいい。
……。
…………。
………………。
……………………?
いや、どうやってだよ!
月城さんと、陰キャでコミュ障の俺がどうやって仲良くなるって言うんだよ!
無理だろ!
まず会話すらまともにできないわ!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
1日1話20時に投稿します!
好評なら1日2話あげるかもしれません!
続きが気になる方は評価の⭐︎をください!また、ブックマークもして続きを読めるように待っててくれると嬉しいです!感想やレビューもどしどしお待ちしております!




