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第18話やがて重なる

◇◇◇

side:柏野楓


歩く。


歩く。


ゆっくりと。


まるでゾンビのように。


何度も止まりそうになる。


それでも歩みを決して止めない。


もうとっくに精神も身体も限界なはずなのに。


◇◇◇


side:東條彩乃


「来てない。」


新山くんが停学期間を終えても学校に来ていない。


「言い過ぎだったかな。」


いや、でも私の友達に怪我をさせたんだし。


でも、やっぱり言い過ぎだったかも。


ど、どうしよう。


振ってしまった時の顔がふと脳裏をよぎる。


「傷ついてたよね。」


「何が傷ついてたんだ?」


「……!?」


私の独り言は、隣の席の冬馬くんに聞かれてしまっていたらしい。


「な、なんでもないよー。」


「……そうか? 最近上の空なことが多いし、心配でさ。」


冬馬くんはいつも優しい。


「ありがとね、冬馬くん。でも、本当になんでもないの。」


「……。そうか。何かあったらいつでも相談しろよ。どんなことでも力になるからさ。」


「ありがとね。」


◇◇◇


一週間後。


学校の帰り道。


また、視線を感じる。


 ここ最近、一人で歩いているとよく視線を感じる。


そして、この視線には心当たりがあった。


あの日の義父と同じ視線だ。


私を襲おうとした時の、ねちっこい視線によく似ている。


最近、この視線を思い出すせいで寝られないことも増えた。


私はその視線を振り払うために足早に家へ帰る。


「怖い。」


怖い。


怖い。


怖いよ。


助けて、彩香ちゃん。


………………。


その日も何事もなく家に帰れた。


でも、結局寝られなかった。


◇◇◇


さらに一週間後。


「彩乃? 最近元気ないけど大丈夫?」


「そうだぜ。なんか元気ないよな。」


「本当に大丈夫か、彩乃?」


「何かあるなら相談してね。」


みんながそんなことを言ってくれる。


でも、みんなを危ないことに巻き込むことはできない。


そうだよね。


巻き込んじゃいけないよね。


「なんでもないんだ。ただ、最近寝不足でさ。」


みんなが顔を見合わせる。


「彩乃が寝不足なんて珍しいね。」


「そうだね。いつも授業も寝てないし。」


「まあ、寝不足ってことなら今日は早く寝ろよ。」


「…………。」


「そうだな。しっかり寝ろよ。」


◇◇◇


さらに一週間後。


あれからさらに寝られない日々が続いた。


そんな時、ふらつきながら廊下を歩いていると、空き教室からこんな声が聞こえてくる。


「なあ。あいつ来なくないか?」


「だよな。これなら彩乃に手を出してもいいんじゃないか?」


「そうだよな。新山も学校に来てないし。」


「あいつ俺たちのこと舐めすぎなんだよな。」


「そうだぜ。一回ボコボコにされたくらいで彩乃をやり捨てする夢を諦められるわけないだろ。」


「そうだよな。あいつ頭は空っぽだけど顔と体だけは最高だからな。」


「はは、そんなこと言ってるとまた新山に殴られるぞ。」


「馬鹿か。あいつ学校に来てないんだからできるわけないだろ。」


「ははは、そりゃあそうだ。」


どういう事?


もしかして。


……………………………。


…………………………。


……………………。


…………………。


……………。


…………。


………。


……。


私はその会話を聞いて全てを理解した。


気持ち悪い。


そう思うような男子達の会話を聞いて。


 ……その後も男子生徒達は何か言っていたが、もう耳には入らなかった。


私の中にはもう1つの想いしかなかった。


「謝らないと。」


私はなんてことをしてしまったんだろう。


私の為に怒ってくれた新山くんを傷つけて。


 なんで私はいつも考えなしに言ってはいけないことを言ってしまうんだろう。


早く謝らないと。


 私は職員室で先生に新山くんの住所を聞き、その場所へ向かって走る。


走って。


走って。


走って。


もう少しで着くところで呼び止められる。


「彩乃。」


「…………!? 冬馬くん!?」


「どうしてここに?」


「そんなことどうでもいいじゃないか。そんなことより、どこへ行こうとしているんだ?」


なんだろう。


いつもの冬馬くんじゃない。


なんか怖い。


「なんでそんな目で俺を見るんだ。」


「なあ。俺以外の男のところに行こうとしてたんだろ?」


冬馬くんにすごい力で腕を掴まれる。


「い、痛い。や、やめてよ冬馬くん。」


「うるさい。お前は俺のものなんだから大人しくしろ!」


「…………!? そ、その目。」


お義父さんと同じような目!?


「ま、まさか。こ、ここ最近私を見てたのって冬馬くん?」


「……。そうだよ。君が他の奴に浮気しそうだったから監視してたんだ。」


「う、浮気って? 私と冬馬くんは付き合ってなんて――」


「うるせぇ!お前は俺のものだ!」


冬馬くんが私を押し倒す。


「あっ……!」


「嫌!」


「やめて!」


「だ、誰かたす――」


口を手で塞がれる。


誰か助けて。


誰か。


……。


「じゃあ始めるか、彩乃。」


冬馬くんが自分のズボンに手を掛ける。


嫌だ!


嫌だよ!


助けて。


助けて。


助けて。


彩香ちゃん――。



最後まで読んでいただきありがとうございます!

1日1話20時に投稿します!

好評なら1日2話あげるかもしれません!

続きが気になる方は評価の⭐︎をください!また、ブックマークもして続きを読めるように待っててくれると嬉しいです!感想やレビューもどしどしお待ちしております!

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