第14話決着
月城さんとの戦闘が再開してから五分が経った。
その間、俺は銃弾を避け続けながら短剣を投げて反撃していた。
だが、戦闘が再開してからお互いにかすり傷一つ負っていない。
「わからない。」
「何が?」
「なんで銃を避けられる?」
あーどうしよう。
危機察知のことを話すわけにはいかないしなー。
適当に誤魔化すか。
「はは、秘密かな。」
「そう。」
月城さんは小さく頷く。
「聞き出す。」
そう言いながらも、攻撃の手はまったく緩まない。
むしろどんどん激しくなっている。
俺が生き残れたら聞く、くらいの感覚なんだろうな。
怖すぎる。
「おらよ!」
俺は龍の装飾が巻き付いた短剣を投擲した。
「速い。」
だが月城さんは余裕で回避する。
「速いって言うなら当たってくれよ!」
俺の持つドラゴンの短剣は全部で十一本。
十本が投擲用で、一本が近接戦闘用だ。
近接戦闘用は絶縁体で作られている。
相手が雷を纏っている可能性を考えて用意したものだ。
まさか本当に役立つ日が来るとは。
黒歴史はあった方が良かったのかもしれない。
……いや、やっぱり黒歴史はない方がいいに決まってる!
だって結局月城さんを殴れてないから!
陰キャの俺が月城さんを殴れるわけがないだろ!
ん?
短剣を投擲するのはいいのかって?
本当はダメなんだがまぁ投擲しないと死ねるのでしょうがない。
月城さんが銃を撃つ。
俺が避ける。
その瞬間に短剣を投げる。
月城さんが避ける。
また銃弾が飛ぶ。
その繰り返しだった。
俺は投げた短剣を回収しながら戦っている。
一方、相手の武器は銃。
弾数には限りがあるはずだ。
もう少し耐えれば――。
そう考えた時だった。
「誰です! そこにいるのは!」
突然、聞き覚えのある声が響いた。
俺は思わず振り返る。
そこにいたのは――メイド長だった。
「まずい。」
そう思うと同時に危機察知が激しく警鐘を鳴らす。
脳裏にメイド長の危機が浮かんだ。
――『メイド長が撃たれる。』
考えるより先に体が動いていた。
俺はメイド長を庇うように抱き寄せる。
直後。
プスッ。
「――っ!」
腹部に鋭い衝撃が走った。
熱い。
痛い。
体から力が抜けていく。
だが――。
「無事で良かった……。」
メイド長に怪我はない。
それだけは確認できた。
次の瞬間。
「きゃあああああああっ!!」
メイド長の悲鳴が夜に響き渡る。
俺が撃たれたことだけは理解したらしい。
やばい。
意識が……。
駄目だ。
まだ倒れるわけにはいかない。
メイド長を守らないと。
だから――。
まだ意識を失うわけには――。
◇◇◇
その後、メイド長の悲鳴を聞きつけ、多くの人達が駆けつけた。
しかし、その場に残されていたのは呆然と立ち尽くすメイド長と、激しい戦闘の痕跡だけで戦っていた二人の姿はどこにもなかった。
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