第11話柏野楓視点の1週間
side:柏野楓
◇◇◇
彩香のメイド特訓1日目。
まずは仕事の中で1番簡単な皿洗いから特訓させましょう。
「まずは皿洗いです。」
「落としても割れないようにプラスチック製のお皿を買ってきました。それで練習してください。」
何故だかお義弟との過去を思い出してから彩香の世話を焼きたくなってしまい、ついつい世話を焼いてしまう。
「はい。わかりました。」
◇◇◇
「掃除する時は上から下に綺麗にして行きます。後は掃除する前に物の配置を頭に入れてぶつからないようにしてください。今日はこの廊下を全部掃除してみてください。花瓶は全て安いのに変えてあるので割っても気にしないでください。」
まただ。お嬢様に言われたとは言えそこまでやる必要はないはずなのに、つい世話を焼いてしまう。
「はい。やります。」
何かがおかしい。
なんでこんなに甘やかしたくなってしまうんでしょう。
過去を思い出してお義弟とこの子を重ねているのでしょうか?
確かに似てない事もないような。
いや、あり得ないですね。
まず、お義弟は女の子ではありませんでしたから。
そしてその日の夜。
私は喉が渇いて目を覚ました。
時計を見ると深夜だった。
水を飲みに行こうと部屋を出る。
その途中だった。
廊下の先に明かりが見える。
不審に思い近づいてみると――。
そこには彩香がいた。
一人で家事の練習をしていたのだ。
昼間に教えたことを何度も繰り返している。
誰も見ていないのに。
褒められるわけでもないのに。
黙々と。
真剣に。
頑張っていた。
頑張っていますね。
可愛――。
……?
私は今何を考えたのでしょう。
首を振る。
きっと気のせいです。
それよりも。
「明日からもっと気合いを入れて教えましょう。」
そう思いながら私は部屋へ戻った。
◇◇◇
彩香のメイド特訓2日目。
「今日は昨日やった事をもう一度やって行きましょう。」
「はい!反復ですね。」
「そうですね。ひたすら反復で体に覚え込ませましょう。」
「間違っていたらすぐ指摘しますので覚悟しておいてくださいね。」
笑みが溢れてしまう。
何故だろう。
何故かお義弟との生活を思い出してしまう。
お義弟も頑張り屋さんでしたからでしょうか?
分かりませんね。
「今日もありがとうございました。」
昨日もでしたが、今日もすぐに終わってしまった。
この子の面倒を見ていると時間がすごい速度で過ぎていく。
何故でしょう。
日に日にお義弟への想いが思い出されていくような。
…………。
私は何を考えているのでしょう。
お義弟ではないとわかっていながらあの子と別の人を重ねてしまうなんて。
私はお義姉失格ですね。
「ふふ、今日もよく頑張りました。」
そうわかってるはずなのに自然と笑みが溢れてしまう。
……?
この気持ちはなんでしょう?
◇◇◇
彩香のメイド特訓3、4日目も時はすぐに過ぎていき、それに比例して私の彩香への想いも日に日に強くなっていく。
理由はわからない。
だが、段々と段々と。
それでも着実に。
強くなっていく。
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