表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私がヒロインだったんですか!?  作者: 宮澤


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/10

4

「―――ん……」


 ―――気がついたらナナリーは眠っていたらしい。

 ゆっくりと目を開けるとすでに外は夕焼けに染まっていた。


「……眠れた?」


「…あ、私、す、すみません!」


 アルドの肩にもたれかかって眠っていたナナリーは慌てて起き上がる。


「いいよ。それより、ほら」


 アルドが小声で指差した先には、互いにもたれるようにして眠るダリスとルルーラが居た。


(―――!!いま、今!ここにスマホがあったら連写してたのに!!)


 無言で悶えるナナリーに、隣からくすり、と笑う声が聞こえた。


「……もうすぐ森の近くだからね。今日は近くの街に泊まって明日森に入ろう」


「はい……そういえば、アルド先生」


「なんだい?」


「先生って確か転送魔法も使えますよね?」


「うん」


「今回使った方が速かったんじゃ?」


「うん……でも、どうせ君と行くならのんびり行こうかなって思ったんだ。―――余計なおまけも付いてきたけど」


 その言葉に、ナナリーの鼓動が高鳴った。

 自然と熱くなる頬に、今が夕方で良かったと心から思った。

 

(アルド先生は、そんなつもりで言ってないだろうけど……)


 ナナリーを見つめるその顔は、とても穏やかで。

 その穏やかさが何故だか無性に悔しかった。




 暫くして馬車は街中の宿の前で止まった。

 眠っていた2人を起こすと、その距離の近さに顔を真っ赤に染めていたので、ナナリーはによによと笑顔を隠せなかった。


「今日はここで食事も済ませて早く休もう。明日は森の中を歩く事になるからね。体力温存しておいて。同性が同室でいいかな?」


「勿論ですわ!」


 アルドがチェックインを済ませると併設されている料理店へと向かう。

 珍しくダリスとナナリーが先に歩いて行ったのでアルドとルルーラはゆっくり2人で向かうこととなった。

 


「……アルド様。こちらのお宿、それなりのお値段なのでは?」


「うん、けどまあ必要経費だから。女性が泊まるならそれなりの警備が整っているところでないと」


「……アルド様はここにナナリーと2人で来るおつもりだったのですか?」


「―――君はまるであの子の番人だね」


「ええ、あの子は1番のお友達ですもの」


「良い事だ」


「……ですから、あの子が泣くような事態だけはおよしになって下さいね」


「君もだよ」


「え?」


「君も、彼女を泣かすんじゃないよ」


 睨み合った目をどちらも逸らさない。

 一触即発の雰囲気の中響いたのは先に行ったはずのダリスとナナリーの声だった。


「待て、俺が言う!」


「いや、私です!良いじゃないですか!ダリス様は今日ルルーラ様に乗っかって眠っていたんですから!!」


「おい!その表現は駄目だろう!誤解を招く!」


「何の誤解ですか!あ、ルルーラ様〜!ここのデザート選べるミニパフェだったんです!半分こしましょ〜!」


「ナナリー嬢!君はさっき応援してくれると……っ」


「へっ!」


「……っ君が男だったら決闘を申し込んでいるところだ……!」






「……行きましょうか」


「……そうだね」



 脱力した2人は、ドタドタと近づいてくるダリスとナナリーの方へと歩みを進めた。








「美味しかったですねぇ」


「そうね、食べ過ぎてしまったわ」


 食事を終えて部屋へと戻ったルルーラとナナリーはそれぞれ湯浴みを終えて、ベッドに腰を掛けた。


「こんなに楽しい夕食は初めてよ。アルド様は思ったよりも親しみやすい方だったし……何より」


「何より?」


(ダリス様が居たものね)


「ナナリー、貴女はいつだって私を楽しくさせてくれる。本当にありがとう」


 予想外の答えにナナリーは固まる。


「私ね、あの日、入園式で貴女に出会えた日のことずっと覚えてるの。最初は心配で―――それから沢山話すようになって」


 ナナリーを見つめるルルーラの顔はどこまでも優しく。


「貴女今日、私のことを大好きと言ってくれたでしょう?―――ううん、貴女はふとした瞬間に何度も何度も、私を大切な存在だって伝えてくれる―――無意識に。


それがどれだけ嬉しいか、覚えておいて。

私だって貴女が大切で、いつだって貴女の味方でいたいの」


 ナナリーの視界がゆるゆると崩れていく。

 6歳からずっと、ずっと一緒だった。

 最早ナナリーは勝手にルルーラを親友だと思っている。

 そうして今、ルルーラもまたナナリーを親友だと返してくれているのだ。


「ルルーラ様……嬉しい……好き、大好き。ダリス様と結婚してもずっと仲良しでいて下さい……」


「け、けけっ!けけけ結婚!?」


 ナナリーの発言でつい先程まで流れていたしんみりとした雰囲気はどこかに吹っ飛んでしまった。

 真っ赤になってベッドの上を飛び跳ねたルルーラに今度は笑いが漏れる。


「だって……ルルーラ様はダリス様の事大好きでしょう?」


「あ、あの、ええ!それはそうですけども!でも、ダリス様のお気持ちも分からないのに貴女いきなり結婚だなんて!―――それに!ええ!私傷ついているのですよ!」


「え?」


「貴女、いつからアルド様の事がお好きだったの?」


 今度はナナリーが飛び跳ねる番だった。



速攻泣かすルルーラ様

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ