9話 隆信、情報交換する2
しかし、自らのジョブとかどうやって分かるんだ?
「そのジョブとか、スキルとかはどうやって分かるんだ?」
「生まれて、6歳になると神殿に行ってステータスを確認するのよ」
「ほう、無料でか?」
「ええ、奉仕活動の一環と言われているけど。実際は回復能力があるものを神殿に取り込むための手段の一つでもあるわ」
「無償で行われるよりは納得できるな」
「そうね」
「精霊殿も同じか?」
「精霊殿は取り込むというより、精霊を使う人材の確認ね。精霊殿かどうかはその人の選択に任せるみたい」
「何故だ?」
「魔法と違い、精霊は契約する人を大切にするのよ。だから、契約者が嫌がれば精霊が暴走する可能性があるから、交渉は会っても強引にはないわね」
「その言い回しだと、神殿は強引に取り込むと?」
「そういう所もあるみたいね。建設されている国と癒着しているところは強引に引き込むみたいよ」
「ふむ、神というものがいるならば、神罰ぐらいあるのではないか?」
アリエルは深いため息をついているな。
耶蘇教の連中の神も、仏教の仏も人を見ているだの、守ってくれるだのとほざいていたが、戦になれば誰も守ってくれん。
所領の村も略奪にあった事もある。
神も仏も祈った所で何もしてくれん。
本当にいるなら、何故、父や伯父はあんな無残な殺され方をして、死後も屈辱を与えられたんだ!
「また、牙が出てるわよ」
「…すまんな。説明を何度も途切れさせて」
「まあ、色々あったんでしょうから、別にいいわよ」
日本の神々も色々あるが、あれは自然災害や農作物の恵みを感謝するものだからな…
神なんぞ、信じもしないし期待もできない。
「神というのは本当にいるのか?」
「精霊はいるわよ、顕現した姿を見たこともあるわ。だけど、神々は見たことはないのよ」
「やはりいないのか」
「違うぞ、神はいる。アリエルは見たことがないだけで、居ないとは言っていない」
「そうなのか?」
「ステータスに神の加護が示されることがあるんだよ。それに、かつて邪神が顕現し世界が破滅しそうになった時に、神を自らに卸して討伐した勇者たちがいるんだよ」
「神降ろし?」
神を降ろした、霊を降ろしたという者たちがいたが、全部、嘘偽りだったな。
刀を首に当てたらボロが出たし、斬り捨てた時も神罰も仏罰もなく、斬られたものが助かることはなかったが、それとは違うのか?
「ああ、かなり前だから記録のみで実際に起きたかどうかの議論はある」
「やっぱりか」
「でも、命を賭して、神を降ろし災害を防いだ人は実際に居た」
「ほう」
「火属性の古代竜がこの大陸最大の火山を刺激した為に、大噴火を起こし火山灰と火砕流、溶岩、地震などで大陸全体に大きな災害を起こしたことがほんの数十年前にあったんだよ」
「確か、36年前だったかな?」
「そうだな。十数日続き何時止まることが分からない火山の噴火を、ひとりの青年が大地の神をその身に宿し火山を沈め、火山灰や地割れなど回復させ、その身を散らしたことは言い伝えられている。当時見た人も未だに生きているからから事実だとみんな理解している」
「そうか、神を降ろすには何か代償が必要なのか…」
「色々な議論があるわね。でも、一般的には魔力の総量と言われているのよ」
「魔力の総量か?」
「そう、その青年は魔力はあまりなかったようで、不足分を生命力で補ったと言われているわ」
「だから、死んだのか?」
「多分ね、そう言われているわ。遥か昔の勇者と呼ばれた人たちは、魔力量が多かったから無事だったのか、死んだのかは分かっていないのよ。一応、物語ではその後、神の世界へ迎えられたとか、辺境に移り静かに暮らしたとか言われているの」
「ふん、その地の権力を持った奴らが邪魔になって消して、話をつく変えたんじゃないのか?」
「その可能性はあるな。だが、邪神を撃退した者たちを王や貴族が排除できるのかっていうのはあるぞ」
「そんあものその勇者が不死身でなければ、毒殺でも、後ろから剣を突き刺すなどなんとでもできる」
「毒耐性があったかは伝わっていないが、流石に刺し殺すのは無理では?」
「やりようはあるぞ、信頼させておいて騙し討ちすることもできるし、親しい者たちを脅迫して、暗殺者に仕立て上げるとか、支配している連中は薄汚い事なぞ何でもするだろうよ」
「…まあ、そうだな。あり得るな」
「はぁ、だから王や貴族なんて嫌いなのよ」
「話を戻すが、神殿でのステータスを見るのはわしのようなものでも分かるのか?」
驚いた顔しているな二人とも。
そうだな、熊がそんなこと言うとは思わないか。
「…まあ、出来るだろう。魔物使いというものもいるから、魔物や獣のステータスを見ることが出来る。神殿や精霊殿だけではなく、冒険者ギルドでも出来るぞ」
「ほう」
「ステータスを移す水晶盤があるんだよ。それで、ギルドに登録する際にチェックする」
「なるほど、冒険者ギルドにはステータスは筒抜けか」
「そうだな。ギルドも冒険者のステータスを確認しないと、適正な依頼を渡せないからな」
「身の丈にあった仕事か。なら、そこに転がっている連中は身の程を知らなかったか」
「いや、今回は、こいつらが勝手に動いたのであって、ギルドの依頼ではないぞ」
「そうか…、その水晶盤を手に入れる方法はあるのか?」
苦笑しているな、無理か。
よっぽど重要なものなんだろうな。
「基本的には、冒険者ギルド、商業ギルド、魔道具ギルド、鍛冶ギルド、錬金術ギルド、薬師ギルドなど、ギルド単位では持てるが、個人では持つことは不可能だな。錬金術や魔道具などのスキルがあるやつが個人的に作ることはあるが、それに使われる素材を手に入れるのが大変だから難しいがな」
「素材?」
「ああ、水晶盤の元になる水晶や、そこに使われる薬品などに使われる素材だな」
「ふむ、今聞いても分からないから別にいいか」
「後は、鑑定スキルを持っている奴なら、レベル次第で見ることは可能らしいけど。あまり、艦艇スキルの保持者は聞いたことがないな」
「希少か?」
「簡単な鑑定を出来るやつはいるが、流石に人のステータスを見るほどのレベルの奴はいない。もし、見ることが出来れば、魔物や商品などのステータスを見れるから、冒険者なら魔物を狩るときや素材を回収する際に使えるて戦いに有利だし、商品の正確な価値がわかるから商売がやりやすいな」
「そうだな、価値が分かれば交渉もしやすいし、敵に弱点を付けるか」
「そう言うことだ」
人あるスキルなら、魔物にもあるかもしれないが、そのステータスを正確に読めないから使い物にならないか?
せめて、人の文字や言葉が分かる知性があればいけるかもしれんな。
「ケイン!新人たちは骨折や怪我はあるが、命は大丈夫だ!マールの回復で治った。意識は失っているが、とりあえず運べるぞ!」
「アイン、分かった!そう言うことで、俺たちは帰ることにする」
「そうか、また来ることはあるか?」
「んー、それはどういう意味だ?」
「こちらが欲しいものがある。獣…お前たちが言っている魔物の素材と交換したいが、どうか?そもそも、素材の価値が分からないから都度確認が必要だが」
「…ちょっと、検討させてくれ、何だったら冒険者ギルドと話をしたい」
「ほう、わしはお前たちにとっては、敵と思うが?」
「まあ、そうだがな。俺たちも色々な土地を渡り歩いて、話ができる魔物…魔族に属されるものたちとも話したことがある」
「魔族?」
「そうだ、この世界には、人族、精霊族、獣人、魔族がいる」
「精霊族?精霊とは違うのか?」
「精霊と交わったとか、精霊の影響が強く生まれた種族と言われている。まあ、口の悪い連中は亜人とかいうがな」
ケインは苦笑を浮かべ、アリエルは肩をすくめてるな。
「なるほど、そういう分からない事がまだまだ多い。ふむ、これが報酬になるか?」
「魔石か…なるな」
「とりあえず、小さいものばかりだか、報酬として渡しておく」
「報酬?何も俺たちはしていないが?」
「わしの質問に答えただろが。色々答えてくれた以上、報酬は必要だろう。戦いに来たわけではないのだろ?」
「…そうだな。分かった、これは貰っておくが、少し貰いすぎだな」
「蜂を狩ったのもだから小さいが?」
「ここらへんだと、デスタタイヤか、結構大軍のはずだがな…」
「熊は蜂を食べるんだぞ?それぐらいの攻撃効かない」
「いやいや、普通の熊でも食料にする狂暴な連中だぞ?」
「そうか…、まあ、どうでも良い」
「どうでもって、それでいいなら良いが、なんかほしいものがあるのか?」
「ふむ、そうだな植物の種とかが欲しいな」
「は?農業でもするのか?」
「似たようなものだな。食べるものが同じものばかりで飽きる。ああ、塩があればよいな。あとは包丁や武器が欲しい。捌くのも大変だからな」
アリエルが呆れた表情を浮かべて、ため息ついてやがるな。
ケインはあっけに取られている。
「…分かった、次に来ることがあれば持ってこよう」
「よろしくな、来るならな」
顔を左右に振って呆れた表情を浮かべたケインは手を振りながら、仲間の共に去って行ったな。
そう言えば、こいつらの懐とか探って、何かの札を持って行ったが…こいつらどうするんだ?
はぁ、面倒だが装備を外して埋めるか。
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