8話 隆信、情報交換する
アリエルというやつは、不満顔だな。
ケインという男は、わしの顔を見て顔を引きつらせているのに…
どこの女子も気が強いということか?
「まあ、いい。で、魔法とはなんだ?」
「…はぁ、分かったわよ。でも、学院で習った訳ではないから理論とか詳しくはないわよ」
「かまわん、回復魔法とはなんだ?」
「一応言われているのは、神を信仰するものが得れる魔法とは言われているわ」
「ふむ、それは信仰心が関係しているのか?」
「そう言われているけど…とりあえず、信仰する神によって、言い方が変わるのよ」
「言い方?」
「そう、神々を信仰する者たちを神官、精霊を信仰するものを僧侶、もしくは、精霊魔法使いと言われているわ」
「ふむ、神官は神に仕えるからだろうが、精霊というのはなんだ?」
「えぇ、そこからか…自然から産まれ宿る力が姿を持つもので、それぞれ地水火風などの力を宿しているの者たちの事をさしているわ」
なるほど、わが国で会った自然崇拝か。
神として扱っていたものが、神とは違う扱いになっているのか?
「その精霊は神の如き力があるのではないのか?」
「そうね、大精霊とか、精霊王などになると。亜神や神にも等しい力を持っている精霊もいるわね」
「それならば、神官ではないのか?」
「うーん、そこらへんは昔色々揉めたみたいで…」
「ああ、勢力争いか権力争いがあったのか」
「…何でわかるのよ。そうね、神々も精霊も預かりしないところで、人同士で争ったみたいよ。精霊を神として敬うのは不敬だとか言い出したり、精霊こそが本当の神だと言い出したりしてね」
この世界でも宗教で争っているのか、腐っているな。
生臭坊主や武士のような神官など、本来の道程や信仰を忘れた糞坊主ども。
「何よ、怒った表情して、唸り声がうるさい」
「おい、アリエル!?」
「…気にするな。揉めた結果、神を信仰するの者を神官、精霊を信仰する者を僧侶としたのか」
「そうね」
「それなら、マールというものは、精霊を信仰しているのか?」
「そうね」
「だが、精霊使いと僧侶の違いはなんだ?」
「ん~、どっちも同じなんだけど。比率かな?」
「比率?」
「そう、精霊の力を借りて魔法を重視するか、回復を重視するかかな?」
「ん?」
「精霊にも得手不得手があるから、回復が得意な精霊と契約したら僧侶となり、攻撃が得意な精霊と契約したら精霊魔法使いとなるの。どっちも精霊を信仰しているのは変わらないんだけど。区別するために便宜上分けられているだけね」
「面倒なことだな」
「それも、色々、昔問題があったみたいなんだよ…」
「はぁ、厄介なことだな」
「そう思うわ、あくまで所属する組織で言われて、区別されているだけだからジョブとは関係ないわよ」
「人の世のしがらみか。で、ジョブとはなんだ?」
「魔物であれば、種族名と同じようなものだけど」
「種族名か…」
「あなたの種族名は?」
そう言えば、種族名も言っていたな…
変異個体とか言われて、ヒゼンノクマと言われたが何の冗談かと思ったが意味があるのか?
「わからん、何もわからんからお前たちに聞いているんだ」
「はぁ、そうなの」
ケインはアリエルとの話を聞きながら探るような眼をしているな。
情報収集をしているのが分かりやすいな。
あれか、人だと警戒するが、熊だと分かるまいと思っているのか?
ふん、わしがどれだけ人を見て、裏切りを受けてきたか…
「また、渋い顔をしているわよ」
「そうか、それはすまんな」
「あなたは理性的ね。馬鹿な連中だと、こんな言い方しているとキレるやつらがいるのに」
「ふん、それはお前たちが敵対的ではなく、情報をくれるからだ」
「そうなのね。それで、ジョブっていうのは、私たちが就いているものね。例えば、私は魔法使いよ。まだ、ランクが上がっていないけどね」
「ふむ、そこのは忍びか?」
「あん、しのび?」
「違うのか?」
「いや、しのび何てジョブは聞いたことはないな。俺は盗賊だ」
「は?盗人か?」
「おい!って、分からないから仕方がないが、盗賊のジョブについている奴にそれ言ったら激怒して、攻撃してくるからやめろよ」
「ふん、なら殴り返すだけだ」
「かー、それじゃあ、もめ事を起こすだけだろ」
「だが、盗賊と聞いたらそう思うだろうが」
「いやいや、魔物に盗人とか区別できるのかよ」
「そうね、盗賊と聞いて盗人というのも不思議よ」
「勘違いされたくなければ、そのジョブとか言うやつの言い方帰ればよいだろう」
「それは無理だ」
「何故だ」
「ジョブは神々が定義するものであって、人が勝手に変えることは出来ない」
「は?なんだそれは?」
「話がズレて行っているが…ジョブとは生まれた時に人に授かるギフトと言われている。ジョブによって、能力が設定されることになる」
「ふむ」
「なんで、顎をさすっているんだよ…」
「ほっとけ、剣士であれば力や技の能力が高くなるとかか?」
「まあ、概ねそうだな。後は得れるスキルも変わる」
「スキル?」
「私だと、魔法のスキルね。そのスキルがないと魔法が使えないのよ」
「なるほど、そうなると生まれた時に生きる道が決められるのか。不愉快だな」
「まあ、そうだな。人によっては得たくないジョブを得て自暴自棄になったり、親が子のジョブに不満を持って家を追い出すとかもあるから、ギフトと言っていいか迷うな」
「神なんぞ、身勝手なものだ。期待するだけ無駄だ」
「まあ、冒険者の中にはそういう考えの奴も多いな。俺は盗賊だが、役割的には罠の探索、解除、敵がいた時の先行調査だな」
「そうか、斥候か」
「ああ、俺たちは斥候と言われることもあるな。実際、犯罪を起こす盗賊と混在されるが、盗賊は集団で行動する犯罪集団だから区別はされているよ」
「ケインは見た目は犯罪者だけどね」
「アリエル煩いぞ」
「…精霊を使う魔法は分かる。では、回復や火の魔法はどうやって使うんだ?」
「そうね、どちらも魔力を消費して使うのよ。回復は信仰心が高ければ効果が高く、攻撃魔法はその人の魔法式によって変わるわ」
「信仰心ね…その魔力とは?」
「魔力は自然界にあるものと、自らが才能として持っているものと二つがあるわ。魔力に関しては未だに研究されていて、何かは解明されていないけど。定説では、神々が与えている力と言われている…けど、それなら信仰心が高ければ高いはずなんだけど、実際はそうじゃないから誰も信じていないわ」
「分からないか、まあいいか。魔法式とは」
「魔法を発動する為の式があるのよ。それは学院で学ぶものや独自の者があって、それによって消費する魔力量や威力が変わってくるの」
「それは、それで、分からんな…わしも使えるのか?」
「…分からないわ。魔物は種族固有で持っているから、それ以外を使うには進化するしかないらしいけど。それも研究中ね」
分からない事が多いな。
だが、なるほど、前世で言われていた妖術や法術が実際に使われている感じか。
ジョブというのも、職種として考えれば、生まれた時に決まっているのは納得いかないが、それによって得れるものもあるのか。
神を信仰の建物:神殿
神官 → 大神官 → 司教 → 大司教 → 枢機卿 → 教皇
精霊を信仰の建物:精霊殿
僧侶 → 律師 → 僧都 → 僧正 → 大僧正
※所属している組織の階位




