6話 隆信、人と戦う
接触した連中と戦ってからしばらくたったが、畜生道の獄卒と思おうと思ったが誤魔化せないな。
あれは人だ、畜生道に人がいてもおかしくないのか、所詮人も生き物だからな。
もう少し情報がほしいな。
こういう時に配下が欲しいが…
この姿では無理だろうし、周囲にいる獣も無理だろう。
こちらの命令も聞かないだろうし、理解もできまい。
「はぁ、参ったな」
人がいるなら取り込みたいが、わしは熊だから無理だろう。
まして、言葉が通じるかもわからん。
人がいるところに行き、どういう反応するか見たいが数が多ければ負ける。
確かに、前に来た連中はさほどは強くはなかったが、それでも戦いは数だ。
一芸に秀でている者の一撃は防げぬかもしれん。
死んだときの一撃も殻が付かれた状態で食らったからな…
とりあえず、保留だな。
ん?
また、鳴子がなったな。
前の奴が再度来たのか?
行ってみるか。
来てみたら、前に来た連中と同じような装備の奴らがいるな。
人相が悪い連中だな…まあ、昔のわしと変わらんか。
「おい!いたぞ!」
「エリアボスが変わったのか?前に比べたら弱そうだな!」
「馬鹿野郎!油断するな!奴が倒したとしたら前の奴らより強いぞ!」
「お前ら騒ぐな!クソガキども真に出て攻撃しろ!」
「「「は、はい!」」」
む、なんか、弱そうなガキが全面立たされたな。
奴隷か?
まあ、明らかにこちらを試すのではなく、殺そうとしているなら始末するしかないが。
「わぁ!!!」
「ひぃ!!!」
「い、いやだ!?」
なんか気が抜けるな、相手する気にもならない。
「ふん!」
「よし!あいつらに目が言った!やれ!」
「ぎゃぁ!?」
ガキどもを薙ぎ払ったら、後ろから弓か。
はぁ、後ろいるのもわかるぞ。
「な!?後ろ向きで爪で挟んだ!」
「おい!」
「ロック・ピン・クッション」
なんだ、前みたいに棒を持った奴が何かを唱えているが、火でも放つのか?
ん?
土が盛り上がっているが…
ほう!棘が飛び出して来たな!
「な!?」
「躱しただと!そして、爪で潰した!」
何か地中からくると感じたから後ろに飛んだが、土で出来た針山が出てくるとは!
妖術か分からんが、危ないな。
思わず爪で切り倒したが、上に飛び出るだけか。
ちっ、面倒だな、後ろから弓で攻撃してくるのは。
とりあえず、置いている槍で黙らせるか…
「それ!」
「ぎゃぁ!」
「ボイブがやられたぞ!」
「くそ!ロック・ニードル!」
岩の槍か!
「ふん!」
「砕かれただと!?」
はぁ、声を出せば何か仕掛けてくると感ずるだろう。
暗殺者がわざわざ、毒殺だ!とか言うわけなかろう、馬鹿なのか?
「せん孔!」
ほれ、剣士も何やら攻撃する時に声を出してくる。
確かに、普通の突きではなく、風をまとって鋭くはなっているが対処しやすいわ。
そう言えば、前の連中は何も言わなかったな。
本気ではなかったというのは、正しいなこいつらを見ていたら。
弓兵も何か言っていたかもしれんが、それなりに距離があったから聞こえなかったのかもしれんな。
「おい、ジョイト!勝てないぞ!」
「エリアボスになり立てで、勝てそうと思ったが…ちっ、引き上げるぞ!」
「分かった!」
おいおい、転がってるガキどもを放置か?
捨て駒にしても、酷い話だな。
勝つための術なら分かるが…状況判断があまい愚かものか。
「逃がすと思うか?」
持ってきた槍を肩に背負って…熊が二本足で走るって、どうなんだ?
まあ、いいか。
「ふっ!」
「エガスト!?」
「な!?奴が追いかけてくるぞ!?」
逃げたのは五人、ひとりは今始末した。
おお、避けるか、でもな、それも予測して投げるんだよ。
「オイズト!」
「ジョイト!散開して逃げ…ぎゃ!?」
「エイモ!」
「スメイド!魔法でかく乱しろ!」
「無理だ!こんな移動中に呪文は、がっ!?」
「ちっ!こうなれば!」
一人になって、逃げられないと思ってこちらに来たか。
なるほど、死中に活を求めるか。
「ぐはっ!?ち、ちくしょう…」
爪の方がやはり動きやすいな。
納得できぬが。
「く、くそ、こ、此処で…」
そんなものだ、死にたくなければ戦わなければよい。
ん?
まだいるな…おや、前に来た連中か?
だが、武器は構えていないな。
盾を構えているのは警戒しているのと、多分、妖術を使うやつや、耶蘇教とのような十字の模様があるやつもなにかしているな。
だが、敵意も殺気もないな、交渉しようとしているのか?
それならそれで良い。
こちらも聞きたいこともあるからな。
『[彷徨える者たち]はギルドに報告した後、エリアボスの交代を聞いた[勇猛の獅子]という名前だけは立派な素行の悪い冒険者パーティーが新人の冒険者を強引に連れて、[闇深き森]に向かったと聞いた。
裏では野犬と言われる素行が悪く、被害を受けている人も多かったが魔物討伐で功績もあり様子見で放置されていた。
だが、今回は、エリアボスが変わり前エリアボスと変わらない強さがあり、まだ行動パターンが分からず刺激を与えるのは得策ではない。また、新人が被害にあう可能性があるとして、[彷徨える者たち]に引き戻すように依頼が出された。
ケインは断りたかったが、メンバーが新人の事を考えて受けることを決めた為、ため息を吐きながら[闇深き森]に向かっていた。』
「話を聞いて、直ぐに向かったが多分間に合わないぞ」
「分かっているよ、ケイン」
「馬鹿は助ける必要はない、だが、新人ぐらいは助けれれば助けたい。あのエリアボスなら見逃す可能性があるんじゃないか?」
「ボーンも、アインも人が好過ぎる。確かに俺たちも、馬鹿な冒険者に使いつぶされかけたことがあるが、見ず知らずの新人を助ける必要はないだろう」
「まあ、そうだけどな。だが、今まで相対した魔物に比べて、あのエリアボスは異質だ。もしかしたら交渉も可能かもしれないぞ」
「おいおい、アイン、お前はいつから物語が現実に通用すると思ったんだ?」
「いや、魔物も進化したら魔人、魔族になる事もあるわよ?」
「アリエル、確かにあるぞ。あるけど、そうなると、エリアボス以上に危険じゃねぇか!まあ、ここは浅い場所だからそこまで強大な力もないかもしれないが」
「はぁ、ケインはもう少し冷静な方が良いわよ」
「うっせぃわ!」
「まて!」
「ケイン!ケイン!」
アインが止めたが、前を見たら背中から木が、あれは槍っぽいな、刺さっていることを考えると死んでるな。
名前を連呼するな、アリエル!うるさい!
しかし、これは、全滅だな。
「おい、退くぞ」
「いや、無理だな。奴がいるぞ」
「かー!ついてねぇ!だが、まずは武器は仕舞え、グランエンは念のため盾を、マールは回復、アリエルは目くらましの順をしておけ、俺が見に行く」
「危険だぞ、ケイン!」
「うっせぃわ!まずは、交渉できるかだろ?」
「確かに俺が言ったけどさ!」
「駄目だった場合、逃げるぞ」
「…わかった」
アインそんな顔をするなよ。
あいつも何故か頭をかいているぞ?
人みたいじゃないか?




