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五州二島の太守だけど、異世界に転生したら熊になっていた ~龍造寺隆信~(不定期)  作者: 秋鷽亭


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2話 隆信、ピンチ

ぐはっ、何だこの衝撃は!?

あの時、あの若造に討ち取られたはずだが…


「なんだと!?」


眼を開けると、腕を振り上げる熊が居た。

何だ、あの大きさは、わしが知っているのもよりも大きすぎるぞ!?

2間(にけん)近い大きさではないか…

いや、そんなことを考えている場合ではない。


「グガガァァ!」


早いが躱せないわけではない!


「ガァァァァァ!」


躱せたが、躱されて怒っているな。

怒れば、畜生でも冷静に対応できまい!

躱し続けるのは至難の業ではあるが、何故か、身体が動く。

あの時、槍による傷を受けたはずだが、ふむ、どういうことだ、あの傷だと身体が動けるはずはないが…

そんな事は、あの化け物熊を倒してからだが、武器もない、素手であの熊を仕留めれるとは思わない。

周囲にも武器になるようなものが…

兵たちの姿が見えぬ、わしが斬り捨てた雑兵もおらぬ…

本当にどうなっているんだ!


「グアァァァ」


躱し続けるが、このままだとじり貧だな。

落ちている石や、倒された木々を投げつけているが、躱しもせずに体にあたって跳ね返されている。

顔に来たものは習い飛ばしているが、傷もなければ痛みも感じていないのか、それともあの毛が頑丈なのか?

ん?なんだ、口を大きく広げたが叫び声がない、何かを吐き出すのか?

なんだと?


「ガァァァァァ」


口から火の玉が出るだと!?

躱したが体の一部が焼けた!

ふむ、何故だ衣服の焼ける匂いではなく、肉が焼けるようなにおいだな。

ん?今更だが、これはわしの腕か?

毛が多い、いや、毛しか見えぬし、手も爪が酷く、手のひらではなく肉球が…


「ウガァァァ」


いや、そんなことを考えることは後だ。

今は打開策を考えなければいけない。いけないが、何も手が思い浮かばん。

ぐはぁ、弾き飛ばされたか。木にぶつかって止まったが、身体が痛いがあれだけの打撃を受けたのであれば、もっと損傷を受けて身体も動かないはずだが。

ぶつかった巨木もへこんでいるが、構わないか。

周囲にあるのは折れた木々が散乱しているな。あの木は先端が尖っているから仕えそうだが、ぐっ!?

殺し合いの状況で考え事は危険だが、殴られ飛ばされたのは目当ての木の近く、これを使って奴を倒したいが、身体は堅そうだ…

なら、やつが口を開いた瞬間にこの木を口に差し込むしかないか、まさか口の中まで堅牢ではないだろう。

なんとなく分かっていたが、木が持ちにくいが仕方あるまい。

また、口を開き始めたな。火の玉を吐き出す気か?

あれに木をぶつけても消滅するだけで、意味がない。

ならば、近づいて口に突き刺すしかない!


「ガァァァァァ」


わしが近づいてきたら眼が笑ってやがるな。

獲物が自ら食べられに、倒されに来たと思ったか?

だが、やられはせんがな!


「ガ!?」


ふん、一度見た火の玉ならば躱せるわ…なに!?

何故笑ってる?


「ガァァァァァ」


連続だと!?

くそ!ぐあぁ!?


「ガ!?!?」


身体を無理やり倒したが左腕を持っていかれたか。

近すぎて躱しきれなかったが…だが、その開いた口に突き刺せてもらうぞ!

手でわしを払ってもお前はでかすぎるから躱しやすいわ!


「グギャァァァ」


何とか、口に差し込んだが奴も口を閉じて嚙み切る気だろうが!


「グ…」


口の中までは固くないようだな!

くそが!よし、首の後ろまで気が突き抜けたぞ!

この隆信を倒すなど、畜生ごときが出来ると思うな…ぐわぁ!?

あ、頭が?!


『�Ѱ۸��Ρ����åɥǥåȥС������ݤ��ޤ���』


何だ、この言葉は言葉が分からん!

頭が割れる!

分かるようにしろ!


『共通言語スキルを取得します』


勝手にしろ!


『変異個体 ラル・モウト・バールを倒しました』


なんだ、ラル・モウト・バールだと、熊ではないのか?

ぐ、吐き気が…


『上位種の変異個体討伐による報酬の為、ベアー種より進化します』


ベアー種とはなんだ?

わしは人だぞ!?


『進化しますか?』


あ、頭が吐き気が…す、好きにしろ、それでこの不愉快がなくなるなら!


『初回撃破ボーナスと異世界渡りのボーナスを付与し、進化します…

 ローベアー種に進化します…終了しました…

 ミドルベアー種に進化します…終了しました…

 ハイベアー種に進化しました…終了しました…

 固有魂との合成を開始します…

 変異種 ヒゼンノクマに進化します…終了しました…

 欠損した部位を修復します…』


ぐはぁ?!

激痛が!?

気が遠くなる、また、わしは死ぬのか…






はっ、わしはどれぐらい気を失っていたのか。

奴のような者たちが襲ってくれば、わしは既に…

ん、左腕があるな!?

あの時、吹き飛ばされたはずだが…が、腕が太く毛深いな…

夢か…そういえば、胡蝶の夢があったな。

まあ、いい現実から目を背けても何も解決はしないからな。

身体を起き上がらせたら、目の前に口から木を生やした熊がいるな。

そうか、やっぱり現実か。

そう言えば、周囲が濡れているが雨でも降ったのか…

ん、水たまりがある…ならば、今の姿を見てみるか。


「うむ、腕や手を見て予想していたが…熊になってるな!?」


ここは畜生道なのか。

ふふふ、わしにお似合いだな。

寺に入れられて学ばされたが、本当にあるとは思っていなかったが…

ふむ、本当にあったのならもしかして、爺様たちもいるのか?

後はあの戦乱で亡くなった者たちも、もしかしたらここにきているかもしれぬな。

蒲池や赤星の連中がいるかもしれんな。


さて、これからどうするか。

目の前にある熊は食べれそうだが、火が使えなければ…

ふむ、わしは今は熊だから生でも食べれるのか?

焼くか煮た方が良いが、周囲を見てもそのようなものもないし、まして、わしは熊だ道具が使えぬ。

後は、刃物もないから切り分けることができん。

いや、わしの爪を使えば切れるのか。

だが弾かれたからな、駄目もとで試してみるか。


「ふん!」


ふむ、爪が突き刺さったな。

あれほど、攻撃を弾いていた毛や皮が柔らかい。

死んだからか?

良く分からないが、爪が通って切れるならば良かろう。


ふう、切り分けたが心臓のあたりに何か黒い塊があったが、これは黒曜石か?

いや、何か不思議な力を感じるな。

ん?不思議な力だと…

わしはこのようなものを感じたことはなかったが、何故だ、気が狂ったか?

まあ、考えても仕方あるまい、良いかどこかに置いておいて…

そんな場所もなければ、居れる袋もない、さてどうするか。

しかし、頼周らによって、父周家、祖父家純が殺害されて、蒲池に逃れた際に狩猟などしていて良かったわ。

鳥獣の解体など下の者たちがしていたから、あのままだとする機会もなかったからな。

とりあえず、この熊の剥いだ皮を使うか。

なめすことは出来ないが簡単な袋を作って入れておくか。

わしは熊だからなかなか物作りは難しいが…

人里があっても、狩られる立場になるからいけぬか。

参ったな、人を信じることは出来ないが、かといってわしだけでは何も出来ないからな。


とりあえず捌いた熊肉を食べるか。

生だが、仕方あるまい。

この身体は熊、そう熊だから問題ないはず、では…

ん?んん?


「うまいぞ!?生だが、何だこのみずみずしさは!噛めば噛むほどうま味は出てくる!そして、力が湧いてくるようだ」


これは良いな。

流石に人の身であれば、危険だから食べれなかったろうが、生肉とはここまでおしいのか。

いや、この熊は確か変異個体と何かが言っていたな。

一般的な個体ではないのだろう。

ならば、一般的な個体はここまでおいしくないだろうし、他にもいないだろうからもう二度と味わえないだろう。


「これだけの肉を食べきれるのか?多少腐っても食べれるか?どうするか…まあいいか、今は食べることに集中しよう」

頼周…馬場頼周

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