13話 隆信、同時代の人物の影を見る
とりあえず、ノブタネの言葉を聞いて、ゴブリン、オークというものを見に行くか。
別に倒す必要はないが、どういうものか見ないとな。
もし、意思疎通が出来れば家臣に加えるのも良いだろう。
「そう言えば、お前たちの寿命はどうなっているんだ?」
「進化したもの、魔族になった者は、長く生きれますがそれ以外は長くても、人が生きる長さの半分ぐらいです」
「半分とは、中々分かりずらいな。人はどれぐらい生きるんだ?」
「魔族の者が来た時に教えてもらったのですが、人は一年を365日としているらしいです」
「ふむ、そこはかわらんか」
「?」
「まあいい、それで」
「魔族は大体短くても300年以上を生きるらしく、人は80年も生きれば良い方で、大半が60年までになくなるようです」
そこも変わらんか。
赤子や幼子の亡くなる数にもよるが、大体寿命は同じぐらいか。
大半は戦で亡くなるが、産後の悪さや食事がまともに取れず幼子で亡くなるものが多かったが。
「その魔族は何者だ?」
「悪魔族らしく、長命でかつていた第六天魔王に仕えていたと言っていました」
「…なに?第六天魔王だと?」
「はい、かつてこの大陸を統一した魔王らしく、自らをそう名乗っていたらしいです」
第六天魔王だと?
欲界とか、仏教の世界なのかやっぱり?
ならばやっぱり、ここは畜生道…なら、第六天魔王とは言わぬか。
「それは一般的なのか?」
「私は知りませんね。ただ、その魔族がいうには魔王が勝手に自称していたらしいです」
では、違うのか。
…そういえば、そう名乗っていた奴が上方に居たな。
確か、織田信長だったか?
京を抑え、天下第一の大名だったが、あの後どうなったのだろう?
「しかし、よく、その魔族がお前に話したな」
「変わった魔族で、色々好奇心旺盛だったのです。最初は眷属たちがやられて敵と思ったのですが、『猿がいっぱいおるな!あ奴がいっぱいおるようで鬱陶しいな!』と言って、殴り飛ばしていきました。幸い命まではとられる事はなかったのですので決裂することはなかったので話は出来たのですが…」
「なんだ?」
「『ゴンロクのような顔つきだな!あ、猿が嚇怒するか、同じ猿と同じことに、いやゴンロクがキレるか』とか、意味の分からない事を言って、困惑しました」
権六か?
何か、わしと同じ感じがするな。
前世であった事があるか、知っているものかもしれんな。
「そうか、それで」
「配下にするのかと聞いたのですが『めんどくさい、もうお守りをするのも飽きた。だからお前らを家臣にする気はない』と言って、食料だけを持って去って行きました」
確かに、家臣を持てば面倒ごともあるからな。
ある意味疲れたのか?
家臣は言うこと聞かぬし、命じたことも失敗する。
文句を言う時だけは、仲間を作って言ってくる。
そして、解消されないと謀叛だ。
確かに、放り出した気持ちも分かる。
「そうか、そいつが居れば、色々な情報を得れるんだが…それからこっちに来たことは?」
「50年ほど前に来ましたね。何度か来ましたが、そのたびに服装や髪型が変わっていました」
「何度もという事は定期的に来ているのか?」
「いえ、聞いてる話では気分次第で、100年とか、10年とか、バラバラです」
「そうか、残念だな。ゴブリン、オークという連中は話が通じるのか?」
「進化したものならば、出来るかと」
「いるのか?」
「オークならば偶に見ますが、ゴブリンは稀です。ゴブリンは弱く、群れたとしてもオークに勝てるわけではないので」
「そうか、それは使えぬな…」
「進化すれば、戦う事が出来るのですが、そこまで行くまでに…」
「なるほどな」
「我々は、なるべく戦えるものを増やすために行動をしていますが、ゴブリンにはそこまでの知恵はなく、オークは能力で乗り切っている感じです」
ゴブリンは雑兵にも使えないか…
「ゴブリンの良い点は、我々よりも繁殖力があり、寿命は最大でも三十年ほどですが、何度も出産するために増えていきます」
「ほう」
「ゴブリンもオークも人と子を成すことが出来るので、繁殖のために人の村などを襲う事があり、人からは敵視されています」
「それは問題だな。お前たちは同なんだ?」
「我々も可能ですが、種族内で十分繁殖できるので、人を襲う事はないです」
「そうか」
人と協力関係を築くには、ゴブリンやオークを潰すのが一番なのか?
後は、支配下にある者たちをしっかり手砂を握れば…は、無理か。
家臣が勝手に暴走するのは普通だからな。
目が届かないところで勝手に動かれても困る。
困るのだが、目の届かないところで動いてもらう事もあるだろうか、難しいな。
《ガラバナの街》
「ギルドマスター、イシム様が来られました」
「おう、入ってもらえ」
「はい」
はあ、相変わらず固い表序しているな。
融通が利くが、その範囲が狭いんだよなぁ。
金をせびってくるやつらや、まともに報告を上げない連中に比べたら良いんだけど。
「ギルドマスター、報告を聞きました。冒険者が勝手に新しいエリアボスと思われるものを攻撃したと」
「すまねぇな。そこは冒険者だから仕方ない。依頼でもない限り止めることは無理だ」
ほら、そんなこと言うから、イシムは眉を潜めて、ため息ついたじゃないか。
もう少し言い方あるだろ。
「それは分かっているが、もっと慎重にしてほしいものだ」
「分かってる」
「それで行ったのは、問題良く起こす連中と聞いてる。この町では実力者だから横柄だったともな」
「仕方あるまい。冒険者は強くてなんぼだ」
「だが、問題ばかり起こされては、こちらも対応せざる得ないぞ。冒険者の重要性は分かっているが、流石に民衆の苦情が増えたら抑えれない」
「分かっているって、そこは何度も言い聞かせる」
「分かってくれればいい。領主様も他の貴族が介入することを防ぎたい。冒険者の問題が飛び火することもあることを理解してくれ、対応しきれん」
「あの時は済まなかった」
「あん?あの時?」
「ああ、お前たちが来る前に奴らが他の貴族の家臣にちょっかい出して問題が起きたんだよ」
「はぁ、馬鹿なのか?」
「いや、相手も横柄な態度だったからな。あいつらが手を出さなければ、他の奴が出していたよ」
「何があったんだ?」
「この町に居るガンダルフを知っているか?」
「知っている。名匠としても名が知れているな。他の街でも聞いたぞ」
「そのガンダルフが作った剣をその家臣が横取りしようとしたんだよ」
「…馬鹿なのか?その剣は、あいつらのだったのか?」
「いや違う。今は依頼でいないが、その場にあいつらもいてな」
「なんだ、結構男気あるじゃないか」
「違う違う、やっかみでガンダルフ愚痴愚痴言っていたんだよ。殴られていたが」
ちょっと、見直したのに…
やっぱり、だめだめだな。
「そこで、その家臣が剣を買いに来て、よこせとガンダルフに言ってな。ガンダルフが拒否すると貴族の名を出して強要しようとしたんだよ」
「そこで、奴らが止めたと?」
「いや、ガンダルフがその家臣を殴り飛ばしたんだよ」
「え!?それじゃあ、揉めたのはガンダルフでは?」
「確かに、その家臣のやっていることが問題だし、我が領主の街での無礼は許せるものではないで、ガンダルフ関しては問題とならなかった」
「イシム様、そうなんだ?」
「そうだ。だが、殴り飛ばされた時に家臣の懐から落ちた金貨を、馬鹿どもがくすねようとしてな…」
…やっぱり、感動を返せ!
「さすがに、ガンダルフが殴り飛ばして止めたんだが、銀貨を手に取って懐に入れていたんだよ、別の奴が…」
「冒険者だからと赦される横暴ではない」
「相手がガンダルフへの無礼と、その行為で手打ちにしたいと言われてな。流石に領主様も冒険者とはいえ、街で起こった事だから納得された」
「後で呼び出して、覚えさせたつもりだったのだがな。馬鹿は治らなかったようだ」
何だろう、二人ともつかれた表情を浮かべているな。
いくら実力があっても、問題を起こす奴はいらない。
緊急時以外はどこかに行ってほしいと思うだろうな…
ガンダルフ…ドワーフ、鍛冶屋




