14話 隆信、魔物を調べる
ノブタネに言われて、ゴブリンを見に来たがいきなり粗末な矢を射られたな。
全く効かないが、鬱陶しいな。
「ふん!」
生えている木を抜き取って、投げつけてやったら何人かは避けることが出来ず、押しつぶされたな。
弓や武器を投げ捨てて散り散りに逃げて行ったが、此処はお前たちの拠点だろ?
逃げてどこに行く気だ?
これは役に立たないな。
弱い、もろい、根性もない。
弱いから仕方ないのかもしれんが、鍛えたところでたかがしれそうだ。
進化したものが居たら別だが…
居なさそうだな。
もっと奥ならいるかもしれんらしいが。
進化したものしかいない集落もあるとか言っていたが、わしがどれぐらいの強さか分からないからな。
此処に居ても意味がないから、移動するか。
あれから数か所のゴブリンの集落を見に行ったが、すべて同じ動きだったな。
相手の力量を顧みず、攻撃を仕掛けてきて、勝てないとみると散り散りに逃げていく。
数は確かに多いが、力も非力、役に立たない。
人にも勝てない、勝てるのは人の子どもぐらいという話だからな…
数は増やしたいが、裏崩れするような連中は不要か。
鍛えれば、進化するだろうが時間と労力がかかりすぎる。
そして、進化させてもソルジャー、コマンダー、ジェネラル、キング、カイザーとなるらしいが、ソルジャーでも進化していないオークにも勝てないという話だからな。
それならオークを鍛えた方が早いか。
後、トロールとオーガが居るらしいが、どちらも頭が弱いらしいから、力で上下を覚えさせる必要があると。
赤熊はどちらにも勝てていたらしいから、勝てそうだが…
オークは、豚ではなく猪が二本足で歩いている感じだな。
だが、頭は悪くはないらしいし、それなりに力もありそうだな。
「ふん!」
爪を出さずに手のひらでなでるのは面倒だな。
やはり、気を投げるか。
「それ!」
おお、跳ね返したな!
盾を持っている者もいれば、槍や剣を持っている奴もいる。
なるほど、ゴブリンと比べれば、組織的ではあるな。
…だが、言葉が通じぬ。
「おい!」
「ガァ!!!」
駄目だ、進化した奴が居なければ、話にならないのか?
向かってくるから、全部、張り倒したが…
こちらの話を聞くようにみえなんな。
なら、後のことを考えて、始末するか。
「グ…」
ふむ、得れるものがないな。
家臣になりそうなものがいない。
ノブタネが希少なのか?
だが、奥には赤熊でさえ勝てない魔物が居ると言っていたな。
話が通じれば、良いが通じなければ殺し合いしかないからな…
ん?
猿が居るな。
「おい!」
「キィ!」
「ノブタネに伝えて、こちらを回収させてくれ!」
「キィ!」
後は任せるか…
ん?
「グホ!?コレハオマエガシタノカ!」
「そうだが?」
「ソウカ、ソレナラバシネ!」
離せるという事は、進化したオークか?
巨大な石の斧を振り落としてきたが、遅いな。
力任せで、技がない。
直ぐ倒せるが…
「お前、負けたらわしに配下にならんか?」
「オマエゴトキニツカエヌワ!」
こちらが仕掛けたから命まではと思ったが、これは無理か。
力任せに石斧を振り回しているだけだから躱せる。
「お前の攻撃は通じていないぞ?諦めて、降れ!」
「ダマレ!」
「それ!」
振り落とされた石斧が地面に当たった時に、懐に潜り込んで、爪で心臓の場所を突き刺したが、これで死ぬよな?
もしかして、魔石を潰す必要があるのか?
「グハッ!?」
倒れたな。
ふむ、ここら辺では苦戦することはなさそうだな。
だが、奥はノブタネが言うことが事実なら、まだまだいけぬな。
「これは…」
「ノブタネ来たか」
「ここら辺のオークでは強いものの一人です」
「そうなのか?」
「はい、私の方が強かったですが、配下でも勝てるものは少なかったですね」
「ああ、そうなのか」
勝てるのが少ないという事は、勝てるのか…
弱いな。
やはり、少し奥に入って、強いものを探すか…
《ガラバナの街》
「それでケイン、新しいエリアボスらしい魔物はどうだった?」
「ギルマス、Aランクの強さだな。低くてもBランク上位だ」
「そうか、赤熊に比べたらどうだ?」
「そうだな。同じ熊系だったが、魔法は使っていなかった。だが、爪での攻撃が協力だな。あれは名工の武器と同じかそれ以上の強度がありそうだ」
「魔法剣と比べたら?」
「そこは分からないな」
「そうか…強さは?」
「奥の手があるかもしれないが強いと思う。だが、先に言った通り、魔法を使っていないからな比較できないが、勝った以上は、赤熊より強いのでは?大きな傷もなかったし」
ギルマスもイシムも渋い表情をしているな。
まあ、そうだよな。
赤熊が居なくなるという事は、それよりも強い魔物が居るという事だからな。
「ああ、そうだ」
「どうしました?」
「どうした?」
「話は出来たぞ」
「なんですって?」
「何?魔物が話す?…魔族になったのか?」
「それは危険度が上がります」
確かに魔族は悪魔族とか種族として存在するものと、魔物が進化して変異するものの二種類だからな。
赤熊は魔物の枠にとどまっていたが、あの熊はその枠を超えたということか。
ただな…
「多分だが、新しい熊は、元々動物だったんじゃないか?」
「あん?魔物じゃなかったのか?」
「そうだ、あの姿は熊の姿そのもので、赤熊のように魔物の特徴がなかった。獣から魔物になる場合は、元の動物の姿がそのまま残っていることが多いからな」
「そうか、それはそれで問題だろ。魔物でエリアボスを倒す熊だと?」
「…それが事実なら、進化したのは当然です。動物と魔物では基本的に能力やレベルに格段の差がある。それを倒すとするならば、進化に必要な経験が大領に入り込む可能性があります。だが、ただの動物が魔物を倒しますか?」
「ないとは言わないが、珍しいし、エリアボスを倒すことは聞いたことない」
「俺も聞いたことはないな」
「しかし、魔物を通り越して、魔族か…やっかいだな。勢力を築く可能性があるという事か」
「はぁ、頭が痛いですね」
「話はどれぐらい通じる?」
「会話は成立するし、情報を聞き出そうとしていたな」
「情報ですか?」
「ああ、こちらがどうなっているか、魔法の事とかな」
「進化の弊害だな知識や経験がなく、一気に進化した結果、能力と知識の乖離があるのは過去の報告で聞いている」
「交渉が出来きそうですか?」
「ああ、出来ると思う。だから新人たちは助かった。あいつらは無理だったが、認識票は持ってこれたし、装備は無理だろうが埋葬はしてくれそうだったぞ」
「なに?まあ、魔族なら埋葬はするか。いや、進化したてて?」
「そうだな、そこは考えれば不思議だな」
「領主様と話をしますが、出来れば友好関係を築きたいですが…」
「温和に見えて、あいつらを始末した事を考えると油断はできないぞ」
「そうですね…」
まあ、この国もいい加減ボロボロだからな。
各種族が争っているし、中央政府は統制できていない。
何かがあれば、この大陸は戦乱になりそうだな…




