◆第83話:煌めく陽光、揺れる想い◆
セディオスは、貸し切りの浜辺に休憩用のシートと日傘を準備していた。
波打ち際で風が優しく髪を揺らす中、セディオスの前に一人ずつ現れる少女たち。
「セディオス、僕……この入水衣、似合ってるかな?」
最初に現れたのはライナ。
水色のビキニがその快活な雰囲気によく似合っている。
照れくさそうに肩をすくめながらも、視線は真っ直ぐにセディオスへと向いていた。
「とても似合っているよ、ライナ。元気さと可愛さ、両方とも出てる」
その言葉にライナはぱっと笑顔を見せ、
「ありがとう!」と言い、すぐに小走りで砂浜へ駆けていった。
「セディオス、失礼します……私の姿、どうでしょうか?」
続いて現れたのはルゼリア。赤い運動用のビキニ型入水衣は落ち着いた印象を与えながらも、引き締まった肢体を引き立てていた。
「知的で凛としてる。君らしさが出ていて、素晴らしいよ」
「……っ、ありがとうございます」
少しうつむき、照れたようにそっと髪を撫でるルゼリア。
しかし、その横顔には微かな誇らしさが浮かんでいた。
その姿に、セディオスも思わず微笑む。
「セディオス、わたしも……見ていただけますか?」
白のワンピース型入水衣に身を包んだティセラが、軽外衣をそっと脱ぎ、微笑みながら現れる。
「綺麗だ、ティセラ。優しさと聡明さがにじみ出ているよ」
「ふふ……嬉しいです」
最後に、ゆっくりと姿を現したのはエクリナ。
紫のビキニにパレオという大胆な装いでありながら、彼女の顔には隠しきれない赤みが差していた。
「セ、セディオス……これが、その……今日の我の姿である……っ!」
「……こ、これは……その……似合っておるか……?」
堂々とした言葉とは裏腹に、視線は泳ぎ、頬は火照っている。
セディオスはしばし、その気高くも愛らしい姿に目を奪われていた。
「うん……とても綺麗だ、エクリナ」
「なっ……! ば、馬鹿を言うなっ!」
照れ隠しのようにそっぽを向きながらも、彼女の口元はどこか緩んでいた。
やがて、ライナがルゼリアを誘い、海へと駆け出していく。
「リア姉ーっ! いっしょに波乗りしよーっ!」
「……全く、ライナは相変わらずですね」
一方、ティセラはエクリナを手招きし、海中のダイビングエリアへと向かう。
「エクリナ、深いところに行きませんか? 色々な魚、見たいでしょう?」
「む……それも悪くないな。案内せよ、ティセラ」
その様子を、セディオスは波打ち際に設置した日傘の下から静かに眺めていた。
手元にはバーボンとグラス。
カランッと氷の音が静かに響く中、穏やかな時がゆっくりと流れていた。
「……こうして、皆が笑ってくれているのなら……それだけで、俺はもう十分だ」




