◆番外編:家族との団欒◆
夕刻、柔らかな日差しが館を染める頃。
食卓にはセディオスを囲んで、エクリナたち四人が集っていた。
「今日の夕餉は我自信作のシチューである。うぬ、感謝して食すがいい!」
気丈に言いながらも、エクリナはセディオスの感想を内心そわそわしながら待っていた。
「これはうまい! 一段と腕を上げたんじゃないか?」
笑顔で褒められ、エクリナは思わず頬を赤らめる。
「当然だ! ルゼリアの丹精込めた野菜、ライナの仕留めたイノシシの肉、ティセラの見事な保存術具……これらを合わせれば至高のシチューになるのは道理だ!」
「ん~っ! このお肉の柔らかさ、完璧だよ、王様!」
ライナは口いっぱいに頬張りながら親指を立てる。
「この野菜の甘みを生かした味付け……病みつきになりますね」
ルゼリアは淡々と告げつつ、目元にはかすかな笑みを浮かべた。
「……焼きたてのパンにも合いますね」
ティセラも小さく微笑み、場は和やかな空気に包まれる。
「まだまだお代わりはあるからな、存分に食すと良い!」
こうして今日も、笑い声が静かに響く。
かつて世界に受け入れてもらえず、戦い続けた少女たちが、今はただひとつの卓を囲み、主と共に過ごしている。
それは、何よりも尊く、何よりも守るべき彼女たちの“今”だった。




