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イラスト部 男装・女装リレー順番

 イラスト部ルールその肆拾弐 当日までには言おう

「いきなり当日に言われても困るんだけどな!?」




 それから次の日、俺自身なんの収穫もなく、見た限り夢田も一年もなんの収穫もなさそうだった。三年は知らないが。

「さーてと昨日の話なんだけど……りーちゃんが何を作るのかって話だったわよね」

 一・二年が何も報告をしてこないのを見たからか昨日の話の続きを始める。

 一年が二人ともコクリとうなづいたのを見ると俺を見て二度瞬きをしてくる。……はいはい、俺が説明しろって事だろ?何となくそうなるだろうなって予想はついてたよ。そんなに説明が得意って訳でもねぇのに……って言ってもなぁ

「何をつくるのかって言ったって全部だぞ?」

「全部……ですか?」

「そ、全部。福谷先輩は別にパソコンの扱いが上手いだけじゃねぇんだ。小型カメラに盗聴器。本当に何でも作る」

「…………時間がかかるのもあるけど、ね」

 電子機器の扱いが一番うまいのはこの人だろう。木村先輩は扱おうと思えば扱えるのだろうが、積極的に操作してどうこうしようとしたりしない。適材適所というのを本当に実行する人だ。まあ面倒っていうのも多少なりともあるのかもしんねえけど。薄波先輩は少し機械音痴らしくパソコンを操作すると度々首をひねっている。俺は人並み程度にしか扱えないし、夢田ははっきり言ってあまり操作させたくない。こいつが何か新しい電子機器に触ると大抵おかしなことになる。いや、決して壊すという訳ではない。ただその……何があってそうなったのかわからないようなことになるというか……つまり作った人が予測もしないようなバグを呼び起こすような才能に満ち溢れていやがる。そしてそこになぜかあいつの運が入り、例えばゲームとかだったらよくわからないチートの物が出来上がるっていう寸法だ。

 そんなで電子ゲームができるのかって思う人もいるだろう。

 答えは、家なら出来る。最初の設定とかを他の人がすればいいだけの話だからな。あとなったとしても笑いごとで済むし。ただアーケードゲームとかあるだろ?あれは……させたくない。笑いごとどころの話じゃねぇし。一度あったのが確かなんか戦う奴だったか。あれでボス戦のはずがボスが雑魚並みに弱かった。もうそれは初級の一番初めのやつかのように、つーかはっきり言って多分あれチュートリアル並みだろというぐらいに。大体必殺技出す前に負けてるボスってなんだよ!

 ちなみに俺がしたら同じモードのはずなのにも関わらず何故か最強のやつが出てきましたよ。あれは驚きだったね!!

 まあそんな訳で福谷先輩が基本的に扱っている。

「前の時も使ってたのよ?」

 付け足しのように木村先輩が横から言う。

「え、使ってたのか?」

「…………知らなかった、の?」

「逆に驚くよっ、それは」

 何と俺と一年以外は全員知っていたらしい。

「ん、私使った」

「俺てっきり普通のやつ使ってたのかと。画質もすげぇ良かったし」

「…………ありがと」

 思ったことを言っただけなのになぜか礼を言われた。

 ……そりゃそうか。既存のやつと変わらないと言われたんだもんな。

「大体考えてもみなさいよね。確かにちーちゃんの影は薄いわよ。でも持ったものまで一緒に影が薄くなります。なんていう特殊能力じゃないのだから、そんな既存の普通の大きさのビデオカメラなんて持っていてもみなさい。バカみたいに目立つじゃない」

 バカみたいって……でも確かに薄波先輩は基本的に目立たないようにしなければならない。それは普段から情報収集をしているためだ。おそらく目立つのは体育祭と文化祭、この二大行事だけだろう。

 第一このイラスト部に入って、この二大行事を目立たないようにするなんて方が無茶だろうけど。

「でもあれとってたよね」

「だからさっきひーくんが言っていたでしょ?『小型カメラ』って」

「え、あれ手作りのやつで撮ったものだったんですか?」

「ん、里果の手作り。普通のとあまり変わらない、でしょ」

「…………そんなことない」

 と福谷先輩は謙遜するが、普通はまずあそこまで作れないからな?多分福谷先輩の中で何か許せないところがあったんだろうな。よくわかんねぇけど。

「でもつくるのにひつようなぶひんって、たくさんあるよね。それどうしてるの」

 福谷先輩はいろんなものがおいてあるところをちらりと見て、中井の方を見る。

「…………家にある、し…………適当なとことからとる、手もあ、る」

「だから壊れた電気製品とか持ってきても別にかまわないわよ」

 ……といっても炊飯器とか電子レンジとか持ってこられても困るけどな。つーか学校に炊飯器とか持って授業受けんのかよ、どんな奴だ!!

「本当は買うべきなんだろうけど、お金がねぇ」

 さすがに部活のお金をそれに使う訳にもいかねぇしな。買うもののリスト学校に出すし……まあその部活のお金で買うものがあの衣服たちなんですけどね。それは良いのかよ、この学園。

「さてとじゃあ普通にリレーの順番を決めましょうか」

「あれ?男装・女装は決まっているといっていませんでしたか?」

 八神の言葉を聞いて思い出した。そういやそんな事も言っていたな、さすが八神。

「ええ、男装・女装は一昨日三年生だけで決めたの……そう言えば言ってなかったわね。忘れてたわ」

 あっけらかんとしながら言う。まあどうせそんなところだろうけど。大体前に言ってくれるなら良い方だ。下手したら当日に言われるからな。つーか去年の文化祭がそうだったし。今年は当日に言うのだけは止めて欲しいな、こっちにも心の準備ってもんが必要な訳で

「で順番なんだけど、学年順でひーくんが一番最後よ」

 相変わらず俺だけ別だし。ってか俺が最後嫌だって言ったらどうするつもりなんだよ。

 きっとどうにかしてうんと言わせてたんだろうな……なんかスッゲー目に浮かぶぞ、その情景が。

「だから一番なっちん、二番みー、三番あーちゃん、四番りーちゃん、五番私、六番ちー、七番ひーくんって感じかな」

「……私一番ですか?」

「ええ、でも一番だからって気張らなくても良いわよ。ね、ひーくん」

 いきなりふられて一瞬驚くがうなづく。

 女性が男装ならまだしも男性が女装するのには一つ大変なことがある。それは『スカート』だ。もちろんパンツをはく女性もいる。ただ男装・女装に関して特別なルールがあって、それは

 ・必ず男性を一人以上入れる

 ・女装する生徒は必ずスカートをはく

 この二つだ。つまり男性は慣れないスカートをはいて走らなければならない。おそらくパンツでは女装なのかわからないやつが出てくるのを防ぐためだろう。……多分これが出来た当時は笑い専門だったんだと思う。だって元々中心じゃなかったし。中心の一つになったのはこの人たち三年生が入って来てから……というよりも俺が入ってからだ。つまり中心になったのはここ二年のことだということ。つーかこの人たちどんだけ変えてんだよ。

「それってかやませんぱいが、スカートではしるのがとくいってこと?」

「得意な訳あるか」

 間髪入れずに俺は反論する。

 あんなヒラヒラしたの足元にまとわりついてくるし、何よりも風でめくれる。んなことしたら見えるんだよ、見えそうなくらい短いのははいたことあるけどな、罰ゲームで!!けどそれとこれとは別の話だろ?

「まあ確かに遅くはなるのよ、遅くは」

「光君元々早いからあんまりわからないんだよねっ」

「…………スカートなんて走りにくいの、に」

「ん」

「つまり結局変わらず早いって事ですね」

 八神が苦笑しながら確認すると全員うなづく。

「着なきゃいけねーのはわかってから、せめてスカートは長めでな」

「もちっ!」

 夢田が良い笑顔で親指を立てる。

 何でお前が答えてんだよ、先輩たちは良いのかよ。そう思い先輩たちの方を見ると先輩たちは良い笑顔でうなづいている。あ、OKってことですね、わかりました。

「さてと、次は代表者」

「あの、生徒会長のは……」

 八神が気になった様子で聞く。

「シッ!」

 焦ったように指を口元に立て言うなというポーズ。俺たち二年と一年は意味がわからず少し首をかしげる。

 今まで普通に先輩たちの話には乗っていたが、大体三年が依頼の話をあんなにしないのはおかしい。だが先輩たちが話さないと言うことは……とかいろいろと考えていたのだが……ここまで焦るって一体なにがあった?

「…………咲子来る、から」

「念のため、だけどね」

「あの人が……?」

「咲ちゃんが来るって言ってたの?」

 とても信じられないという顔で彼女たちを見る。あの人が来ると先に言うなんてとてもじゃないが信じられない。急に来るというのがあの人なのに。

「ん、他が加賀に行くように言ってた」

「…………それでも来るがわからないのが咲子だから」



「そうねぇ、でも今回はぁちゃぁんと来たわよぅ」


 

 それは紛れもない咲子さんの声だった。



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