イラスト部 話を聞く
イラスト部ルールその肆拾 生徒会長として依頼に来た時は気を付けて
「生徒会長としてじゃなかったらいいのかよ……」
ほどなくして俺が救出するように木村先輩が言う。たった一人で網(スライム付)と格闘すること数分。無事に二人は救出させる。無事であるかは少し疑問であるが。
「さてお二人さん、少し落ち着いた?」
『はい……』
木村先輩の前に二人とも立っている。まるで先生に怒らえているかのようだ。二人はさっきと違いとても静かだ。まあしょうがねぇよな。大体毎回なんだからいい加減に学べよ。頭や体にはまだスライムが残っているように見えるが……まあいいか。
「じゃひーくんドア完全に閉めて、それからあっきー話してくれる?」
「わかりましたわ」
俺は手で返事して言われたとおりにドアを完全に閉め、ついでに鍵も閉める。こいつが生徒会長として来ていると言うことは学園のこと。しかもここに来るということは結構やばいということだ。だから人がここに入ってこようとしても入れないようにする。聞き耳を立てれば聞こえないこともないのだろうが、元が会議室なだけあってここは壁が厚い。よっぽど必死に聞かないと聞けないだろう。まあここに来るなんて人なんてあまりいないけどな。顧問でさえあれだし……なぁ。
「そうですわね……どこから話せばいいのやら」
あごに手を当て、首をかしげる。
「初めから細かく話してくれるとありがたいわ。ひーくん」
「いつもの通りだろ?わかってる」
自分のカバンからペンを取り出し鍵のついた引き出しの中からノートを取り出す。
実はというか当たり前のことなのだが人を観察し書くノートと、依頼内容を書くノートは別だ。前者はいつも持ち歩いているが後者の方は門外不出。この部室の中に入っても見るのは難しい。もちろん見ようと思えばどうにかすれば見れないこともないだろう。まあそこまでセキュリティが必要でもないだろうし。が一応個人情報は個人情報だしな。しかも知られたくないことの固まりである。そんなものを無造作に置くほど考え無しでもないと言うことだ。それにそこまでの危険を冒すほどでもないだろう。一応この部室の中には福谷先輩手作りのカメラがあるらしいし。本当かどうかは知らんが。しかも本当にやばいやつは福谷先輩と木村先輩、薄谷先輩が共同で管理をしているとか何とか言っていたし大丈夫だろ。
「そうですわね……もうすぐ体育祭なのは皆さんもご存知のことだと思われますの。そして三対抗戦だということも」
そこで尾形は確認をするかのように全員を見渡す。木村先輩が続けてとでもいうようにコクリとうなずくと、尾形も同じようにうなずき返しまたその口を開く。
「私たち生徒会は勝ち負けよりも……いえもちろん勝ち負けも大事ですがそれよりも体育祭の成功を何よりも一番に考えているのですわ。ですからイベントごとの前には必ず情報を仕入れますの」
その情報を仕入れるという所で頭の中にある先輩が浮かぶ。急いで頭を振って脳内から消す。どうしたのかとでもいうような顔で見られるが、手を振って何もないということを伝えると納得したように話をまた続ける。……あの人はちょっとしたトラウマ気味だ。
「そしてその情報の中に見て見ぬふりが出来ないようなことが書かれておりましたの」
そこで一旦区切りをつけてスッと息を吐きその重くなった口を開く。
「裏で賭け事が行われているということが」
一瞬時が止まったような気がした。それほど現実味のないことだったのだ、この学園でしかも賭けが行われえているなんてことが。
その短い沈黙の中一番初めに口を開いたのは
「ん、真実味ある?」
意外にもと言えば失礼かもしれないが意外にも薄波先輩だった。
「ええもちろんですわ。こちらをご覧くださいの」
そこに出されたのは一つのファイル。そのファイルは何度も見たことがある。……やっぱりあの人か。先輩たちはファイルの中に入った紙をパラパラめくる。そして一通り見た後に八神に手渡される。八神はそのファイルを数秒見つめ首をひねる。
「一応それは貰ったところが管理しなければならないの。でも二度も同じのを見るのは時間の無駄だから。覚えておいてくれない?」
そう言われると納得したかのようにパラパラとめくり机の上に置く。
まああの人のことだ、こうなることもわかっていただろうな。
「で、どうすんだ?」
ずっと考えている先輩たちに問う。
「…………あの子の情報だから」
「真実味は高いわね」
「ん」
三年は顔を見合わせうなずくと
「その依頼受けるわ」
木村先輩が代表して答える。尾形は深々と頭を下げ
「お願いいたしますの。私たちが至らなかったばかりにお姉さまにお手数をおかけいたしますわ」
と木村先輩に言葉をかける。ちなみに木村先輩のみである。もう慣れたが。またケンカになられても面倒なのでさっさと鍵を開ける。木村先輩がひらひらと手を振ると尾形はもう一度頭を下げ部室から出て行った。そして尾形が完全に出て行ったのを見るともう一度扉を閉め鍵をかける。
ここからは依頼者抜きでの作戦の会議だ。
「それでこんかいはどうするの?」
「いやその前に一つ聞いてもええっスか?」
中井の言葉を遮り俊介が話す。
「構わないわよ、何?」
「オレ何で居るんスか?」
「…………今回は……俊介の必要性……高い」
俊介は首をひねりつつも引き下がる。先輩たちが必要と言えば十中八九必要になる。ただ説明されるのはその時になってだが。
「さてと、潜伏場所も主催者も書いていなかったわよね」
その視線の先には八神が。八神は一瞬きょとんとするが数分目を閉じやがてコクリとうなずく。
「あの人に情報つかませないって……どんな奴なんだよ」
「だってあの人外出ないじゃんっ」
「いやそうだけどよ……」
大抵の情報はあの人はつかんでいる。言えばすぐ出てくるのが良い証拠だろう。まるで俺たちが何の情報が今欲しいかわかっているかのようだからな。
「まあ確かにね。あの子がつかめないっていうのは珍しいわね。情報を出し惜しみするなんてことは考えられないし……ちょっと用心した方が良いのかもしれないけど」
手を口に当てクスクスと笑い
「面白いわね」
と言う。
(福谷先輩を除いた)全員が震えたことは言うまでもないだろう。
「…………彩、進まない」
「あ、そうね」
今気づいたかのように言う。時間忘れんなよ。一応今日は六時間だったから時間あるっちゃあるけどよ……無駄話している時間はほとんどねぇぞ?まあ多分いざとなったら最終下校時刻まで伸ばすだろうけど。
「でもどうするの、しゅさいしゃもなにもわかってないんでしょ」
「…………そう。…………でも……下は見つけ…………られる」
「ん、上は難しくても下は簡単」
そう言うと二人は木村先輩の方を見、俺たちも同じ方向に向く。そしてそれを受けた木村先輩は口を開く。
「ひ-くん、あーちゃん、なっちん、みー、聞き込みをお願い。出来る限り私たちが探っているのを気づかれないようにね。あの子に情報をつかませないくらいみたいだから」
全員がコクリとうなずく。
「しゅーくんには潜入をしてもらうつもり。場所がわかったらまた伝えるから」
俊介は首をひねりながら口を開いた。
「質問良いっスかね」




