イラスト部 ケンカが始まる
イラスト部ルールその参拾玖 ケンカするものは両成敗だよね
「ケンカするあいつらが悪いんだし良いんじゃねぇの?」
尾形 亜希、現生徒会長。ちなみに俺と夢田、俊介と同学年。上に立つ者があまり年齢に関係していないいい例だろう。そしてまあこの学園の会長をやっているだけあっていろいろとすごい。何がすごいって?定期テストは学年一位、学校内では木村先輩に次いで二位。……まあ木村先輩とは越えられない壁的なものがあるが……三位からを寄せ付けないのも事実だ。また、この人のファンもすごい。親衛隊が出来ており生徒会の役員は親衛隊のメンバーだという。というよりも実際そうだ。そして親衛隊にもルールがあるのだが……俺が知っているのはこの二つ。
・抜け駆けをするべからず
・会長に近づく不審な男を排除すべし
守っても守らなくてもどうでもいいイラスト部ルールに比べ親衛隊のルールは絶対。それを破ったものには厳しい処罰があり噂では何十人もの人に上るらしい。いやもうマジでどうでもいいことなのだが、俺は何故か親衛隊の人に目を付けられている。何でも俺は二個目の方に違反をしているらしい。ホント意味がわからない。ただあっちが木村先輩に会いに来てるだけじゃねぇっか。
第一俺を好きになる奴なんていねぇし、俺が恋をすることもねーよ。
金色の長いポニーテールが窓からの光にキラキラと反射する。はっきり言って眩しい。尾形はフルフル首を振る。それと同時にまたキラキラと。停電になったら大活躍でしょうね、この人の髪。俺のところにも金髪がいますけどそこまでキラキラと反射しませんよ、心の中って髪の毛にも出るんですかね。
「もちろんお姉さまにも会いたかったのもありますけれど、今回は違いますわ。今回は私、尾形 亜希個人としてではなく、上谷学園生徒会会長 尾形 亜希としてイラスト部に依頼に来たのですわ」
ピキンと部内の雰囲気が変わる。
「木村先輩オレ一旦帰るっスわ。また日ぃ改めてくるんで。そん時は光、お前に言うから」
自分はここに居るべきではないと思ったのだろう、俊介はそう言ってくる。いつもならそれでも良かったのだろうが……今回は依頼人が依頼人だ。俺的には残っていた方が良いと思う、けど決めるのは俺たちじゃない。
「申し訳ないけどしゅーくんは残ってくれるかな」
「…………今回は必要になる可能性が高い」
「ん」
先輩たちだ。でもやっぱりそうか。俊介はまた首をひねりつつ
「オレは別にええっスけど……尾形お前さんはええんかいな。イラスト部以外に聞かれたらまずいんちゃうの。あんたがわざわざ生徒会室から出てくるっちゅうことわや」
その言葉を聞いた尾形はフッと口元をほころばせると
「私がお姉さまにお決めになったことに対して反対をするとでもお思いですの?」
と挑戦的な口調で言う。俊介はあの意地の悪そうな笑顔を浮かべると
「誰もそんな事は思ってへんで。ただお前さんはそう言うこと思ってるんちゃうかなぁって思ってな。だってお前さんオレのこと嫌いやろ?」
とこちらも挑戦的な口調で言う。……ああまた始まった。どうしてかはわからないがここ二人は顔を突き合わせるとケンカをする。どっちからっていうのはその時々に寄るのだが……こいつらあきねぇな。
「なんのことですの?第一自分の好き嫌いなどで人を差別し、お姉さまがお決めになったことに対し反対をするほど私は落ちぶれてなどはおりませんわ。この私を見くびるのも大概にしてくださいませ」
「おやおやぁ?オレがいつあんたのこと見くびった言うんや。そんな事した覚えなんてないんやけどなぁ、おっかしいなぁ。自意識過剰なんも良いとこちゃうの。なるほどぉ、現生徒会長さんは自意識過剰っと。これは良い話題やなぁ」
「誰が自意識過剰ですの、お姉さまに必要などと言われたから天狗になっているんじゃありませんこと。そのような一芸だけで一体どこにいこうとしているのやら。そう言えば、この前のテスト結果が張り出された前で自分の順位を大きな声で言ったらしいではありませんの。そろそろご自分の馬鹿さ加減にお気づきなったらどうですの?」
この光景を初めて見た一年の八神はオロオロしているし、中井はポーッと眺めている。
「ハア……ひーくん一年生二人とも呼んできて。あとあーちゃんそうね……あと五分ほどしても止まらなかったらあの二人を止めて。まあどうせ止まらないでしょうけど。あ、どんな手を使っても良いわよ」
とニッコリ笑って言ってくる。いつもなら怖ぇ……とか恐怖を少し覚えるのだろうけど……なんでだろうな
「了解」
「はーい!」
って笑って言える。……ああわかった、毎回過ぎてどうでも良くなってきてるんだ。まああいつらが悪いんだしな、別に良いよな?
あいつら二人に気づかれないように静かに一年の側に行きちょんちょんと肩をつつく。はっきり言って二人ともヒートアップしてるから気づかねぇだろうけど一応だ一応。
『っ?!』
二人は驚いたように大げさに方が震える。あ、やばっ。まあ声を出していないからまだ良しとするか。でも悪いことをしたのには違いがないので、声を出さずに手だけで謝ると二人は声を出さずに首をふるふると横にふる。そしてちょいちょいと手招きをすると音を出さないようにこちらにやってくる。さすがイラスト部に入ろうと決意することだけはあるというのだろうかなんなのか、音を出さない方が良いと言うのは伝わったらしい。中井はすこしゆっくりとだがそれも中井らしいって事で。ここでイライラしてもしようがないし。
「どうしたのですか?」
八神は止めなくても良いのかという顔をしながら尋ねてくる。
「大丈夫よ、止めるは止めるから」
ホッとしたような顔をしているが考えても見ろよ、ここイラスト部だぞ?普通に止めるわけないだろうが。あとお前らちゃんと向こうを見ろ向こうを。夢田がニコニコしながら福谷先輩と話しているだろう?福 谷 先 輩 と!!この部活で一番怖
「…………光?」
なぜか福谷先輩はこっちを向いた。小さく口元に笑みを浮かべて。ブルンブルンと音が鳴りそうなくらい必死に首を振る。福谷先輩は
「…………そう?」
と言うとまた夢田と話し始める。危ねぇ……自分の手を見るとプルプルと軽く震えている。
「光先輩」
「どんまい」
一年二人が軽く励ましてくる。……これどんまいで済むようなことなのだろうか。そんな事をしている内に五分は軽く過ぎてしまったらしい。やっぱりまだ止まっていない。
「あーちゃんGO」
「りょーかいっ」
そしてそのまま夢田は福谷先輩にいくつか物をもらい同じ場所から撃つ、撃つ、撃つ。そしてその撃たれたものはそのままケンカをし続けている二人の上へ。
「うわっ!」
「キャッ、なんなのですの?!」
それは網。網が二枚、三枚と何枚にも重なり落ちていく。つまり中々出てこれない状態に。ただこれだけで終われば優しいもの……なんだけどなぁ……終わる訳、ねぇよなぁ……そして思ったとおりにさっきとは違うものをもらいまた撃つ。さっきのに効果音をつけるのならバサァという感じだったのだが、今撃たれたものはビチャ、とかベチャってもので
「冷たっ!何やコレ!!」
「いやっ、ヌルヌルしますわ!いったいなんですの?!」
二人で網の中をもぞもぞ動いている。
「……夢田、一体何を撃ったんだ?」
「え?網とスライムだよ?」
だから何?とでも言う風に聞いてくる。ほんとえげつねぇよな、こいつら……




