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イラスト部 順番を聞きに来る

イラスト部ルールその参拾捌 扉って閉めなくてもよくない?

「いや、ルールで聞かれても知らねぇ……ってかどうせ遊ぶんだから閉めよう?!」




「本当にすいませんでした」

 俺が部室に着いた時、先輩たちはもう着いていた。もう一度謝るために福谷先輩の前に行くと二人はそっと、どいてくれた。

「…………別に、もう気にしてない。…………次から……気を付けてくれれば……良い」

 そんなことはもちろんだ。そう伝えるつもりで強く頷くと福谷先輩は「じゃあ良い」とでもいうように静かに頷く。

 これで俺の目的は終了。あとは

「木村先輩」

 そう言うとクルリとこちらを見て首をひねる。

「俊介が順番聞きに来るって」

「え……あー男装・女装と代表者か。了解了解」

 そう軽く言うが、決めているんだろうかこの人は。ま何でもいいや、何とかなんだろ。つーか、絶対忘れてたよな、この人。

「ジャッジャジャーン、彩夏とーじょうでっす!」

 バカみたいな大きな声で入ってくる。そしてその後ろか困ったような顔をして入ってくる一年の二人。後輩困らせてんじゃねーよ、こいつは。

 三人は適当な場所に自分の荷物を置き、わらわらと集まってくる。

「今日も何かゲームするんですか?」

 と小首をかしげ聞いてくる。まだ八神が似合うってのはわかるんだけどなぁ……何であいつが似合うんだか。いや、ホントに。

「したいのは山々なんだけどね、ちょっと出来ないのよね。やることが出来ちゃったから」

「すんません、出来るだけ早い方がええかと思ったんスよね」

「あら、案外早かったのね」

 どうやら扉を開けっ放しにしていたらしく俊介は扉の外に立っている。つーかちゃんと閉めろよ扉。一年生はやっちゃったみたいな顔をしている。うん、完全やっちゃったな。開けっ放しで堂々と何して遊ぶか聞いてたもんな。誰も気にしてねーけど。てか、三年絶対気づいてたよな。言えよ、何で言わないの?あ、そんだけどうでも良かったってことか?んなわけねぇだろ。

「…………入ったら?」

「んじゃあ、失礼します」

 そうきちんと断ってから中に入りきちんと扉を閉める。こいつそういう所はきっちりしてるんだよな。ホント見習おうお前ら。

「で、決まりそうッスかね」

「んーまあ何とかなると思うよ。今日時間は大丈夫なの」

 大丈夫なんて言っているがはっきり言ってていだ、てい。無理でも何とかしろって事だからな、これ。なんだかんだ言って付き合いの長い俊介はもちろんわかっている。

「もちろんスよ。第一オレ帰宅部なんで」

 だから、時間はある。そういう言い方をする。こいつもなんだかんだ言って、大変だな。

「ん、彩男装・女装は決まってる」

 ボソッと木村先輩にだけえ聞こえるような大きさで言う。まあ、皆に聞こえてはいるのだけども。

「あ、薄波センパイどうもッス」

「ん」

 その後小さく「いたんだ」とつぶやく俊介。おーい、聞こえてるぞ。大体三年二人ともいるんだから居るに決まってんじゃねぇか。

「ひーくん、男装・女装と代表ともにアンカーでも良いかな」

「あー、おう」

「お前大変やな」

 そう言ってクツクツと笑う。それは木村先輩が聞いているようで、実は決定事項だから聞いていない。ということを言っているのか?だとしたら安心しろ。そんなのはとっくに慣れた。別に何も言わねぇけど。


 ‶コンコンコン”


 と控えめにノックする音。

「ひーくん」

「はいはい」

「はいは一回だよ!」

 どこかの母が言いそうなことを大きな声で言われるが無視をする。何せ相手にしたら長い。こういう時は無視をするのが一番だ。後ろで俺が冷たいだとか何とか言っているが知らね。

「はい、何でしょ……って尾形か、どうした木村先輩か?」

 そこに立っていたのは尾形 亜希だった。




 それは体育祭が波乱に満ちるきっかけの、一つの小さな音だったということを俺たちはまだ知らない。




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