イラスト部 テスト前
イラスト部ルールその弐拾捌 テスト前でもイラスト部は開くぞ
「開かなくていいし、ルールでもねぇよ!!」
「さてと三日後にはテストなんだけど…いけそう?」
そんな木村先輩の言葉も無視して勉強に取り組む。
「ひーくん?聞いてる?」
「聞いてるけど、こうでもしないとやべぇから。」
「うーん、みんな来てるけど勉強してるねー。面白くない。」
「…………そういう彩は提出物終わったの?」
「もっちろん。」
「大体この時期に部活に来てること自体おかしいんですよ…………?」
「八神、そんな言葉はこの部活においては通じない。」
家に帰っても暇だという理由でイラスト部はテスト一週間前だろうとやる。それに文句も言わず来てる俺たちも俺たちなんだが……家でやったり学園の自習室でやるよりかはよっぽどいい。これで欠点の一つでもとれば文句も言われるのだろうがとってないので言われない。
ま、家でもやってるしな。
「ふー、提出物終わりっと。」
残り三日という中そんな事を言ってるのは
「夢田もう少し計画的に終わらせろよ。」
この人です。
「まあ終わったしいいじゃん。」
楽観的すぎんだろ、こいつ。
「…………一年生の二人。」
「はい。」
「なに?」
「…………この学園ではテスト結果の順位が………二つ出るってこと………知ってる?」
「はい。」
「うん。」
この学園では5教科の合計点数の学年順位と全学年の順位が張り出される。
「それでね、全学年の3位以内に入ればちょっとした待遇が受けられるのよ。」
「待遇………ですか?」
「うん、そうだなぁ……例えば絶対に休まなきゃいけないけれど、欠席がつくのが嫌でそれ使ってなくしちゃった、とか?」
「・・・そんなことができるの?」
「ん。」
「それで毎回それをとっている人がいるんだが、まあそれは皆さんが察してるだろうから置いといてだな。」
「…………そういうことがあるってこと………知ってほしい。」
「はい。」
「うん。」
そのあとまた大人しく勉強し始めた。
一人はとても面白くなさそうだったが。
別にいいよな?無視しておいても。
「あの……光先輩。」
「ん?」
それは他のメンバーが全員が帰ったのでカギを職員室に返しに行った時だった。
職員室から出てきたとき待っていたかのように、八神は立っていた。
「忘れもんでもしたのか?悪い、もう返しちまったぞ。もう一回借りに行かねぇとな。」
「いえ、そうじゃないんです。」
少しの間下を向いていたが意を決したかのようにガバッと顔を上げると、
「少しお話良いですか?」
そう言ってきた。いつものように笑ってはいるがいつもよりも真剣な物言いに面喰いつつも
「ああ、いいぞ。」
俺はそう答えていた。
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「ここでいいだろ。」
そこはこの前美術部部長と話した場所。誰もいないしこの時間だ、大丈夫だろ。
「こんなとこに教室あったんですね。」
「ああ、昔は今以上に人が多かったらしいからな。あんま先生に聞いても無駄だぞ?教えてくんねえから。」
一回ここの教室について聞いた時嫌な顔をされたからな。それ以来聞かないことにしている。
「はい、分かりました。覚えておき………」
「どうしたんだ?」
「あのですね、お話なんですが……」
本題か…………
「私、特技は一瞬でも見たもの聞いたものは忘れないって言ったじゃないですか。」
「言ってたな。」
「瞬間記憶能力っていうんです。」
あー、何か本で見たことある気がするな。
「それで、あの………」
「話したくねぇことなら無理矢理話すことはねぇ。そこは端折れ。」
「は、はい。じゃあ、端折りますけど………私これを使ってテストをやっていいんでしょうか?」
「は?」
意味が分からなかった。使ってテストを受けていいかって………
「だって………皆さんは必至に覚えています。でも私はそんな事をしなくても覚えられる、そんなの。」
「ずるいってか?」
「はい………」
ったく……自分の頭を掻きながら答える。
「よくは分かんねぇよ。俺もそんなのもってねぇし。でも、ずるくはねぇんじゃねぇの?」
「でも……」
「でももだっても何もねぇよ、テストって言うのは自分の持てる力を持ってそれに望むってことだ。お前のやつは人によって能力とか言うのかもしれねぇ。でもな、人より歌が上手い、人よりも絵を描くのが上手い、人よりも物覚えがいい。ただそれだけじゃねぇの?」
「そんなの……」
「俺の勝手な物言いってか?その通りだ、俺の勝手な言い分。
だけどな、お前のやつだって勝手な言い分だろ?
大抵のやつは自分の言葉を押し付ける、それが自分の中の言い分だからだ。だけどな、他にもいろんな生き方をしてるやつはいるんだ。何も言わずに分かれって言うのは無茶な話だとは思わねぇか?だからと言って分かられたら分かられたらで嫌な物なんだよ、人っていうのは。めんどくせぇ生き物だろ?だけど、それが人なんだよ。
だからお前の考えてることなんて分かんねぇし、お前が言わない限り分からないし、分かろうともしない。それは、俺がそうやって生きてきたからだ。
今言った人のやつだって俺が勝手に思っていること。他のやつに聞いたら違うっていうかもしれない。けど、それでいいんじゃねぇの?そういうもんじゃねぇの?
だからずるいとは思わねぇ。だってな、木村先輩は元々頭の中に入っているやつで解いてる。だからどうやって解いたか聞いても習ってないやつでやってる。夢田は元々の運の良さを使って勘で勉強しているとこもある。あいつ自身は思ってないだろうけどな。
そんなもんだから、ずるいとか考えなくてもいいんじゃねぇの?」
自分の言いたいことばかり言っていてこいつの話を一個も聞いてねぇ………
八神の方を見るとうつむいてる。や、やばい。泣かしたか?
「や、八神?」
ガバッと顔を上げると、いつもの顔よりも笑顔で
「ありがとうございました。」
そう言ってきた。俺はフッと息を小さくはくと笑顔で頷き頭をなでた。
「・・・っ?!」
「あ、悪い。嫌だったか?」
「い、いえ。で、では。」
「おう。」
・・・なんかやっちまったかな、今度謝るか。
さーてと、俺も帰らねぇとな。




