靴をベッドの脇に
ノーエンが目を覚ましたとき、まず枕の脇を探った。
家にあった継ぎ当ての布の熊はそこにない。触れたのは冷たく硬い板で、縁には昨夜の炭の灰がついたままだった。
目を開けると、壁際に長剣が見えた。オーレンはかまどの前にしゃがみ、杓子で鍋底をこそげている。ベッドの気配に気づいて振り返り、杓子を茶碗に入れた。
「起きたか? 水はテーブルだ」
ノーエンは起き上がり、足がまだ床に届かないうちに訊いた。「今から行くの?」
「食ってからだ」
「持ちながら食べられるよ」
オーレンは手元の茶碗を見た。
「粥は持ち歩きにくい」
ノーエンは仕方なくテーブルについた。今日の粥は薄めで、最後にやっと焦げの味がした。何も言わず、茶碗を抱えて飲み干すと、ベッドへ駆け戻って靴を履いた。
昨夜描いた板は元の場所にあった。手に取って、窓辺の光にかざしてもう一度見た。角を三つ、細い道を一本、それから目覚めたときに寄りかかっていた石段。
昨夜は二度目が覚め、そのたびに母がもうそこを見つけて、石段の上に立って待っているのではないかと思った。オーレンにまだ夜が明けていないと言われて、横になり直した。
今から行ける。
家を出てから、ノーエンは板の地図どおりに歩くと言い張った。二つ目の角でどちらへ曲がるか忘れ、立ち止まってしばらく見てから、割れた水桶のある路地を指さした。オーレンは急かさなかった。
石段にはあの灰色のシーツがまだ掛かっていた。昼に見ればはっきりした。下の端が一角欠け、風に煽られると、その後ろの細い扉が見えた。
ノーエンは石段を駆け上がり、扉の環を掴んで二度引いた。やはり開かない。
しゃがんで扉の下の隙間を覗いた。中は暗く、小さな地面と、散らばった藁が少し見えた。もっと低く顔を寄せ、中に足跡がないか見ようとした。
「誰を探してるんだい?」
声は頭の上からした。
ノーエンが顔を上げると、隣の窓が開いていて、女が靴底を手に、窓枠越しにこちらを見ていた。
「中に入りたいんです」
「何を取りに?」
「昨日ここで目が覚めたんです」
女は靴底を置き、彼を見て、それから石段の下のオーレンを見た。
「この子かい?」
オーレンがうなずいた。
彼女はすぐに出てきた。腰には革のエプロンを締め、エプロンには小さなナイフが何本も差してある。鍵は回りにくく、扉を内側へ少し押して、ようやく錠の鳴る音がした。
「扉枠が湿気で膨らんでるんだよ。これからは乱暴に引っ張っちゃいけない、環がもう緩んでるからね」
ノーエンは彼女がどくのを待って、すぐに中へ入った。
中には束ねた革、木型の入った籠、古い箱が二つ。扉の後ろには箒が立てかけてあり、奥は壁だった。昨日の午後に歩いた林もなく、家へ通じる道もない。
壁に手を当ててみた。
「後ろにも扉はあるの?」
「小さな中庭があるよ」女が言った。「オーレン、あの箱をどかすの手伝って。ちょうど今朝、後ろの棚を取りたかったんだ」
オーレンが袖をまくった。ノーエンも手伝おうとしたが、女に呼び止められた。
「これを持ってて」
釘の入った浅い木の皿を渡された。
「水平に持って、落としたら拾いにくいからね。釘の先には触っちゃダメだよ」
ノーエンは両手で受け取り、壁際へ退いた。オーレンが箱を引きずり出し、その下に敷かれていた板を持ち上げ、女が後ろの棚を支えて、三人でゆっくり中庭へ運んだ。
中庭は小さく、壁際には雨水を受ける桶が二つ。ノーエンは木の皿を彼女に返し、壁に沿って一周し、桶の後ろも覗いた。壁にあるのは高い窓一つだけで、隣の家の梁が見えた。
女は棚を広げ、革を掛け始めた。
「自分がどっちから来たか覚えてるかい?」
ノーエンは物置を指さし、手を下ろした。
「入ってきたのは覚えてない」
「頭でも打ったのかい?」
「ううん」
後頭部を撫でてみた。昨夜オーレンにも訊かれたが、確かにこぶはなかった。
女はそれ以上訊かず、棚の革ベルトを一本取って、もう一端が地面に垂れているのに気づいた。
「こっちを持ってて、水に濡らさないように」
ノーエンが歩み寄り、汚れていない端をつまんだ。彼女がベルトを掛け終え、うつむいた拍子に眉をひそめた。
「靴底が開いてるよ」
ノーエンは足を少し引っ込めた。
爪先の隙間が確かに少し開いていた。朝履いたときは気づかなかった。昨日歩きすぎたせいだろう。
「まだ履けるよ」彼が言った。
「あと半日歩いたら指が出るよ。座って、脱ぎなさい」
「まだ道を探さなきゃ」
「直してから探しなさい」
彼女は低い腰掛けを持ってきた。ノーエンはオーレンを見た。オーレンは彼女に渡された別の革の束を受け取り、棚に掛けている。
「ダイナの繕いは早いぞ」
ノーエンはようやく座り、壊れた方だけ脱いで、靴下の足を腰掛けの貫に引っ込めた。
ダイナは靴を手に取って裏返した。
「糸が擦り切れただけだ、革はまだいける」
「いくらだ?」オーレンが訊いた。
「うちの錐三本、研いでくれ」
「明日な」
「研ぎすぎるなよ、この前のは尖りすぎて靴底を突き抜け、あたしの手を刺したんだから」
オーレンは返事をした。
ダイナは靴を膝に挟み、古い糸を抜いた。ノーエンはその手を見て、訊かずにいられなかった。「ここに他にも城門はあるの?」
「あるよ」
彼はすぐ背筋を伸ばした。
「どっちの方?」
ダイナはすぐには答えなかった。机の下から紙を一枚引き抜き、広げて木型の下に押さえた。何度も折られた紙で、折り目には細い布が貼ってある。通りが描かれ、何か所も塗り直され、脇には細かい小さな字が並んでいた。
ノーエンは近づき、自分の板を隣に置いた。彼の描いた数本の通りは、紙の上ではほんの小さな欠片にすぎなかった。
「ここが今いるところ」ダイナは針の尻で点を指した。「昨夜見た門は下の方。こっちへ行けばもう一つの門があるけど、あれも閉まってる。東のこの道は崩れたことがあるから、古い線どおりに歩いちゃダメだよ」
「行ったことあるの?」
「あるよ」
「家に帰る道を探してるの?」
ダイナの手の針が一瞬止まった。
「うん。城門も試したし、水路にも人を連れて行ったことがあるよ」
ノーエンは紙に目を落とした。右の方に細長い線があり、脇にいくつも丸が描かれ、二つが線で消されていた。
「水は外に出られるの?」
「壁の下まで通じる水路があるよ。見るなら、オーレンに北の石畳を行かせなさい、水には入っちゃダメだよ」
彼女は紙をオーレンに押しやり、うつむいて靴を縫い直した。
ノーエンはまだ訊きたかったが、腹が鳴った。ダイナは顔を上げ、机の脇の布包みを開けて厚い平パンを取り出した。半分に割って目の前に置いた。
「先に食べな。炭のついた手で触っちゃダメだよ」
ノーエンは自分の手を見た。指の間が確かに黒かった。
オーレンが中庭へ連れて行って手を洗わせた。戻ると、ダイナは小さな壺を鉄板の上に載せるところだった。指で鉄板の縁を一周なぞると、刻まれた文様が暗赤色に光り、壺の底がすぐに小さな音を立て始めた。
ノーエンはパンをかじりながらじっと見た。ダイナが壺を取り上げると、鉄板の光もゆっくり暗くなった。
「触っちゃダメだよ」彼女が言った。「光ってなくても熱いからね」
ノーエンは伸ばしかけた手を引っ込め、渡された温かい水を両手で包んだ。
靴が直ると、少しきつくなっていた。ダイナに何歩か歩かせ、爪先に木型を突っ込んでしばらく伸ばしてから返してくれた。
「今はどうだい?」
ノーエンは地面を踏んだ。
「大丈夫」
彼は丁寧に礼を言った。戸口まで来て、引き返してきた。
「誰か僕を探しに来たら、どこへ行ったか教えてくれる?」
「名前は?」
「ノーエン。父はガレット、母はミラ」
ダイナは小さな革切れを探し出し、炭筆で書き留めた。
「来たら、ここで待たせておくよ。戻ったら寄っておくれ」
ノーエンは少し安心した。
水路への道は思ったより遠かった。
オーレンは途中で休むかと訊いたが、彼は首を振った。しばらく歩くと踵が痛み始め、半歩遅れてこっそり足を爪先へずらした。
オーレンが石の腰掛けの脇で立ち止まり、紙を広げた。
「少し座れ、道を確認する」
ノーエンは座り、彼が図を見ている隙に踵を下へ押し込んだ。
水路は家並みの後ろにあり、縁には薄い苔が生えていた。水は深くなく、城壁の下の黒い穴へゆるゆると流れていた。ノーエンはオーレンの腕につかまり、少し高いところに立って、ようやく穴に横たわる鉄格子が見えた。
鉄の棒の隙間は、彼の肩さえ通さない。それでも長いこと見つめた。
「下は?」
「探ったよ。鉄格子は水路の底まで突き刺さってる」
「外せないの?」
オーレンがしゃがみ、端の一本を指さした。そこだけ小さく欠け、色が周りと違っていた。
「鋸でやったんだ。刃を二枚折って、削れたのはここだけだ。その後で脇の石を鑿でやってみたこともある」
ノーエンは指の先を見た。石壁には確かに何か所も鑿の跡があり、一か所は深く、泥が溜まっていた。
「魔法では?」
「それも試した。通じなかった」
ノーエンはもう一度あの黒い穴を見た。
「あなたも外に出たいの?」
「出たい」
「じゃあどうしてここに住んでるの?」
「まだ外への道が見つかってないからだ」
ノーエンは手の板を少し強く抱えた。
オーレンは隣に座り、図を見るのをやめた。
「昨日、お前が戻って探すと言ったから、まずは目覚めた場所をよく見ようと思ったんだ。落とし物があるかもしれないし、お前を見た人がいるかもしれない。今日は見つからなかった」
「他の場所は?」
「訊ける場所はまだあるし、探せる道もある。言えるのは、試したやり方はどれもダメだったってことだ」
ノーエンは靴底で石の苔を少しこそげ落とした。
「パパが探しに来てくれる」
「なら今住んでるところを残してやれ」
帰りに、またあの石段の前に来た。
ダイナは誰も来ていないと言った。ノーエンは戸口に立ち、父の様子を伝えた。オーレンより少し背が高く、左の眉にごく短い傷がある。最初は騎士の服を着ていると言うつもりだったが、考え直して、そうとも限らないと付け足した。
「母は茶色い髪を後ろで束ねてる。薬箱を持ってるかもしれない」
ダイナは付け足しを革切れの裏に書き、戸口に掛けた。
オーレンが板の裏に住まいを書き、曲がり角の矢印をいくつも描き足してくれた。ノーエンは板を石段の脇に置き、二か所試して、最後にダイナに細い紐を借りた。
板を戸口に掛けた。低めに、石段の下からも見えるように。
その日オーレンの家に戻ったとき、ノーエンは晩ごはんが何かも先に訊かなかった。ベッドの端に座り、靴を脱ぐと、靴下の後ろに小さな赤い擦れができていた。
オーレンが水を持ってきて足を洗わせ、柔らかい布を探して踵に敷いた。
「明日の朝は遠出するなよ」
「明日は探さないの?」
「近所の家を聞いて回るよ。お前は足を休めろ。歩けるようになったら、どこへ行くか相談しよう」
ノーエンは靴下を握ったまま、答えなかった。
オーレンは茶碗をテーブルに置いた。
「ここに住んでていい。ダイナのところに誰か待ってたら、呼びに来てくれる」
「どれくらい住むの?」
「今はまだわからない」
ノーエンはうつむき、靴下を裏返して破れていないか見た。しばらく探したが、穴は見つからなかった。
ご飯を食べ終えると、オーレンは戸棚の下から古い寝具を一巻き取り出し、かまどの脇に敷いた。ノーエンはベッドに座って彼が毛布を振るのを見て、昨夜も彼がそこで寝ていたのを知った。
「家では布団を畳むよ」ノーエンが言った。
「なら明日の朝は自分のを畳め」
「茶碗も洗えるよ」
「茶碗は今日洗った。明日にな」
オーレンは灯りを持ってきて、彼が横になるのを待って、布団を肩まで引き上げた。
ノーエンはまた起き上がり、ベッドの下から両方の靴を取り出してベッドの脇にきちんと並べ、爪先を戸口に向けた。
オーレンはそれを見て、片づけようとはせず、水の杯を手の届くところに置いただけだった。
「灯りはつけておくか?」
「少しだけ」
「わかった」
ノーエンは横になり直した。
しばらくして、オーレンがかまどの脇に座り、ダイナにもらった錐を研ぎ始めるのが聞こえた。石と鉄の擦れる音は小さく、数回研いでは止まった。
彼は目を開けてしばらく戸口を見て、うつむいて靴の位置をもう一度確かめた。
母が呼びに来たら、履いてすぐに行ける。




