帰ってきた日
帰ってきた日の夕食、ノーエンに分けられたのは半分のパンだけだった。
パンをちぎり、スープに浸そうとしていたところだった。ミラはまだ席についておらず、彼の手から半分を取り上げて籠に戻した。
「まずこれを食べなさい。お腹が大丈夫だったら、おかわりをあげるから」
ノーエンはうなずき、パンをスープに浸した。母は以前教会で病人を看ていたことがあり、今は彼も病人扱いだ。階下へ降りるのさえ抱っこだった。ほんの二刻ほど前も、自分で顔を洗わせてくれず、濡れ布巾で耳の後ろまで拭かれた。
自分でできるのに、と言いかけた。言い終わらないうちに鼻先を拭かれ、口をつぐむしかなかった。
テーブルの向こうでは、ガレットが固く焼けたパンと格闘していた。顎の髭はぞんざいに剃ったままで、右手には布が巻かれ、パンを切るのに力が入らない。ノーエンがナイフを受け取ろうと手を伸ばすと、父はパンごと後ろへずらした。
「お前は自分の分をやってろ」
「手伝えるよ、ちぎるくらい」
「スープを飲み干してくれれば、それが手伝いだ」
父は真顔で言い、直後に欠伸をした。ミラがスープの鍋をテーブルに置き、先に二階で寝るかと訊くと、彼は首を振り、ナイフを置いて両手でちぎり始めた。
ノーエンは手を引っ込めた。この件に彼の助けはいらない。本当は少し慣れなかったが、うつむいて茶碗のスープに集中した。肉は細かく切られ、人参は柔らかく煮えて、押せば崩れた。家のご飯はこんな味だった。何口か飲み、スプーンを茶碗の底へ伸ばして人参が残っていないか探した。
見ていたミラが、二切れよこしてくれた。
「ゆっくり食べなさい、鍋にまだあるから」
かまどのやかんがぐつぐつ鳴っている。窓は半分だけ閉まっていて、台所はだんだん暗くなった。ガレットが立ち上がって灯りをつけ、ノーエンの脇を通るとき、椅子をテーブル寄りにずらした。椅子の脚が床を擦り、ノーエンは思わず足を上げた。そこで初めて気づいた。足が床に届いていない。
椅子の下にぶら下がった足を見た。足裏の擦り傷は包帯で巻かれ、その上には母が出してきた古い靴下が履かせてあり、つま先には継ぎ当てがあった。
今日の午後、この八歳のときの服を着て、彼は家の門まで歩いてきたのだ。
父が言うには、彼は七日間行方不明だった。
ノーエンは囚城で二十年を過ごした。隙間風の入る窓の割れた木枠を覚えている。炉台に手が届かなかった頃から、オーレンのために屋根を直せるようになった頃までを覚えている。今や厚いたこができたあの両手はなく、袖口の下の手首は一握りで掴めそうなほど細い。この座り慣れた椅子さえ、楽な姿勢を探し直さなければならない。
足を椅子の貫に載せると、ミラが訊いた。「足が痛いの?」
「痛くないよ。こうしてる方が楽なんだ」
彼女は包帯を一瞥してから席についた。ガレットは灯りをテーブルの真ん中に移したが、すぐにはスプーンを取らなかった。
「ノーエン、この何日か、誰が飯を食わせてくれたんだ?」
「オーレンっていう人」
「匿ってくれたのか?」
「うん。あの人の家にいた」
「どこだ? 近くの村か、それとも町か?」
ノーエンは口のスープを飲み下した。父の訊き方はゆっくりで、一つひとつは難しくない。でも正直に答えれば、その先の質問がどんどん増えるのはわかっていた。
「城だよ。森の中で入って、戻ってきたのも森の中だった」彼は一拍置いた。「変だってわかってる。車にも乗ってないし、馬にも乗ってない」
ガレットは眉をひそめ、手元の小皿をずらして場所を空けた。
「道は覚えてるか? うちの裏門からだ、指でなぞってみせてくれ」
ノーエンは指を伸ばし、テーブルの木目に沿ってなぞった。垣根の外の小道も、小川を渡る石も、林へ入る斜面も覚えている。坂の下まで来て、指が止まった。二十年前のある午後、草むらに潜るのに夢中で、角を何度曲がったかなんて数えちゃいなかった。
「後ははっきりしない」
「その人はお前をこの道で連れて行ったか?」
「ううん。自分で帰ってきたんだ」
もう少しはっきりさせようとして、口を開いたら欠伸が出た。目尻に滲んだ水で、テーブルの木目が見えにくい。午後の入浴では木桶の中で眠りかけたし、温かいスープを飲んだら眠気が戻ってきた。
ミラが小皿を彼の前に戻した。
「今夜はまずご飯。明日の朝、パパにゆっくり描いてあげなさい。覚えてる分だけでいいから」
「思い出せるよ」ノーエンが言った。
「それでもまず寝るの」彼女は彼の額に手を当てた。「誰かに殴られたり、どこか具合が悪かったりしない? それは先に言ってね」
「ないよ。よくしてくれた」
ガレットは握りしめていたスプーンの柄から力を抜き、うなずいた。
「よし。あいつの住まいがわかったら、礼を言いに行く」
ノーエンはうつむいてスープを飲み、すぐには返さなかった。父とオーレンが同じテーブルにつく姿を想像してみた。二人はきっと剣の話をするだろうし、父はオーレンがいい刀で木を削るのを嫌がるかもしれない。
「あの人、料理が下手なんだ」彼が言った。
「それはちょうどいいわね、うちに食べに来てもらいましょう」ミラは半分空いたスープ鍋を持ち上げた。「その半分のパン、まだいる?」
ノーエンは要ると言って、差し出されたパンを受け取った。かまどの脇から木杓子が鍋底を擦る音がし、続いてほのかな焦げ臭さがした。ミラはうつむいて見て、慌てて小鍋を火から下ろした。
「お粥が焦げたわ。さっき話に夢中で、水を足すのを忘れた」
彼の分に少し残しておくつもりだった。肉のスープが重かったらいけないと思って。ノーエンは杓子についた褐色のおこげを見て、オーレンが初めて出してくれた茶碗を思い出した。茶碗の底もこんな色だった。
あの焦げたお粥を、彼は危うく食べないところだった。
*
囚城に着いた日、ノーエンはまず街角でしばらく待っていた。
目覚めたのは何段かの石段の上で、背後には錠のかかった扉があった。敷居は高く、壁の灯りはついておらず、頭上には灰色がかったシーツが干してあった。見上げてしばらく待ち、誰かが出てきて洗濯物を取り込みがてら、ここがどこか教えてくれるのを期待した。
誰も出てこなかった。
ノーエンは立ち上がり、ズボンの埃を払った。膝を青く打ち、触ると痛んだが、歩くことはできた。パパが言っていた。大人とはぐれたらその場にいろと。でも来たとき、そばに大人はなかった。これ以上待っていたら、ママが夕飯を作り終えてしまう。
通りの向かいへ渡り、扉を叩いた。
「すみません、誰かいませんか?」
しばらく待って、もう一度叩いた。今度は力を込め、指の関節が痛んだ。扉の向こうはやはり静かだった。耳を押し当ててみたが、何も聞こえない。仕方なく通りに沿って歩き始めた。
灰橋領の町には二度行ったことがある。でもここの家は高すぎて、両側の壁が迫り、路の真ん中に立って首を反らしても、白っぽい空が一条見えるだけだった。ノーエンはできるだけ水たまりのないところを歩き、角を曲がるたびに振り返って、さっきの扉を覚えた。
三つ目の角で、煮炊きの匂いがした。
匂いを辿って曲がると、一軒の家の扉が開いていた。脇には半束の薪が置かれ、地面には木屑が散っている。門枠につかまって中を覗くと、男が炉の前にしゃがみ、布で鍋の取っ手を包んでいた。
「そこに立つな」男が言った。
ノーエンは驚いてすぐ一歩退いた。
「扉の後ろに水桶がある。倒したら、もう一桶汲んでこいよ」
慌てて足元を見た。扉の後ろに確かに桶があり、蹴り倒すところだった。男は鍋をテーブルに移し、杓子でかき混ぜて眉をひそめた。
「誰を訪ねてきた?」
「灰橋領に帰りたいんです」ノーエンは背筋を伸ばし、父に連れられて出かけるときに教わったとおりに名乗った。「僕はノーエン・ヴィール。父はガレット・ヴィールで、そこの騎士です」
男は彼の顔を見、埃だらけのズボンを見た。
「家族とはぐれたのか?」
「わからない。さっきまで林の中にいたんです」
「どの林だ?」
「家の裏の」
男には通じなかったので、ノーエンは石橋と水車小屋から話し始めた。三つ目を言いかけたところで相手が手を上げたので、やめるしかなかった。
「その地名は聞いたことがない。まず座って、水を飲め」
男は杯を取って桶から水を汲んでよこした。ノーエンは喉が渇いていたが、座らなかった。杯を両手で持って二口飲み、訊いた。「城門はどこですか?」
「この通りを突き当たりまで行って、左だ」男は外の空を見た。「ただし門は閉まっている」
「誰に開けてもらうんですか?」
「門番はいない」
ノーエンは杯を持ったまま、続きを待った。男は椅子をテーブルから引き離し、上の屑を払って座るよう促した。ノーエンは杯を置き、礼を言って外へ向かった。
「どこへ行く?」
「見てきます。もしかしたらパパが迎えに来るかもしれないから」
父が人を探すときはまず城門で聞き込みをすると知っていた。そこは毎日人が出入りし、門衛は子供の顔を覚えている。こっちに門番がいなくても、外にはいるかもしれない。
男が後ろから呼び止めた。
「待て。炉の口を閉める」
ノーエンが振り返ると、彼は炉の口を閉じ、門脇の灯りを持ち上げて芯を確かめ、それから椅子の下からもう片方の靴を探し出した。
「僕の父がどこにいるか知ってますか?」
「知らん。城門まで連れて行ってやる。日が暮れてから街を探す手間が省ける」
男の脚は長く、数歩進んでは振り返って待った。ノーエンは慌てて小走りでついていった。やがて城門が見えた。門のくぐりは暗く、二枚の重い扉が固く閉ざされ、前の路面を排水溝が横切っていた。
溝を跨ぎ、くぐりに駆け込んで、垂れ下がった鉄の環に手を伸ばした。
環は冷たくて手を引っ込めた。爪先立ちで掴み、思いきり後ろへ引いた。扉は動かない。もう一度力を込めたら、靴底が石畳を滑って尻もちをつきかけた。
「引いてみたよ」男は灯りを壁の鉤に掛けた。「手で引いたくらいじゃ開かん」
「小さい門はないの?」
「脇に一枚ある。あれも開かん」
ノーエンは回り込んで探した。小門にも鉄の環があり、位置が低い分、今度は両手を使った。引いて動かなければ押してみた。肩を扉に押し付け、脚を踏ん張って酸っぱくなるまで。それでも扉は音一つ立てなかった。
「誰かいますか?」彼は扉の隙間に向かって叫んだ。「外に誰かいますか?」
声がくぐりの中で跳ね返り、驚いて慌てて口をつぐんだ。反響が消えるのを待ったが、外は少しも動かなかった。
男は引き止めに来なかった。彼はもう数声叫び、耳を扉に押し当てた。今度は長く聞いた。自分の腹の鳴る音が聞こえ、後ろで誰かが足を動かす音が聞こえ、門の外の人の答える声だけはずっと聞こえなかった。
空が暗くなり、灯りはくぐりの一番奥まで届かない。ノーエンはゆっくり明るいところへ戻り、鉄の環で赤くなった手のひらを撫でた。
「他に城門はあるの?」
「ある。ここから遠い。今日は間に合わん」
「行ったことあるの?」
「ある。あれも閉まってる」
ノーエンはうつむいて、爪先で路面の小石をいじった。この答えは嫌いだった。でももう一度訊いても、相手は同じことしか言わないだろう。
「じゃあママはどうやって僕を探すの?」
男はしゃがんで、目線を合わせた。近づいて初めてわかった。目の下に浅い傷があり、髪も乱れて、一房が頬にかかっている。彼はノーエンを見て、しばらくしてから口を開いた。
「今夜はうちに泊まれ。明日の昼、目覚めた場所へ一緒に行ってみよう」
「道は覚えてるよ」
「それはよかった。案内してくれ」
ノーエンは鼻をすすり、もう一つ策を考えなければと思った。壁を登るのでも、梯子を探すのでもいい。でもここの壁は町の鐘楼より高く、誰に梯子を借りればいいのかもわからない。
最後に訊いた。「あなたの名前は?」
「オーレン。オーレン・ヘスだ」
ノーエンは小さく復唱した。ママが言っていた。よそに泊めてもらったら、主人の名前は覚えておくこと。後でお礼を言いに行く場所がわかるように。彼は閉ざされた門をもう一度見て、オーレンの後についてくぐりを出た。
帰り道、あの石段の前を通った。ノーエンが目覚めた場所を指さすと、オーレンは灯りを地面に置き、身を屈めて段と敷居を調べ、路地の入口まで見に行った。ノーエンは後ろについて、しばらく待った。オーレンが戻ってきたとき、手にはやはりその灯りだけだった。
「明日になればもっとよく見える」彼が言った。
家に着くと、オーレンは戸棚の下から茶碗を一つ取り出して洗い、大半まで粥を盛ってノーエンの前に押しやった。ノーエンは腹が減っていたが、杓子を握って躊躇した。粥は少し灰色がかり、こそげ取ったおこげが混じり、母の作るのとは匂いが違った。
「底が焦げただけだ、上は食える」オーレンは自分の分を盛り、先に一口食べた。
ノーエンも味見した。やはり苦かった。飲み下すのに苦労しながら、鍋の中を盗み見て、色の薄いところを一杓すくえないか探した。
「どうしても食えなかったら、戸棚に半切れのパンがある」
「あれも焦げてるの?」
オーレンは杓子を止め、戸棚に目をやった。
「あれは俺が作ったんじゃない」
ノーエンはパンを選んだ。オーレンはパンをちぎってよこし、自分は粥を食べ続けた。パンは少し固かったが、水に浸せば噛めた。一口ずつ小さく食べ、だんだん腹が満たされてくると、ようやく部屋を見回す余裕ができた。
壁際にベッドがあり、テーブルの脚の下には木片が挟まり、戸棚の脇には鞘入りの長剣が立てかけてある。剣を見て、ノーエンはオーレンに振り返り、騎士だったのかと訊こうとした。でもオーレンは杓子で茶碗の底をこそげていて、あと少しの粥を惜しんでいるようだった。
ノーエンは視線を戻し、テーブルから小さな燃え残りの木炭を拾った。
「これ、使っていい?」
「何を描く?」
「来た道を描くの。明日忘れたら、あの石段が見つからなくなるから」
オーレンはテーブルの下から薄い板を引き出し、油のついていない面を返した。水の杯をどかし、灯りを近づけ、自分もこちら側に座った。
ノーエンは木炭を握り、まずシーツの干してある通りを描いた。




