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第99話 【軍勢】

翌朝、爆撃の音と共に目を覚ました。テント内にいるほかのクラスメイト達もそれと同時に目覚め、全員ざわざわしながら外に出ていく。その直後テントも爆発で吹き飛ばされて破壊された。


「何だ何だ!?」


よく見ると村全体は瓦礫と炎、そして悲鳴で包まれている。案の定廃墟も木の藻屑となっていた。

砲弾の軌道から近くの崖に目をやると大勢の軍?のような魔族達がいた。


「位置がバレた…!?」


すると崖にいる一人の魔族が上空に赤い閃光を発射した。その次の瞬間赤い閃光が数百に分裂した。

分裂した細い閃光は自動的にまだ生きている村人達の脳天を貫いた。俺達も例外ではなく数十の閃光が俺達のもとに来た。

テント側で寝ていた結衣が廃墟とテントを含む広範囲に結界を展開し、閃光による攻撃を防いだ。


「な、なんなんだよ!あいつら!」


蒼真が結衣の防御結界越しに崖にいる軍隊を鑑定する。


「四天王の一人、暴力の帝王バルゼイン…そいつが保有する3つの軍隊のうち一つ。第二軍だ」


すると、蒼真の後ろから政宗先生がヌッと現れる


「要塞都市グラニス奪還作戦後に現れたグレスは第3軍の将軍だ。その軍隊よりも強いのが第2軍、それよりも強いのが第1軍。最強の軍隊ではないが警戒したほうがいい」


政宗先生は勇者達の最先頭に立ち、声を荒げた


「おいおい!ビビってるおちびちゃん達、大人になるために正々堂々ここで勝負しようぜ」


政宗先生は地面を指差しながら挑発した。

すると一人のオークが崖からおり、結界に斧を突き刺した。

結界全体には割れたガラスのようなヒビが入った。


「おいおい!早く出てこいよ!親の体内に入ってないでな!」


オークはそう言いながら斧を使いながらの連撃を放つ。俺が新しく手に入れたα属性魔術理論を使おうとしたら、政宗先生の手には弓があった。

その弓をマシンガンのように放つとオークの体には蜂の巣のような穴が大量に出来た。


「ガハッ!?」


オークはそのまま倒れた。

それを堺に大量の軍人達が俺達の方へ向かってきた。それと同時に崖側にあるマシンガンのような魔導機械から魔弾が発射された。それは結衣の結界を完全に破壊した。


「みんな散れ!集まってたら殺られるだけだ!散ってそれぞれでこの軍勢を沈めろ!」


政宗先生はそれだけを言い残して、軍勢の中へ突っ込んでいった。

俺も俺で自分でできる限りの範囲を反重力(アンチ・グラビティ)を使い超圧縮をした。瞬時にビー玉になった魔族達は死んだことも分からずに死んだだろう。


「ゲヘヘへ!人族なんぞ、弱い弱い!」


そう言いながら魔導機械で武装した筋骨隆々のハイデーモンが俺のもとへ近づいてくる。


「ジェット・スプリントぉ!」


ハイデーモンは右腕についたジェット機を射出しながら俺の方へ殴りかかってくる。

後方にいた魔族達の顔はジェット機のジェットによって顔面が灰になっているのがわかる。やはり、魔族は同族を殺すことに対する抵抗が人間よりも無いな

俺は振りかざされた拳に暗黒降臨《ダークマター・テレポート》を行った。量は理解度が少し上がった為、前回の限界値を上回る100μgだ


瞬時にハイデーモンの腕は爆散する。


「お、お、俺の腕がっ!?」


俺は追い打ちをかけるかのようにハイデーモンの肉体を覆う魔導機械同士を吸い付けるように反電磁気力《アンチ・エレクトロマグネティズム》を放った。

ゴシャッという音を立ててハイデーモンは死んでいった。


「これ、反重力(アンチ・グラビティ)でもできた気がするな…」


ただ、電磁気力を反対にできるということならば重力なんかよりも便利に使えるな。

すると、後ろから颯真が話しかけてきた


「お前すげぇな。あのハイデーモン、レベル500はいってたぞ?」


「えっ!そんな強かったの」


「しかも、何だよ!あの魔法…お前の固有スキルとは関係なさそうだったけど?」


「あぁ関係ないね」


すると颯真の後ろから颯真に頭部に向けて銃を構えた狼の獣人がぬっと現れた。


「へっ勇者たる者がよそ見かい」


俺はすかさず、狼の獣人に向けて反重力(アンチ・グラビティ)を使い超圧縮した。颯真はゴシャッという音に驚き後ろを振り向くと、頭だけない獣人が立っていた為目を丸くして叫んだ


「ギャァァァ!」


「落ち着け、あれは俺が殺したから」


「いや、お前なんちゅう魔術使ってるねん」


「あ、それ聞いちゃう?」


「ちょっと!そこの男子!さっさとこいつら駆除して!」


近くにいた女子に注意されてしまった…


「颯真!わりぃ後でな」




そうして、魔族達との激闘を繰り広げること10分…結果は勇者側の圧勝。


「何だ楽勝じゃん」


融合率100%に到達した竜牙が首をゴキゴキと鳴らしている。


「本命は恐らくあれだろうな」


政宗先生が指さした先は先程の崖であった。軍隊を倒すのに必死だったから気にしないが、四人の影がある。

そのうちの三人はこの様子を見た後に崖からジャンプし俺達の眼の前にドシンという音を立てて現れた。

その見た目はそれぞれ茶色、黒色、紫色のゴリラであった


「我は剛健のカムイ」


「我は剛力のムイカ」


「我は剛腕のイカム」


なんだ?なんだ?こいつは幹部みたいなものなのか!?


「え〜と、この三体はバルゼインの第二軍の幹部三人です!それぞれレベルは600をオーバーしています!」


れ、レベル600以上だと…!?これはヤバい…!


「「「我々が集まれば神をも超える!」」」


そう言いながら、三体のゴリラの魔獣は俺達の方へ向かってきた

剛健、剛力、剛腕を名乗るだけあって攻撃力が凄まじい!


剛力のムイカが俺の方へ速度で来た為、俺は反重力(アンチ・グラビティ)をかけたが、反重力(アンチ・グラビティ)を使っての重力の強弱反転ではこのゴリラの動きは止められなかった。

暗黒降臨《ダークマター・テレポート》を無限魔力炉によって100μgの反物質をゴリラの周囲に設置したが、ゴリラもピンピンしている


「クソッ!レベルが100違うだけでこんなに力が通用しないのか!?」


ゴリラが俺の近くまで寄ってきたのを見て俺は反電磁気力《アンチ・エレクトロマグネティズム》を使い近くにある金属へ引っ張ってもらうことで、ゴリラの攻撃を回避した。


「智也!俺が助けるからな!」


颯真が時空歩法を使いゴリラの近くに現れた瞬間にレインボー・バレットを放った。

それをゴリラは左腕でガードしたが、左腕は跡形もなく消し飛び、ゴリラも体制を崩した。


その隙を見て俺はゴリラの下へ走り胸元にα属性魔術理論の発達により可能となった10mgにも及ぶ反物質を放った。膨大なエネルギーが解放されゴリラの胸には大きな風穴ができた。


「ふぅ!あぶねぇ!マジありがとう」


「いやいや、それにしてもやっぱりその魔法何だよ」


「これか?これはα属性魔術理論だ。俺も今これを使い慣らすのに苦労しててさ」


「あ、あるふぁぞくせい?」


「この世界の原型である反世界の力を顕現させるんだよ」


「な、なんか凄そうだな」


「今の技は反世界の反物質をこちらの世界に持ってくるっていう技だ」


「へぇ…あんな威力出るんだ」


「実際に持ってきてる物質量は今のですら11mgだからもっと持ってくれればもっと威力は高くなる」


「ちなみにその反世界にあるものだったら何でもできるのか?」


「恐らくね。こちらの世界とは対となってる世界だから反時間という時間の逆行もできるんじゃないかって思ってるんだ。多分この魔術の完成形は反不完全と思ってる」


「反不完全?反時間でも相当強そうだったのに…?」


「そう。この世界の魔獣やら人間、魔族なんかは不完全な存在だ。反世界ならば完全な存在、つまり全能の存在としているだろうね。そして、その全能の力をもっとくるのがこの魔術の終着点さ」


「お前…そんな強そうな魔術どこで貰ったんだよ。もう無限魔力炉はいらないんじゃないか?」


「ん?あぁそれは必要だよ。この技術は世界と反世界を繋げる穴を作るためにこの無限魔力炉から魔力を垂れ流しにして穴を塞がないようにしてるみたいでね。必要不可欠さ」


そんな話をしていると、他のゴリラも見事勇者達に打ちのめされていた。


「みんな!強くなったなぁ!」


政宗先生が褒め称えている。いやぁ気分が良い。政宗先生のレベルは今はどれほどなのだろうが?俺達と同等のレベルか、それ以上。

俺は蒼真の近くにより小声で「政宗先生って今何レベ?」と聞いた。


「政宗先生ね。今は800レベルくらいだね」


「良かったぁ〜1万レベルとか言ってなくて」


いやぁ〜結構現実的なレベルで安心したよ。正直言って政宗先生は人外だからね。安心安心


そして、ゴリラを倒した勇者達が全員崖側のにまだいる人物を眺めているとその人物は消えていた。


「あれ?さっきまでいたよな?」


全員が困惑している。すると一人の女子が叫んだ


「キャァァァァア!」


「どうした?どうした?」


全員の目線の先がその女子の足元へと動かされる。なんと…足元に全員の治癒を担当していた美咲の生首が転がっていたのだ。


「お、おい!誰か治癒魔法かけろ!」


他に治癒ができる陽菜と琴音が首を振る。


「流石に頭から胴体生やす程の治癒魔法は美咲にしかできないな」


「クソぉぉぉ!」


周囲のクラスメイトが叫ぶ。美咲を殺した奴はどこにいる!?そう疑心の目を色んなところに向けている。


そんな時に前方に一人の男が現れた。スーツ姿のうさぎの獣人だ。メガネをかけている。


「失礼、戦闘の様子を見ていたら回復は全部彼女担当だったようなので、回復手段を断つために殺しました」


「何だとぉぉぉ」


恒一の顔が鬼の形相になる


「失礼、申し遅れました。我が主、バルゼイン様の第二軍…将軍であるうさじぃと申します。貴方達の進行を止めるために一旦ここで殺します」


なっ!あのうさぎの野郎が将軍だと!自分の軍隊を犠牲にしてまで勇者の戦力を確実に減らしたかったのか!


「ま、政宗先生!奴のレベルは750です!」


「ほぅ…あなたは相手を分析できるのですか。厄介そうですねぇ、殺しますか」


俺は咄嗟に蒼真の方へ向かった。相手が攻撃したのかすらも分からない。相手が蒼真の存在に気づいた時点で蒼真の方へ向かったが間に合いそうにない。

そっか、そうだもんな、最初の美咲への一撃で既に政宗先生ですら見逃していたのに俺が追いつけるんけないか。

俺が蒼真にあと一歩で近づけるという時に黒い影が蒼真を通り抜けていった。


一瞬でわかった。蒼真は死んだのだ、もともと蒼真は戦闘タイプじゃなかったから自分が死んだということにすら気づいていないだろう。あぁ一人の親友を失ってしまった。


俺が蒼真の肩に触れると蒼真の首に赤い切れ込みが入り鮮血が吹き出す。俺の顔に一滴一滴蒼真の血が付着する。

そして、その血に乗っかってズルっと顔が地面に落ちていく。

なぁやめてくれよ。嘘だろ?小さい頃からの仲だったじゃないか


俺は落ちた頭を手に取り、まだ直立している蒼真の死体にくっつけた。


グチャグチャ


クラスメイトが絶句の顔でこちらを見ている。狂っているのはわかる。死体の首に頭をぐちゃぐちゃくっつけてるんだもんな。

だけど、信じられねぇよ。


俺の目から涙が溢れてくる。


「あなた達、相当仲が良かったのに可愛そうですね。ただ四天王のドレイク様ですら達成できなかった勇者殺しを達成できたのはとても嬉しいです。我が主に褒めて貰える。ありがとうございます」


蒼真の首を持ちながら血の水たまりに膝をつけて、座っている俺を見て政宗先生が静かに怒った。


「すまん、俺のミスだ」


俺は地面にうずくまっていたから、分からないが政宗先生のその発言から静かな怒りと自らを攻めていることがわかる。だが、それ以上に俺は自分が弱く蒼真を守れなかったことに対して自己嫌悪をしていた。

その後少しの斬撃音の後に戦闘音が止み、政宗先生が俺の肩に手を置いた。


「慢心していた俺を許してくれ」


俺が顔を上げる頃には政宗先生は美咲の頭と胴体を土に入れて埋葬していた。俺も隣に急いでいって土を掘り、そこに手を震わせながら蒼真の体と頭を入れる

全員が沈黙していた。


その後、政宗先生が黙りながら歩いていきそれに皆がついて行っていた。

颯真は俺を気にかけながら、蒼真を埋めた場所で直立不動になっている俺の肩に手を当て「行こうぜ。復讐しに」と声をかけて颯真も政宗先生についていった。

俺は深い深呼吸をした後に政宗先生の後をついていった

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